現在位置 : トップページ > 国際政策 > 国際開発金融機関(MDBs)〜世界銀行、アジア開発銀行等〜 > 米州開発銀行(IDB) > 第55回米州開発銀行・第29回米州投資公社年次総会 日本国総務演説

第55回米州開発銀行・第29回米州投資公社年次総会 日本国総務演説

English 印刷用(PDF)

第55回米州開発銀行・第29回米州投資公社年次総会 日本国総務演説
(平成26年(2014年3月30日(月)於:ブラジル コスタドサウイペ))

 



  1.  議長、総裁、各国総務各位、ならびにご参列の皆様、

     第55 回米州開発銀行(IDB)、第29回米州投資公社(IIC)年次総会にあたり、日本政府を代表して、ご挨拶申し上げることを光栄に思います。また、ホスト国であるブラジル政府、そしてバイーア州コスタドサウイペの皆様の暖かい歓迎に感謝申し上げます。

  2. 民間セクター開発
     中南米カリブ地域は、世界経済におけるアジアと並ぶ成長センターと評されており、GDPはASEANの2.5倍の規模に達します。日本は世界第4位、アジアでは最大の対中南米投資国であり、進出企業数も増加の一途で日本企業の中南米カリブ地域への関心は以前にも増して高まっています。

     昨年11月、中南米カリブ地域からも多くの参加を得て、「日本−中南米カリブ(LAC)地域ビジネスフォーラム」が成功裏に開催され、活発な議論が交わされるとともに、貴重なビジネス機会を提供することにも貢献しました。今後とも同フォーラムが日本と中南米カリブ地域のビジネスチャンスの架け橋となるよう、定期的に実施されることを望みます。なお、同フォーラムの開催を通じ、日本と中南米カリブ地域のビジネス面での強化が図られたことは言うまでもありませんが、同時に、比較的開発が進んだ中所得国が多い中南米カリブ地域における民間セクター主導の経済成長の重要性を改めて認識いたしました。

     この観点から、IDBの民間部門組織改革にかかるこれまでの議論の進展を歓迎します。中南米カリブ地域において、これまでIDBが培ってきた知見や糾合力は、民間セクター向けの支援を行ううえでIDBにとって大きなメリットです。IDBには、そうしたメリットを活かしつつ、より効率的且つ効果的な民間セクター向け支援を行っていくことが必要であり、効果的且つ現実的な改革となるよう、ドナーの意向を踏まえながら、拙速に進めることなく着実に議論がなされることを期待します。

      また、IDBの民間セクター向け支援において、多数国投資基金(MIF)の果たす役割も重要です。MIFは、1993年の設置以降、民間投資を促進するため、技術支援や小規模零細企業向け支援などを通じて革新的な支援を行ってきており、中南米カリブ地域における評価も高いものがあります。日本としても、MIFのユニークな特徴、支援形態そしてこれまでの支援実績を評価するとともに、これまで第2のドナーとしてMIFを支援してきたことについて誇らしく思います。

  3. 気候変動
     ここ中南米カリブ地域は、再生可能エネルギー導入が最も進んでいる地域のひとつと言えます。例えば、当地ブラジルは世界最大のバイオエタノール輸出国であり、メキシコは世界有数の地熱発電能力を誇っています。また、コスタリカは、供給電力の9割以上を再生可能エネルギーで賄う環境先進国で、温室効果ガス排出と吸収を相殺する「カーボンニュートラル」実現国家を目指しています。

     中南米カリブ地域は、島嶼国の海面上昇リスクやハリケーン被害などの自然災害が懸念される地域であり、近年の自然災害増加の要因のひとつとなっているのが気候変動です。こうした観点から、再生可能エネルギー導入をはじめ、中南米カリブ地域における環境に配慮した取り組みやIDBが気候変動対策を重点分野のひとつとして積極的に支援に取り組んでいることを評価します。

     特に中米カリブ地域においては、省エネ促進及び再生可能エネルギー導入に対して大きな期待が寄せられているところです。こうした中、日本は2012年のIDBモンテビデオ総会において、省エネ・再生可能エネルギー分野における日本の先進的な知見を活かし、中米カリブ地域を対象として、IDBとの協調融資により5年で3億ドル相当の円借款を供与する枠組み「CORE(Cofinancing for Renewable Energy and Energy Efficiency)」を発表いたしましたが、今般、円借款の供与額を10億ドル相当まで拡大するなど、IDBとの間で同枠組みを拡充することに署名しました。こうした枠組みを通じて、中南米カリブ地域における気候変動対策が更に促進されるとともに、日本の優れた環境技術が活用される機会が益々拡大することを期待します。

  4. IDBの財務運営
     IDBが域内の開発を進めるうえで、域内の旺盛な需要に応えることも役割のひとつですが、その大前提として、IDBには地域開発金融機関(「銀行」)として健全な運営をすることが求められます。これはIDBにとっての最重要課題のひとつであり、他の主要開発金融機関と同様に最高の格付を保持し続けることが必要不可欠です。

     どの開発金融機関においても、最高の格付を保持しつつ、資本を効率的に活用しながら、支援の最大化をはかることが望まれますが、とりわけ地域開発金融機関においては、貸付先がそれぞれの域内に限られることから、貸付先の多様化を図ることには一定の制約があります。こうした制約はIDBにとっても例外ではなく、昨今の格付会社による開発金融機関に対する格付手法の見直しは、資本政策をどう最適化していくかを改めて見直す重要な転機となっています。

     そうした観点から、IDBにおいて最適資本政策(Capital Adequacy Policy)の見直し作業が本格的に開始されたことを歓迎します。この作業は、民間部門組織改革にも密接に結び付いており、その策定プロセスにおいて、日本としても積極的に関与してまいります。

  5. 結語
     日本経済は、「三本の矢」によって、長く続いたデフレで失われた「自信」を取り戻しつつあります。足下では、4四半期連続でのプラス成長と景気回復の裾野は着実に広がっております。日本と中南米カリブ地域は、移住者による交流、そして貿易や投資を通じて長く安定した信頼関係で結ばれてきていますが、これからも中南米カリブ地域にとって安定したパートナーとして貢献を続ける条件が整ってきていることを嬉しく思います。
     日本は、域外国最大のサポーターとして、また、中南米カリブ地域の安定的な経済パートナー、そして中南米カリブ地域とアジア諸国との間の「掛け橋」として、域内の発展に引き続き貢献していきたいと考えます。
     最後に、当地ブラジルにおける本年のワールドカップ及び2年後のオリンピック・パラリンピックの成功を祈念します。

     どうもありがとうございました。