第45回IDB・第19回IIC年次総会 日本国総務演説(平成16年3月29日 於:ペルー・リマ)
第45回米州開発銀行(IDB)・第19回米州投資公社(IIC)年次総会
日本国総務演説
| 会期:2004年3月29〜31日 場所:リマ(ペルー) 演説:山本副大臣 (現地時間3月29日 午後16:45) |
| お問い合わせ先 財務省国際局開発機関課 (03)3580−3238 | |
| 第45回米州開発銀行・第19回米州投資公社年次総会 総務演説 |
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| 議長、総裁、各国総務各位、並びにご列席の皆様、 第45回米州開発銀行(IDB)、第19回米州投資公社(IIC)年次総会がここリマにて開催されることを嬉しく思います。日本政府を代表して、ペルー政府、リマ市民の暖かい歓迎に心から感謝申し上げます。 我が国経済は、設備投資とアジア地域への輸出に支えられて着実な回復が続いております。財政状況が極めて厳しい中、このような動きを持続的な成長につなげるために、我が国としては、年金制度改革、国と地方の改革、高速道路事業や郵政事業の民営化、不良債権処理等、官民の構造改革に引き続き取り組んでいく所存です。また、デフレについては、日本銀行と協力し、早期脱却を図ることとしております。 |
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| 1998年の金融危機以来続いてきた中南米の経済停滞は、先進国経済の回復や1次産品価格の上昇に助けられ、ようやく底を打ち、回復のきざしが見えてまいりました。また、経済的逆境にあっても健全な経済運営を行っている国もあり、域内全体のGDPはマイナス成長からプラスに転じ、本年には4%近い成長も期待されています。更に、金融危機以来一貫して減少し続けてきた対外資本流入も回復に転じ始めました。特に、経済危機に直面したブラジル等の国々が、IDB等国際機関の協力を得つつ、着実に改革に取り組んでいることを評価します。また、最近、我が国とメキシコ合衆国との間で、経済連携の強化のための協定の主要点について実質的諸合意に達したことを申し上げたいと思います。 しかしながら、中南米諸国はアジアに比して比較的所得水準の高い国が多いにもかかわらず、その所得格差が縮小しているとは申せません。また、金融セクターの仲介機能の脆弱性、行政の非効率といった問題を解決し、中南米地域の市場環境を望ましいものとするには途半ばの感があります。特に、アルゼンチンについては、経済に回復傾向が見られることは歓迎されますが、持続的成長実現のためには、早期に対外債務問題を解決し、国際資本市場の信認を回復することが極めて重要であると考えます。 |
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| こうした、中南米諸国の所得格差是正、市場環境の改善という課題に対して、より効率的・効果的に取り組むために、以下の3つの分野に関して、IDB自身の体質改善が求められているのではないでしょうか。第1に新たな民間部門支援のあり方、第2に結果重視の業務体制作り、第3に財務体質強化と説明責任の向上、です。 (1) 新たな民間部門支援のあり方 IDB借入国の多くはいわゆる中所得国であり、長い目でみれば、これらの国にとって、民間セクター・プロジェクトあるいは官民パートナーシップによるプロジェクト、そして、それらを支えるための市場環境整備こそが、経済成長の鍵を握っていくことになるでしょう。IDBにとって、こうした課題は、民間部門局や米州投資公社(IIC)だけが取り組むべきものではなく、公的部門局も含め、IDBグループ全体が、競争力強化と市場環境整備の改善を銀行業務の主要目標に据え、各部門相互の連携を包括的な戦略に基づいて強化していくことが重要です。 今般策定された、民間部門開発戦略は、正しい方向への第一歩としてこれを歓迎します。これに則り、全体戦略の詳細な実施計画や個別国ごとの戦略を速やかに策定し、具体的な行動につなげていくことを強く求めます。 こうした中、多数国間投資基金(MIF)に関する増資が検討の俎上に上ろうとしております。MIFは、中小・零細企業支援を使命とするユニークな基金ではありますが、本基金の増資を協議するためには、IDBグループ全体の民間部門開発戦略が具体化されること及びより多くのドナーが参加することが不可欠であり、引き続き、関係者間における活発な議論が行なわれることを期待しております。 他方、所得格差是正の課題に対しては、上記に述べた中小・零細企業支援に加え、ソーシャル・セーフティ・ネットの確保、社会サービス効率化を引き続き支援していくことが重要です。特に効率的な社会サービスを末端にまで供給するためには、地方政府を含めた行政府の職員のキャパシティ・ビルディングが不可欠であると考えます。 また、現在、IDBでは新融資フレームワークの見直しに関する検討が始まる、ときいております。見直しにあたって、特に調整融資のこれまでの開発効果を十分に検証し、また、財務一般に与える影響を慎重に検討する必要があると考えます。 (2) 結果重視の業務体制作り モンテレイ・サミットにおいて打ち出され、先般のマラケシュ会合で再確認された、開発効果向上という政策課題の実施は、IDBにおいては、まだようやく緒についたばかりであり、国別支援戦略はもとより、デザイン、実施、評価という融資業務のすべての段階において、IDBの受益国における活動がいかなる開発効果をもたらすのかという 「結果連鎖」を明確にしつつ、数量的に測定できるモニタリング指標を考案する等、結果重視志向を徹底していくことが肝要です。また、それをより効果的に行なうためには、他の国際開発機関やドナーとの間で受益国の開発計画を積極的に共有することが不可欠です。昨年、新設された開発効果室を中心に、より具体的なアクション・プランが策定されることを期待します。 また、受益国自身がその効果を測定するために必要なデータ整備を行なうことも重要な課題です。我が国も生活水準改善プログラムに協力しておりますが、ドナーもこの点を支援していくことが望ましいと思います。 (3) IDBの財務体質の強化と説明責任の向上 創立50周年を5年後に控え、さらなる跳躍を図るためには、IDB自身のガバナンスを強化し、開かれた組織を目指すことが重要です。 この意味で、昨年導入された、新しい資本政策は、IDBの財務の強化に資するというだけでなく、株主・債権者双方に対する責任明確化という意味において高く評価できるものと考えます。また、本年より導入された、新しい情報公開政策も、更に改善すべき点はあるものの、IDBの説明責任向上に向けての重要な一歩であると思います。さらに、現在検討が進められている独立監査メカニズムの改革についても、他のMDBに比し遜色の無いメカニズムが早急に構築されることを強く期待しています。 |
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| わが国と中南米地域は、貿易や投資を通じて長く安定した信頼関係で結ばれてきましたが、この経済的な繋がりの根底に百年を超える脈々とした移民の歴史があることを忘れることはできません。約150万人と言われる日系人が我が国と中南米地域の架け橋となり、各国の経済社会発展に貢献してきた事実は我々にとって誇りであります。現在、中南米地域全体で21万人以上の沖縄系の移住者があらゆる分野で活躍しております。 沖縄はペルー同様に美しい自然と華やかな伝統芸能に育まれており、訪問される方々にとって貴重な経験になるでしょう。 南国沖縄で、来年4月に皆様方と再会できることを心より楽しみにしております。 |
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