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第44回IDB・第18回IIC年次総会 日本国総務演説(平成15年3月24日 於:イタリア・ミラノ)

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第44回米州開発銀行(IDB)・第18回米州投資公社(IIC)年次総会


日本国総務演説


会期:2003年3月24〜26日
場所:ミラノ(イタリア)
演説:小寺国際局審議官
(現地時間3月24日 午後15:45)


 

お問い合わせ先
 財務省国際局開発機関課
  (03)3580−3238



第44回米州開発銀行・第18回米州投資公社年次総会
総務演説

 
1.序


 議長、総裁、各国総務各位、並びにご列席の皆様、

 第44回米州開発銀行(IDB)、第18回米州投資公社(IIC)年次総会がここイタリア、ミラノにて開催されることを嬉しく思い、私は、日本政府を代表して、イタリア政府、ミラノ市民の暖かい歓迎に心から感謝申し上げます。

 我が国経済は、物価の下落が続くなど厳しい状況にあります。政府としては、日本経済を再生するために税制・歳出の合理化、不良債権問題への取組み、規制緩和の推進等あらゆる政策手段を動員し、日本銀行と一体となってこのデフレを克服して持続的な経済成長を実現するために強力かつ総合的に取り組んでいるところです。

 
2.域内国の現状と総裁再選


 中南米諸国の2002年は、経済危機に見舞われた国や政治の混乱が続いている国が多く、その対応に追われた年であったと思います。しかしながら、一方で堅調な経済運営を行っている国もあります。また、新政権の誕生した国からは財政改革等に対する強い意気込みが感じられることを忘れてはなりません。
 IDBとして、このような政治・経済情勢の下、難しい業務運営を迫られているわけですが、豊かな経験と立派な指導力を有するイグレシアス氏が総裁として再選されたことは大変頼もしい限りであり、我が国としても引き続き強い支持を表明いたします。

 
3.IDBの役割と現下の課題


 この1年間のIDBの業務の中では、緊急融資による対応に焦点が当たってきました。金融・経済の危機に見舞われている国への短期輸出信用や政府債保証といった新たなスキームが提案されていることは、我が国としても理解できるところです。
 しかしながら、IDBの行うこのような短期的な対応はあくまでも緊急的な措置であります。
 IDBの本来の役割は、IMFのように域内国の短期的な国際収支困難への対処を支援することではありません。1990年代の中南米に対する投資の中心は、資源開発型の直接投資や民営化のための直接投資等の資本流入でした。このような投資を呼び戻すためには、中南米経済の中長期的な構造上の問題を解決する必要があり、Counter-cyclicalな対応で代替しようとしても自ずと限界があるのではないでしょうか。
 IDBは、中南米諸国の公共セクター改革を推進し、その効率性・透明性を高めるとともに、金融セクター改革といった構造上の問題に包括的に対応していき、結果中長期的な投資・資金流入を呼び戻していくという役割があるのではないでしょうか。
 また、中南米諸国はアジアに比して比較的所得水準の高い国が多いにもかかわらず、貧困率が目立って減少していないのは大きな問題であると考えます。ミレニアム開発目標の達成を側面から支援するため、IDBは、教育や衛生状態の改善といった基本的分野に対する援助に加え、Social Safety Netの確保、中小企業のサポート、社会サービスの効率化を支援し、政治的にも経済的にも安定した地域作りの一翼を担うべきものと考えます。
 こうした活動を支援するためにもグッドガバナンスは重要であり、IDBが取り組んでいる「国の近代化」、「地方分権の推進」の政策を我が国としても積極的に支持いたします。このような政策が、所得の再分配や貧困削減に寄与するものと信じております。
 さらに昨年の外部諮問委員会の報告(グリア・レポート)にも言及されている民間セクター開発については、IDBの民間部門局、IIC、MIFといった機関の役割を改めて議論した上で、より効率的で効果的な協調体制を模索していくことも重要であると考えます。これに関連して、IICに係る今後の枠組みについて議論を開始したことは我が国としても歓迎します。

 
4.開発効果の向上と結果重視の業務運営


 モンテレイ・サミット及びヨハネスブルグ・サミット以降、限られた貴重な資金が人々の生活向上のために真に有効かつ効率的に使用されているかどうかについて、援助国・被援助国双方の国民がかつて無いほど真剣に見つめるようになっています。
 国際開発金融機関がその業務の開発効果を一層高めていくためには、他の開発パートナーとの協調をさらに促進するとともに機関自身のガバナンスや透明性の向上を図ることが強く求められます。IDBにおいても、例えばプロジェクト設計段階からの適切な開発効果指標の設定、モニタリング及び事後評価の強化、独立評価機能の強化などを通じて開発効果の向上に向けてのマネジメント及びスタッフの意識向上を図り、結果重視の文化を創っていく必要があります。
 開発効果を客観的に分析するためには、国毎に、各国の事情に応じた開発目標を設定し、適切なモニタリング指標を策定することが不可欠です。これらを効率的に運営するためには、IDBは、当該国政府及び世銀と協調し、各国毎の共通の開発目標を設定し、そのために適切なモニタリング指標を策定していく必要があると考えます。こうした点について、引き続き関係者間における活発な議論がなされることを期待しております。

 
5.New Capital Adequacy Framework


 一方、銀行の財務状況を見ると、限られた少数国に多額の融資が集中している中にあって、借入国のカントリーリスクが急速に高まってきたため、これまで充分には認識されていなかったポートフォリオ全体の信用リスクが顕在化してきています。しかし、現行の財務管理政策ではこうしたリスクが正確かつタイムリーに把握されないことから、IDBが早急に適正な引当金準備のための新たな制度を導入するよう求めます。
 国際資本市場からの高い格付を維持していくためには、適切な信用リスク管理を行う必要がありますが、そのためには、集中リスクをより厳格にコントロールするためのリスク管理システムの構築など、効率的な資金配分を可能とするために検討すべき課題も多いと思います。銀行の財務健全性を確実なものとする新たな引当金制度に基づき、一刻も早く適切な財務政策が実施されることを期待しています。

 
6.テロ資金対策


 また、一昨年9月11日のテロ事件以降、国際社会において、国際テロと闘うために様々な取組みが行われてきました。我が国も、昨年6月に、テロ資金供与防止条約等の実施に必要な国内法を成立させ、併せて外国為替及び外国貿易法を整備し、積極的に取り組んできています。
 同時多発テロ事件発生以降のIDBの取組みについては、我が国としてもこれを評価します。また、MIFにおける先駆的なマネロン・テロ資金対策のプロジェクトに見られるような積極的なマネロン・テロ資金対策の進展を歓迎します。今後とも国際的な枠組みの中で関係機関とも十分に協議の上、本対策を実施していくことを希望します。

 
7.IDBへの我が国の貢献と沖縄招致


 我が国の2003年度予算において、ODA予算全体が平均5.8%削減された中で、我が国がIDB内に設置した日本特別基金等の拠出金は前年度比13%増が確保される見込みであります。これは、我が国が引き続きIDBを通じ中南米の発展に貢献し、アジアとの架け橋としての役割を積極的に図っていくことの証であります。
 このような中、我が国は2005年に沖縄においてIDBの年次総会を招致することとし、今般、総務会決議での採択を求めております。皆様からの支持を賜りますよう、ここにお願い申し上げます。


以上