第42回IDB・第16回IIC年次総会 日本国総務演説(平成13年3月19日 於:チリ・サンティアゴ)
第42回米州開発銀行(IDB)・第16回米州投資公社(IIC)年次総会
日本国総務演説
| 会期:2001年3月19〜21日 場所:サンティアゴ(チリ) 演説:田波顧問 |
(現地時間3月19日 午後16:15)
| お問い合わせ先 財務省国際局開発機関課 (03)3580-3238 |
| 第42回米州開発銀行・第16回米州投資公社年次総会
議長、総裁、各国総務各位、並びにご列席の皆様 第42回米州開発銀行(IDB)、第16回米州投資公社(IIC)年次総会の開催にあたり、私は、日本政府を代表して、チリ政府、サンティアゴ市民の暖かい歓迎に心から感謝申し上げます。 90年代、ラテンアメリカ・カリブ諸国においては経済・社会改革を推進する一方、これら改革がもたらした「痛み」に対しても処置を講じていかなければならないという、まことに難しい経済・社会面での舵取りが必要とされていました。この間、IDBは多くの域内国のこうした難しい課題への取り組みに適切に支援の手を差し伸べてきたといえましょう。私はイグレシアス総裁のリーダーシップの下、一丸となってラテンアメリカ・カリブ地域の支援に情熱を注いできたIDBの努力に対して、深甚なる敬意を表したいと思います。 本年初頭、不幸にもエル・サルバドルにおいて多くの犠牲者を伴う地震がありました。私もこのニュースには心を痛めており、被災者の方々には心からのお見舞いの言葉を差し上げます。 その被災者の方々へのIDBによる迅速な支援は高い評価に値するものです。我が国も、震災直後に医療チームの派遣や約1,350万ドルの緊急援助を実施しておりますが、今後とも、できる限りの支援を続けてまいりたいと考えております。そのため、現在IDBとも協力した2国間協力の形や、我が国のトラストファンドを活用したIDBを通じた支援につき検討を行っているところであります。 一方、今回の地震も含め、最近、ラテンアメリカ・カリブ地域では地震、ハリケーンといった自然災害が繰り返し起こり、そのために生じた尊い命や財産への多大な被害について数々の報告がなされていることは会場の皆様もご存知のところです。このような事実に鑑みますと、IDBの活動においては、防災インフラの整備といった災害予防面にも力を入れていくことが肝要であり、この分野において経験をもった我が国として、知的支援を含め協力していきたいと考えます。
現在、国際開発金融機関の活動に対する国際世論、納税者の目は厳しいものがあります。従って、開発金融機関にとりまして、その活動の一層の効率性、透明性を図るべく改革に取り組むことは重要な課題であります。かかる状況の下で、私は、IDBが取り組むべき重要な課題として以下の3つを掲げたいと思います。 第1にIDB自身の改革への取り組みです。 ラテンアメリカ・カリブ地域には、一人あたりのGDPが比較的高い国においてもその日の食事すら事欠く貧困層が多数存在しております。IDBは、持続的経済成長、貧困削減・社会平等の達成を基本目標として掲げており、こうした目標の達成に焦点を当てた選択的な業務運営が求められています。こうした期待に応えてIDBは、社会セクター改革、民間セクターの競争力強化等に焦点を当てた機関戦略の構築を進めており、我が国としては、開発を巡る環境の変化に対応したIDBの自己改革として評価したいと思います。 IDBの融資政策についても、IDBが有するリソースの有効活用の観点から業務の選択性を強化するとともに、財務の健全性の観点から十分なリスク・マネジメントを実施するため、議論を行っていくことが重要と考えます。またIDBによる経済危機の防止及び影響緩和への貢献策につき検討を行う上で、1999年末に終了した緊急支援プログラムについて詳しく評価を行うことは時宜を得たものと考えます。 我が国としても、貧困削減は依然としてIDBにとって最も重要な課題の一つと考えており、IDBによる貧困削減への取り組みに対し更なる支援を行うために、先頃、我が国のトラストファンドを貧困削減プログラムに更に活用できるよう配慮したところであります。 なお、重債務貧困国の問題につきましては、拡充HIPCイニシアティブ適用の決定時点にボリヴィア、ホンデュラス、ガイアナ、ニカラグアの中南米4カ国が到達したことを歓迎するとともに、IDBにおいても早期に拡充HIPCイニシアティブが実施に移されることを期待します。我が国としては、このイニシアティブの着実な実施が貧困削減に効果的につながっていくことを期待しており、中南米4カ国に対し債権国中最大規模の2国間債権の削減を行うことに加え、IDBのHIPC財源として域外国中最大規模の貢献を行うこととしております。 第2に民間セクター支援のあり方の検討です。 市場指向の強まっているラテンアメリカ・カリブ経済にとって成長のエンジンである民間セクターへの支援は、経済全体の効率性の向上や競争力強化にとって重要な要素であるとともに、雇用拡大を通じて貧困削減にも貢献するものです。 民間部門局は、90年代のラテンアメリカ・カリブ地域の経済発展に伴う民営化の急速な進展に呼応して1994年に設立されましたが、設立以来、交通、上下水道整備等の分野で多大な貢献を行ってきております。近時の、ラテンアメリカ・カリブ地域における目覚しい構造改革の結果、これら諸国においては民間セクターが資本市場から長期資本を調達することが可能となってきてはおりますが、その動きを補完するためにもIDBの民間セクター支援は極めて重要であり、今後ともその積極的な活動を期待しております。 多数国間投資基金は1993年の活動開始以来、中小・零細企業育成支援や投資促進事業を行い、多くの雇用を生み出してきております。我が国を始めとするアジア地域には、中小企業・零細企業が、産業の裾野として活発に活動し、経済成長や貧困削減への道筋をつけていったという経験があります。この経験に鑑みれば、ラテンアメリカ・カリブ諸国においても中小・零細企業の「効率性、活力、弾力性」の改善が重要であると言え、この点で投資基金が果たしてきている役割の重要性を強調したいと思います。 このように、IDBの民間セクター支援の手段は民間部門局、投資基金、米州投資公社と充実したものとなっていますが、今後もこれらの有機的な連携を更に推し進め、より一層効率的、効果的な支援を行うことが肝要であると考えます 第3に、他の地域との開発の知識・経験の共有を進めることの重要性です。 ジャパンプログラムは、アジア地域とラテンアメリカ・カリブ地域の開発面での知識の共有、交換を目的として我が国が1999年にIDBの中に設置したものであります。このプログラムは、設置以来、両地域間における開発にかかる知見を交換・統合させることにより、経済・社会開発への新たな処方箋を導き出す手がかりを与えており、知的貢献という面で新たな機軸を産みだしています。 ジャパンプログラムの働きにより、このサンチャゴ総会の場におきましてもセミナーが開催され、また、来る5月のアジア開発銀行総会時においても予定されており、両地域の経験の応用が期待されるところです。ADBとIDBが、これらのセミナーの開催を契機として互いに協力することになったことは、地域開発金融機関同士のパートナーシップという面での新たな試みであり、今後の発展を大いに歓迎したいと思います。 今後ともIDBがジャパンプログラムの成果をその英知として取り込み、一層の活用を図っていく努力を期待いたします。
議長、 ここで我が国における2005年の総会招致の意図を表明したいと考えます。 我が国は、ラテンアメリカ・カリブ地域とアジア地域の掛け橋となることを長年希望してきて参りました。ラテンアメリカ・カリブ地域に関する代表的な機関の一つであるIDBの年次総会をアジア地域の一国である我が国にて開催し、両地域の結びつきを一層強めることに貢献できることは、我が国にとりまして至上の喜びであります。 開催地としては沖縄を念頭においております。沖縄県は国際交流の拠点となることを目標としている県であり、また、皆様ご承知のとおり、2000年サミットを成功裏に実施した場所でもあります。IDB総会が沖縄において開催されることとなれば、必ずや大きな成功に結びつくものと確信しております。
議長、 IDBが、今後、ラテンアメリカ・カリブ地域の発展の中核たる機関として一層重要な役割を果たしていくことは疑いもなく、自己改革を精力的に進めつつ、同地域における様々の課題に着実に対応していくことを期待し、私の演説を終わらせていただきます。 |
