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MDBsパンフレット(2011年版)

アジア開発銀行(Asian Development Bank:ADB)

更に詳しい情報は下記インターネットホームページをご参照ください。

http://www.adb.org/(英語)

http://www.adb.org/jro/default-jp.asp(駐日代表事務所、日本語)

世界最大の貧困人口を抱えるアジア・太平洋地域において、貧困削減に正面から取り組む

沿革

アジア開発銀行(ADB)は1966年の創設以来、アジア・太平洋地域における唯一の国際開発金融機関として、同地域の生活向上のための様々な支援を実施してきました。現在、ADBは世界最大の貧困人口を抱える同地域の貧困削減を最重要課題として、この困難な問題に立ち向かっています。

ADBの本部はマニラに置かれ、58か国出身の1,006名の専門職員とフィリピン出身者が大多数を占める1,803名の補助職員が働いています。

ADBにおいては、総務会が最高意思決定機関であり、総裁も、総務会の選挙で選出されます。日常の業務の運営は、12名の理事(うち8人が域内国を代表、4人が域外国を代表)からなる理事会に委任されています。総裁は、理事会の議長かつ事務局の長であり、理事会の決定に基づいて銀行の業務を指揮実行します。

主要な業務

ADBの主な機能は、(1)開発途上加盟国に対する融資等、(2)開発プロジェクト・開発プログラムの準備・執行のための技術援助及び助言、(3)開発目的のための公的・民間支援の促進、(4)開発途上加盟国の開発政策の調整のための支援等です。

ADBの財源には、比較的所得の高い開発途上加盟国への融資業務に使われる「通常資本財源(OCR)」と、低所得国向けに緩和された条件で貸付等を行うのに使われる「アジア開発基金(ADF)」があります。この他に、加盟国からの拠出金とADFからの配分金等からなる「技術援助特別基金(TASF)」等があり、技術援助に用いられています。

ADBは、アジアの貧困削減や経済成長に必要な資金需要に対応してきた結果、新規の融資を行う財務上の余力が大きく低下したことから、2009年4月、OCRの第5次一般増資を決定しました。

この増資により、ADBの通常資本財源の資本規模は現行の3倍となります。こうした開発資金を一層効果的に活用していくため、ADBの人材面での戦略の強化や、ADBが融資を行う際の環境・社会面での配慮義務を規定するセーフガード政策の強化を行いました。

アジア太平洋地域の貧困削減の取組みには、経済状況の把握や将来の見通しを考えることも不可欠です。ADBでは毎年『Asian Development Outlook(アジア開発展望)』を策定し、アジア・太平洋地域の経済の現状と今後の見通しを、その時々のトピックを交えながら情報発信しています。

また、ASEAN+3(ASEAN〔東南アジア諸国連合〕に加盟している、インドネシア、ブルネイ、ラオス、マレーシア、ミャンマー、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナム、カンボジアの10ヶ国と日本、中国、韓国)との連携による債券市場育成支援など、地域的枠組み推進に貢献しています。

課題

近年、アジア諸国は高い成長を続けていますが、未だ貧困の域を脱していません。アジア・太平洋地域には、世界の貧困層の3分の2が居住しており、1日2ドル未満での生活を余儀なくされている人(貧困人口)が約18億人、そのうち9億300万人は1日1.25ドル未満で暮らしていると推計されています。更には将来のエネルギー需要への対応や環境問題への取組み、投資環境の改善といった課題に直面しています。

これに対し、ADBは長期戦略“Strategy 2020”に基づき、「貧困のないアジア太平洋地域」というビジョンのもと、インフラ開発、環境、地域協力・統合、金融セクター開発及び教育を中核分野として支援を実施しています。

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■ADB 出資割合 ※

ADB 出資割合の円グラフ

※ADB の出資割合については、2009 年に合意された増資に対して全ての加盟国が出資を行った後の数字

■ADB 融資状況(通常資本とアジア開発基金の合計、2010年:承認ベース)〔単位:億ドル〕

ADB 融資状況(通常資本とアジア開発基金の合計、2010年:承認ベース)の円グラフ

日本の大規模な国際貢献の第1号
日本は米国と並んで第1位の出資国

■設立時の貢献

ADBの設立当時、我が国はまだ、戦後の復興期からようやく経済発展期にさしかかったところであり、外貨準備高は20億ドル、年間ODA総額は2億8,000万ドル、国民一人あたりGDP39万円という状況にありました。しかしながら、アジア地域全体の経済発展のために我が国が果たすべき役割に鑑み、資本金10億ドルのADBの設立準備に中心的な役割を果たし、全体の1/5にあたる2億ドルを負担したのです。ADB設立は、我が国にとって大規模な国際貢献の第1号であったとも言えましょう。

■人的貢献

高い専門知識や語学力、グローバルスタンダードに見合う学歴や職務経験など、MDBsで働く職員には高度なqualification(資格・資質)が求められます。そのような中で、ADBにおいては多数の日本人職員が活躍しており、国籍別の職員比率では第一位となっています。

■年次総会の開催

各国の代表者が集う年次総会は、毎年春、ADBの本部があるフィリピンまたはその他の加盟国で開催されています。わが国においては、1966年の創立総会を東京で、1987年の第20回総会を大阪で、1997年の第30回総会を福岡で、そして2007年の第40回総会を京都で開催しました。

■信託基金を通じた貢献

我が国は、貧困削減のための活動を支援する「貧困削減日本基金(JFPR)」や、エネルギーの効率化を図り、環境や気候変動問題への対応を支援する「アジアクリーンエネルギー基金(ACEF)」等の信託基金を通じ、ADBとのより一層の協力を行っています。

1966 ADB設立
1974 アジア開発基金(ADF)設立
1996 東京に駐日代表事務所を設置
1997 東京にアジア開発銀行研究所(ADBI)を設置
2000 貧困削減日本基金(JFPR)を設立
2007 京都で第40回ADB年次総会を開催
2008 新長期戦略「Strategy 2020」を承認
2009 ADBの3倍増資に合意
プロジェクトの紹介
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アフガニスタン送電線事業

30年続いた紛争の結果、アフガニスタン国内の電力供給網はその大部分が破壊され、国民の90%以上が満足に電気を利用できない状態が長く続いていました。特に首都カブールでは急激な人口増加も相まって、電力不足が大きな負担となり、公共サービスの低下、経済の停滞、政府への不満の増大による治安回復の遅れ等につながる深刻な問題となっていました。

これに対しADBは2004年、日本・アメリカ・ドイツ・インド、世銀等と共同で、カブールにおける電力アクセス改善を目的とした大規模送電線事業に着手しました。この事業はアフガニスタン北部と国境を接するウズベキスタンからの送電のため、山岳地帯を含め総延長420キロにも及ぶ送電線を設置するというもので、同国でこれまでに実施された最大規模のインフラ事業です(ADBは4000万ドル融資)。

4年がかりの事業の結果、2009年1月から同市内への電力供給が開始され、それまで1日2時間程度だった電力供給がほぼ24時間安定して供給されるようになりました。教室には明かりがともり、工場や商店は活気づき、病院などの主要公共サービスも向上、400万人の市民がその恩恵を享受しています。

また、ディーゼル燃料による大気汚染の問題も改善されており、環境の面からも恩恵を受けています。

本事業の成功を受け、ADBは、タジキスタンとカブールを結ぶ新たな送電線の建設やカブールの配電網拡張事業も予定しており、本事業の成功が同国の復興や地域経済協力に果たした役割は大きいと言えます。