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MDBsパンフレット(2011年版)

世界銀行グループ(The World Bank Group)

更に詳しい情報は下記インターネットホームページをご参照ください。

IFC http://www.ifc.org/(英語)

http://www.ifc.org/tokyo/(東京事務所、日本語)

MIGA http://www.miga.org/(英語)

約190か国が加盟する「ワールド・バンク」日本は第2位の出資国

世界銀行グループは、その名が示す通り、世界中の地域から様々な国々が加盟し、これらの地域の開発途上国に対し幅広い援助を行っていることから、まさに“世界の銀行”であるといえます。世界銀行グループは、途上国の異なる発展段階や多様な資金需要に応じるため、国際復興開発銀行(IBRD)、国際開発協会(IDA)、国際金融公社(IFC)、多数国間投資保証機関(MIGA)等の目的の異なる複数の機関により構成されています。

世界銀行(IBRD・IDA)の目的と課題

沿革

世界銀行の歴史は、1944年7月に開催されたブレトン・ウッズ(米国ニューハンプシャー州)会議に遡ります。この会議では、第二次世界大戦後の世界経済の安定と発展について協議が行なわれ、国際通貨システムの安定を目的とする国際通貨基金(IMF)と戦争で疲弊した諸国の経済復興を目的とする国際復興開発銀行(IBRD)の設立が合意されました(2つの機関を総称して、ブレトン・ウッズ機関と呼びます)。さらに1960年には、より譲許性の高い資金を提供し、開発途上国の経済発展を促進する観点から、国際開発協会(IDA)が設立され、以後、IBRD・IDAは、開発援助の分野で一貫して主導的な役割を果たしてきています。

主要な業務

IBRDとIDAは、開発途上国の貧困削減に向けた努力を支援することを目的とし、これらの国々における持続的成長、人々の生活水準の向上に資するプロジェクトやプログラムの実施に対して、主に融資による支援を行うと共に、専門的見地から政策アドバイスを行っています。

IBRDは、途上国一般に対する準商業的な融資を行っており、融資期間は最長で30年です。一方、IDAは、長期・無利子の融資等を行っており、融資期間も最長40年(内、据置10年)に渡ります。

資金の調達については、IBRDでは加盟国からの出資金だけではなく、国際資本市場からの調達も行いますが、IDAの活動は、主として加盟国からの出資金で賄われています。

課題

2008年11月、世界銀行はサブプライム住宅ローン問題に端を発した世界的金融危機に対応するため、今後3年間でIBRDによる途上国支援の資金枠を総額1,000億ドルに拡大することを発表しました。これにより、2009世銀年度(2008年7月から2009年6月)には、前年度(135億ドル)の3倍近い329億ドルを、さらに2010世銀年度には442億ドルの新規融資を承認しました。しかし、こうした融資の拡大の結果、現状の資金基盤では今後の業務運営に制約が生じることなどから、世銀の開発委員会において、IBRDでは、資本金の拡大(30%の増資。このような増資は、全加盟国に追加的な出資を求めることとなるため、通常「一般増資」と呼称されます。)が合意されました。併せて、途上国の発言権の強化等を目的とする投票権(ボイス)改革も発効し、途上国全体の投票権シェアは3.13%上昇することとなりました。(資本金は約15%増加。上記の「一般増資」と対比して、通常「選択増資」と呼称されます。なお、投票権改革の第一段階として、平成20年10月に各加盟国が保有する基本票の倍増が合意されており、これと併せ、途上国全体の投票権シェアは4.59%の増加となります。)。

IDAでは、世界金融・経済危機への対応として、低所得国への支援を拡充しています。2012世銀年度以降の融資原資を賄うことを目的として行われた第16次増資交渉では、328億SDR(約493億ドル)規模の増資規模及び各国の負担額に関する合意が成立しました。

ミレニアム開発目標(MDGs)の目標達成期限まで5年を切った今、拡充された資金基盤を基に、世銀が更に効果的に、効率的な支援を行っていくことが期待されています。

■IBRD出資割合 ※1

IBRD出資割合の円グラフ

■IDA出資割合 ※2

IDA出資割合の円グラフ

※1、※2 IBRD、IDAの出資割合については、2010年に合意された増資に対して、全ての加盟国が出資を行った後の数字

■IBRD・IDA融資状況(2011世銀年度:承認ベース)【単位億ドル】

IBRD・IDA融資状況(2011世銀年度:承認ベース)の円グラフ
世界銀行グループの歩みと日本

新幹線、黒四ダム建設費用の借入にはじまり、今日では日本は資金面、人材育成など多方面で貢献しています

1945 ブレトン・ウッズ体制の一環として、IMFと共にIBRDを設立
当初の目的は第二次世界大戦で荒廃した欧州の復興が中心
1952 日本の加盟:加盟当時の出資比率は2.77%(第9位)
1956 IFC設立
1960 IDA設立
この頃から、貧しい途上国に対する開発援助が業務の中心に。
1964 IMF世銀総会を東京で開催
1971 世銀東京事務所開設
1974 IMF・世銀合同開発委員会設立
1978 「世界開発報告」創刊
1980 中国の加盟
1984 日本のIBRDへの出資比率が加盟国中第2位(5.19%)となる。
1988 MIGA設立。寺沢芳男氏が初代長官に就任
1989 累積債務問題に関し、ブレイディー構想を支援
1991 地球環境ファシリティー(GEF)パイロットプログラム開始
1992 ロシア等旧ソ連諸国の加盟
1997 アジア通貨危機発生
2002 日本の世界銀行加盟50周年
2012 IMF・世銀総会を東京で開催(予定)

新幹線、黒四ダム建設費用の借入にはじまり、今日では日本は資金面、人材育成など多方面で貢献しています現在我が国は世界銀行グループ各機関において第2位の出資国であり、積極的な資金貢献を行っていますが、かつては世界銀行からの借入国でした。我が国の世界銀行からの借入は、1953年の関西電力多奈川火力発電所建設用借款が第1号であり、その後黒四ダム、東海道新幹線等を含め、1966年の東名高速道路(東京〜静岡区間)建設用借款まで、合計31件・8億6,300万ドルに上り、戦後日本経済発展の基礎となった重要な産業・インフラストラクチャーの整備に大きく貢献しました。また、世界銀行による貸付は、資金的な側面だけでなく、ソフト面でも我が国の発展に大きな貢献を果たしています。例えば、高速道路建設に対する貸付の中で、クロソイド・カーブ(滑らかな走行を可能とするカーブ)の技術を我が国で最初に導入し、我が国の土木技術の発展に重要な足跡を残しました。これらの借款の返済は、1990年7月に終了したところです。

世界銀行の借入国から卒業した後も、我が国は世界銀行に様々な方面で協力しています。世界銀行グループ各機関に出資する他、世界銀行に設置された信託基金である「開発政策・人材育成(PHRD)基金」、「日本社会開発基金(JSDF)」に対しても資金を拠出し、世界銀行の活動の質的向上に非常に重要な役割を果たしています。

なお、2012年秋には、我が国において世銀の年次総会が開催されることとなっています。(3ページ参照)

プロジェクト紹介
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バングラデシュ女子中等教育支援プロジェクト

バングラデシュにおける女子の教育は長年にわたる政府の懸案事項でした。女子の識字率は男子に比べて低く、また、1991年時点の女子の就学率は、初等教育で75%であるのに対し、中等教育ではわずか14%でした。これは、男子の就学率(初等教育:85%、中等教育:25%)と比べて低く、男女間に教育の格差が見られました。

このような中、バングラデシュ政府は、現地NGOが開始した奨学金支給プログラムを拡大することにより、女子の中等教育への就学率向上を図りました。IDAはこのプログラムを支援する形で、1993年からバングラデシュ女子中等教育支援プロジェクトを開始しました。なお、本プロジェクトの準備に当たっては、日本政府も信託基金を通じた支援を行っています。

本プロジェクトの主な目的は、中等教育を受ける女子の数を増やすとともに、修了試験合格のための支援を行うこと、中学校における教師(特に女性)の数を増やすこと、教育環境の改善などでした。こうした目的のため、奨学金の支給、教師や学校関係者の研修などが行われました。

これにより、バングラデシュにおける女子の中等教育就学者数は、1991年の110万人から、2005年には390万人へと3倍以上になりました。また、就学者数全体のうち、女子の割合は、1991年の33%から、1997年には48%、2008年には55%になり、プロジェクト対象地域における女子の中等教育修了試験合格率は、2001年の39%から、2008年には63%まで向上しました。

供給側では、教育の質の向上の観点から、3万3000人以上の教師が研修を受けました。また、学校運営委員会のメンバー約6万4000人及びPTAのメンバー約6万4000人が、学校運営責任に関して、教育の質と学習環境に重点を置いた研修を受けました。また、僻地や貧困地域にも25の学校が新設されました。

さらに、プロジェクトによる間接的な効果として、女性の労働所得の上昇や栄養状態の改善などが実現しました。

本プロジェクトは女子の教育アクセス改善にかかる画期的取り組みであり、先駆的活動として知られています。この結果を受け、バングラデシュ政府は、本プロジェクトを全国的に拡大させています。

国際金融公社(IFC)

1956年7月に設立されたIFCは、開発途上国の民間企業に対する融資・出資を通じて、開発途上国における持続可能な民間部門投資を促進し、貧困削減と生活水準向上を支援することを主な目的としています。

近年、IFCは、「持続可能性の実現」を自らの優先課題とし、環境面、社会面に十分配慮したプロジェクトの組成に努めています。

また、IFCの専門性を活用した経営指導、投資環境整備に関する助言といった技術支援活動も行っており、これらは、IFCのプロジェクト形成やプロジェクトの効果の拡大といった面で重要な役割を果たしています。なお、IFCにおいても、投票権(及び出資シェア)の見直しが行われ、わが国は、IBRDのシェアよりもIFCのシェアのほうが低い水準になったことから、シェアの上昇がなされることとなりました。

多数国間投資保証機関(MIGA)

1988年4月に設立されたMIGAの主な目的は、開発途上国向け民間直接投資に係る非商業的危険(戦争・内乱、収用等)に対する保険・保証を行うことにより、民間直接投資の促進を図ることです。MIGAの保証は、政府保証を必要としないこと、また、民間保証機関と異なり、政治リスクを保証対象としているのが特徴です。

MIGAの活動には、また、各国の公的保険機関及び民間保険事業者との協調保険及び再保険があります。また、途上国と民間投資家の投資紛争解決業務も行っています。更に、民間直接投資の拡大・促進を目的として、途上国政府や投資促進機関に対する技術支援も行っています。

プロジェクト紹介
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インドネシア
オートバイのリテール・ファイナンス事業

インドネシアでは、近年、経済成長に伴い、オートバイのニーズが高まっています(2005年販売台数は2000年のそれと比べ、約5倍に成長しており、2010年には700万台超が販売されました。)。これに伴い、ローン需要も高まりを見せていましたが、同国内における金融サービスの整備が追いついていませんでした。

インドネシアでオートバイのリテール・ファイナンス事業を展開する日系子会社(以下、S社)は事業の運営・拡大のため、中長期資金の安定的な調達を目指しておりましたが、上記のように困難な状況にありました。

国際金融公社(IFC)は2008年9月、S社との間で、総額4,500万ドルを上限とする融資契約を結びました。IFCは、磁場通貨建て固定金利で供与することによって、現地で中期資金の調達を可能にしたのです。

さて、この融資契約にはさまざまな開発効果をインドネシアにもたらすことができます。

まず、経済への影響です。S社のようなノンバンクを育成することにより、商業銀行に集中する金融サービスを多様化できること、また、オートバイの保有者が増加することによって、ヒト・モノの移動を促進することができます。

次に社会面への影響です。現地の部品サプライヤー、販売・修理店など、オートバイ関連企業の雇用創出を促進し、インドネシアにおける就業の機会を増加することができます。

次に環境面への影響です。S社と長期的にパートナーシップを築くことで、四輪車に比べて環境負荷が少ないオートバイが普及すること、さらには、より環境負荷の少ない車種を推奨することなどを通じて、環境配慮や気候変動への取組みを促進することができます。

また、本融資は、我が国経済にも好影響を与えることが期待されます。

本融資は、S社によるファイナンス・サービス強化のための資金を提供するものであり、同社の手がけるファイナンスは、インドネシア消費者による日系メーカー製オートバイの購入に充てられることとなります。インドネシア国内のオートバイ市場では、そのシェアのほとんど(2010年では99%超(※1))を日系企業が占めており、S社が事業を拡大することを通じて、日系企業も同国内におけるオートバイ販売台数を伸ばすことに繋がります。

また、日系親会社にとっては、アジア地域における重要拠点である同子会社の事業拡大に必要な資金を、IFCの融資によって調達することができました。

■IFC出資割合 ※

IFC出資割合の円グラフ

■MIGA出資割合(2011年6月現在)

MIGA出資割合の円グラフ

※IFCの出資割合については、2010年に合意された増資に対して、全ての加盟国が出資を行った後の数字

■IFC融資状況(2011世銀年度:承認ベース)【単位:億ドル】

IFC融資状況(2011世銀年度:承認ベース)の円グラフ
気候変動への取組み

■気候投資基金(CIF:Climate Investment Funds)

気候投資基金(CIF:Climate Investment Funds)は、2012年までの開発途上国による気候変動問題への早期取組を強化するため、世界銀行に設立された多国間基金です。途上国が「ポスト京都」の新たな枠組みに参加しやすい環境の醸成を目指すものであり、昨年末コペンハーゲンで開催された気候変動枠組み条約第15回締約国会議(COP15)において我が国が発表した「鳩山イニシアティブ」においても、途上国支援における多国間の枠組みの中心に位置付けられています。

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CIFは、クリーンテクノロジー基金(CTF)と戦略気候基金(SCF)の2つの基金から構成されます。CTFは主要な途上国における温室効果ガス削減に向け、電力、運輸、ビル分野等のプロジェクトを支援する基金です。SCFは脆弱な途上国の適応等を幅広く支援する基金で、適応プログラム(PPCR)、森林投資プログラム(FIP)、再生可能エネルギー拡大プログラム(SREP)の3つのサブプログラムより構成されます。世銀等の既存の開発金融機関を活用し、排出削減に積極的に取り組む途上国、気候変動の悪影響に脆弱な途上国のうち、優先度の高い国を重点的に支援することとしています。

CTFでは、国・地域別に包括的な投資計画を策定し、国全体やセクター毎の排出削減目標等を掲げることで、広範な効果が検証できるよう工夫されており、また厳しい基準の導入を促し、我が国の技術や知見の利用が期待されるような高効率な発電所の建設、省エネ型産業設備の導入等を推進しています。これまでに13つの国・地域の投資計画が運営委員会において承認されました。アジアの国ではフィリピン、タイ、ベトナムが含まれています。

CTF支援の一例として、メキシコにおいて民間セクターの風力発電を支援するプロジェクトを運営委員会で承認しました。メキシコは40GWにも上る膨大な風力発電の潜在的キャパシティがありますが、2008年末時点では、わずか85MWの発電に留まっています。本件はメキシコ政府が民間投資促進のための政策として採用している自動風力発電方式の導入を支援するもので、約143MWの新規発電を生む、メキシコにおける初の自動風力発電プロジェクトです。低金利・長期間の資金をメキシコの民間企業に貸し付け、また、風力発電のオペレーションや施設の維持管理に関する技術の向上を支援することで、今後、民間セクターの風力発電への投資促進が期待されます。

■地球環境ファシリティ(GEF:Global Environment Fund)

GEFは開発途上国の地球環境保全への取り組みを支援するための多国間資金メカニズムです。1991年にパイロットフェーズとして開始され、1994年に正式発足しました。日本は当初より参加しています。現状、GEFの支援対象分野は以下の6分野です:1気候変動緩和、2生物多様性保全、3国際水域汚染防止、4土地劣化対策、5オゾン層保護、及び6残留性有機汚染物質対策。資金は世界銀行に設置された信託基金において管理されています。

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GEFの支援の一例として、生物多様性保全の取り組みをご紹介します。GEFは1998年より、インドネシアにおいて、サンゴ礁の回復及び管理を行い、その持続的な利用を可能とするための、インドネシア政府による国家プログラム(COREMAP)を支援しています。

インドネシアは世界で最も豊なサンゴ礁の生態系システムに恵まれています。その生態系システムは、漁業資源を提供し、エコツーリズムの観光資源となり、加えて海岸線保護にも重要な役割を担っており、沿岸住民の多くがサンゴ礁からの恩恵を受けています。

しかし、爆弾や科学薬品を用いた破壊的漁法等が原因で、環境の変化に脆弱なサンゴ礁は危機的な状態となり、またその豊な生態系システムから恩恵を受ける周辺住民の生活にも深刻な影響を及ぼすことが予想されました。

COREMAPにおいて、GEFは、いくつかの地域でサンゴ礁管理システムの試験的導入や、サンゴ礁保全管理のための政府機関の組織強化や地域コミュニティのエンパワメント、海洋保全に関する情報共有ネットワークの構築等を支援してきました。本件支援により、サンゴ礁の豊な生態系システムの保全や沿岸地域住民の環境保全への参画が実現しました。

GEFは、パイロットフェーズの開始から2010年までの間に、165カ国に対し92億ドルを供与、6分野で約2,700件のプロジェクトを支援してきました。GEFは環境分野における途上国支援のマルチのツールの草分け的存在であり、近年、地球規模の環境課題への関心が高まりつつあるなかで、今後もその役割に期待が寄せられています。