現在位置 : トップページ > 国際政策 > 国際開発金融機関(MDBs)〜世界銀行、アジア開発銀行等〜 > 米州開発銀行(IDB) > 第43回IDB・第17回IIC年次総会 日本国総務演説(平成14年3月11日 於:ブラジル・フォルタレーザ)

第43回IDB・第17回IIC年次総会 日本国総務演説(平成14年3月11日 於:ブラジル・フォルタレーザ)

English

第43回米州開発銀行(IDB)・第17回米州投資公社(IIC)年次総会

  

日本国総務演説

 

会期:2002年3月11〜13日
場所:フォルタレーザ(ブラジル)
演説:小寺国際局審議官

(現地時間3月11日 午後17:15)

お問い合わせ先
 財務省国際局開発機関課
  (03)3580-3238

 

第43回米州開発銀行・第17回米州投資公社年次総会
日本国総務演説
小寺清審議官

I. 序

議長、総裁、各国総務各位、並びにご列席の皆様、

第43回米州開発銀行(IDB)、第17回米州投資公社(IIC)年次総会が、ここ、ブラジル北東部開発の中心地であり、経済発展への活気がみなぎるフォルタレーザにて開催されることを嬉しく思い、私は、日本政府を代表して、ブラジル政府、フォルタレーザ市民の暖かい歓迎に心から感謝申し上げます。

厳しい状況にある日本経済ですが、再び従来のような力強さを早急に取り戻すためには、その潜在力を十分に発揮できるように抜本的な構造改革を行うことが不可欠です。そのため、徹底した歳出の見直しや、聖域なき改革に取り組んでおります。また、デフレの克服を当面の最重要課題と位置付け、先日、持続的な民間需要を早期に創出していくことを基本としつつ、不良債権処理の促進や、金融システムの安定等に全力を挙げて取り組むためのデフレ対応策を発表し、実施に向けて努力しているところです。

II.域内の開発課題に対するIDBの対応

2001年、ラテンアメリカ・カリブ地域は、中米旱魃、9月11日事件による観光客激減、コーヒー価格の暴落、アルゼンティン危機等、苦難に見舞われてきました。しかし、これらの苦境は、同時に域内経済の構造的な脆弱性を露呈したものでもあります。

特に前述した外的ショックにより最も大きな被害を被るのは貧困層です。現在のラテンアメリカ・カリブ地域は、社会開発分野への投資不足や、Social Safety Netの不備等から生じる貧困・国内所得格差問題は未だ深刻です。

昨年来のアルゼンティン危機は、日本でもBond Holderが存在することから、社会的な注目を集めています。アルゼンティン政府は国際社会から信任されるような財政・為替面におけるマクロ安定策をIMFをはじめとした国際機関と十分協議しながら早急に打ち出すことが必要です。また、国際金融機関も、この危機が他の新興市場国へ波及することのないように全力を尽くすべきです。

また、アルゼンティン危機は、マクロ安定策と経済自由化の効果が必ずしも中期的に国内産業の競争力の強化に結びつかなかったという事実を示しました。いかに民間資金を効率的に活用するための金融システムを構築するか、いかに労働力の需要と供給を効率的に結びつけるフレキシブルな労働市場を構築するか、いかに革新的な企業家精神を育てるか、そして、いかに透明で信頼できる政府を構築するかといった、競争力の強化に繋がるような環境の整備、すなわち、制度(institution)の問題を避けていては、国の発展は望むべくもありません。マクロ経済の安定や経済の自由化は発展のための必要条件ですが、十分条件とは成りえないのです。

このことは、アルゼンティンのみならず、域内の多くの国にあてはまることです。域内の持続的な成長のためには、これまで一定の成果を挙げているマクロ経済安定策、経済自由化や貧困層対策を後退させることなく継続・推進するとともに、中・長期的視点に立った構造改革を推進する必要があるということを強調したいと思います。

こうした観点から、ラテンアメリカ経済社会開発報告で、金融部門、人的資本、科学技術といった分野での競争力強化の提言を行ったことは、極めて時宜を得たものと言えます。

このような、組織・制度の整備、貧困問題への取り組み、為替管理や財政管理の能力の向上を図るには人材育成や組織の能力強化が重要であることはいうまでもなく、我が国は、従来から日本・IDB奨学金プログラムを通じて域内の人材育成に努めています。日本は極めて厳しい財政事情のため、ODAについても削減をせざるを得ない状況にありますが、今後も、ジャパンプログラム等を通じ、ラ米地域とアジア地域間の経済発展のための知見交換の促進など、知的な面での貢献をしていきたいと考えています。

III.IDBの業務改革

国際金融機関は従前から、開発のための資金の供給や、民間資金を導入するための「呼び水」的な役割といった資金面のみならず、各国とのPolicy Dialogueの実施や開発戦略の策定等を行うなど、経済・社会開発において重要な役割を担ってきました。しかし、昨今では、こういった重要な役割を担うことに加えて、その役割を効率的に果たし、効果的な開発を行うことが今まで以上に求められています。そのため、IDBもその業務の開発効果の一層の向上を図っていく必要があります。この観点から、私は次の3点を強調いたします。

第1に、IDBが地域開発金融機関として、その比較優位に基づいてselectiveな業務を行うことが重要と考えます。そのためには、世銀等、他の機関に対するIDBの比較優位のある分野、例えば地域統合を明らかにした上で、限りある人的・金融資源を当該分野に集中させることが求められます。

第2に、開発の効果をあげるためには、目的の明確化、測定可能(measurable)なモニタリング・評価指標の設定が必要です。借入国は、適切な財政管理システムとともに、こうした一連の実施システムを自国の中で制度化し、援助が説明可能(accountable)かつ透明(transparent)な形で使われることを目指すべきです。

第3に、これらの業務方法の見直しについては、他機関との協調・調和の強化の観点を踏まえることが重要です。特に国別援助戦略の策定段階や融資関連のポリシー等の分野での協力は、効率的・効果的な支援を実施し、借入国の負担を軽減するために不可欠といえます。

こういった観点から、昨年から検討されてきた新しい融資のフレームワークが確立されたことを歓迎いたします。ここで規定された、計画策定段階におけるプロジェクトの質やポートフォリオの改善といた開発効果を高めるための諸提案が速やかに実行されることを希望します。特に評価室(Office of Evaluation and Oversight)のレポートの提言については今後理事会と事務局で早急に具体化されることが重要です。

なお、今回提出された外部専門家グループ(External Advisory Group)による提言については、我が国も積極的にその議論に参加し、各国とともにその内容について吟味をおこなっていきます。

IV.沖縄招致

議長、

我が国は、今後ともラテンアメリカ・カリブ地域とアジア地域の架け橋となり、地域経済発展のため、資金面・非資金面双方にわたって貢献を続けていきたいと考えております。こうした観点から、我が国は2005年の総会を沖縄に招致する意図を再度表明したいと考えます。沖縄県は、日本の西南部に位置し、160あまりの島からなる亜熱帯性気候の県であります。

沖縄出身の人々は、ラテンアメリカ・カリブ地域の国々をはじめ世界中の多くの国に移民として、その地域・社会で活躍して来ております。また、皆様ご承知のとおり、2000年サミットを成功裏に実施した場所でもあります。

豊かな自然に恵まれた、文化・人の交流、交易の拠点である沖縄で、開発という問題を皆さんと議論してみたい、というのが私の強い希望であります。IDB総会が沖縄において開催されることとなれば、必ずや大きな成功に結びつくものと確信しております。このIDB総会の沖縄開催への期待を込めて、私の演説を終わらせていただきます。

以上