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第40回IDB・第14回IIC年次総会 日本国総務演説(平成11年3月15日 於:フランス・パリ)

English

 

第40回米州開発銀行(IDB)・第14回米州投資公社(IIC)年次総会

 

 

 

日本国総務演説

 

 

会期:3月15〜17日
場所:パリ
演説:谷垣政務次官

(現地時間3月15日午後3:30)

 

 お問い合わせ先

  大蔵省・国際局

 開発機関課3・4係

電話3581-4111(代)

  内線2912,2918

 

 

 

 

 

1.挨拶

  議長、総裁並びに各国総務各位

 第40回米州開発銀行(IDB)・第14回米州投資公社(IIC)年次総会の開催に際し、私は、日本政府を代表して、フランス政府及びパリ市民の皆様の温かい歓迎に対し心から感謝申し上げます。
 また、イグレシアス総裁のリーダーシップと各理事、スタッフの中南米開発に対する尽力に敬意を表したいと思います。

 更に、エルニーニョ現象に起因する災害、ハリケーン・ミッチ、コロンビア大地震といった予期せぬ自然災害が多くの国に被害を及ぼしました。あらためて亡くなられた方々のご冥福をお祈りするとともに、被害に遭われた方々に対しお見舞いを申し上げます。

2.ブラジル危機への対応について

  議長

 96、97年と順調な成長を続けてきた中南米経済は、一次産品価格の低迷、自然災害の発生、ブラジルの経済危機の影響により、98年には成長率が大幅に低下したものと思われます。ブラジルの経済危機がさらに続き、深刻化した場合には、中南米経済に更に大きな影響が生じる懸念があります。中南米諸国が成長を回復するためには、ブラジル経済の安定化を図ることが、何よりも重要であると考えます。

 アジア危機においては、脆弱な金融セクターを通じて海外から巨額の資金が流入し、過剰な民間投資が行われました。これと比較すると、ブラジルの危機は、財政赤字の拡大が原因であったという相違があります。しかし両者には、大量の外資の流入を可能にした硬直的な為替制度が通貨の過大評価を招いたという共通点があります。更に、これら二つの危機は、経済のグローバリゼーションの進む中、開放的な新興市場国経済が急激かつ大量の資本移動のリスクにさらされているという、より根本的な問題を共有しております。

 したがって、我々がアジア危機への対処から得た教訓は、ブラジルの危機においても有効なものがあると考えております。特に、アジアにおいて危機に直面した国々が、通貨防衛を念頭において緊縮的な財政・金融政策運営を行った結果、それが過度の引き締めとなって実体経済を一層収縮させ、企業の倒産、失業の拡大等、様々な問題の一因となっています。

 ブラジルにおいては、市場のコンフィデンスの低下の原因が大幅な財政赤字にあったことからすれば、適切なIMFプログラムのもと、ブラジル政府が財政の健全化に努めることは重要であります。ただ、今申し上げたような経験から、金融面を中心に、経済状況をモニターしながら、バランスのとれた政策運営に努める必要があると考えています。

 また、これらの危機の本質が流動性危機であることに鑑みれば、危機を回避し、あるいは危機の深刻化を防ぐために、国際社会が十分な流動性を迅速に供給する必要があります。その中心的な役割を担うのはIMFですが、危機によって長年にわたる開発の成果が失われ、貧困層が深刻な打撃を被るおそれがあることを考えれば、IDBなどの開発金融機関も積極的な役割を果たすべきと考えます。IDBが昨年、中南米諸国の危機に際して、新たな緊急融資制度を創設し、IMF、世銀と協調して迅速な対応を行ったことを評価したいと思います。

3.IDBグループの取り組むべき課題

  議長

 次に、IDBグループが取り組むべき課題として以下の3点を強調したいと思います。

 第一に、貧困削減に対する取り組みであります。

 中南米地域においては、今なお、1日当たり2ドル以下の暮らしを余儀なくされている人々が1億5千万人もいます。90年代の経済成長も貧困問題を解決せず、相対的な貧富の格差はむしろ拡大しました。更に、これら貧困層は最近の経済危機、自然災害で最大の犠牲を払っています。貧困問題の解決には、経済成長を通じた1人当たり所得の向上ばかりでなく、貧困層をターゲットとした教育、保健・医療の充実や、ソーシャルセーフティネットの整備等、開発における社会的側面をより重視していくことが大切です。
 なお、3年間にわたり加盟国間で検討されてきた譲許財源問題が、昨年12月に実質合意し、IDBの貧困問題への対応能力の強化が図られたことを高く評価したいと思います。

 第二に民間資金の流入促進への取り組みであります。

 危機の影響により、中南米諸国への民間資金の流入が減少する中、中南米諸国が開発に必要なインフラ整備を進めるための膨大な資金需要をどうやってまかなうかが重要な課題となっています。民間資金の流入の促進を図るため、IDBがその触媒機能を一層活用することが重要だと考えます。

 また、中南米諸国における中小企業の発展、中小企業への外国資本の流入のためにIICは重要であり、今回、増資問題について基本合意に達したことについて高く評価します。今後、早期に最終合意が得られ、IICの財務基盤の強化が図られる必要があり、我が国としては、引き続き早期合意のため積極的に交渉に参加したいと考えます。

 第三に環境問題に対する取り組みであります。

 都市環境の問題は、貧困問題と密接に関連しております。農村の貧困が都市への人口集中を生みだしており、大気汚染や水質悪化等、都市環境を悪化させる要因となっています。都市環境の改善を図っていくためには、上下水道等の都市インフラを充実していくとともに、農村開発を通じて農村地域の生活水準の向上を図っていくことが重要であります。
 また、中南米諸国においては、地球温暖化に大きな影響を及ぼす熱帯雨林の保全が大きな課題となっております。私自身、「政治の基本は、治山・治水」を政治信条としており、森林、水資源といった天然資源保全の問題は極めて重要と認識しており、IDBが地域全体を視野に入れつつイニシアティブを発揮していくことを期待します。

 

4.ジャパン・プログラムについて

  議長

 最後に、今般、我が国の支援により創設されたジャパン・プログラムについて申し上げます。
 本プログラムは、アジアと中南米における開発経験や政策対応の相互活用を促進することを目的として、金融危機比較研究、環境対策、中小企業育成、農業技術等といったテーマを中心に調査・研究を行うものです。多くの中南米諸国がこうした調査・研究に積極的に参加することを通じて、本プログラムが当該国の開発に寄与していくことを期待します。

5.結び

  議長

 こうした課題を抱えた中南米諸国の社会的・経済的発展のためには、IDBグループが引き続き、中心的な役割を担っていく必要があり、我が国としても、その活動を引き続き積極的に支持していくことを改めて表明し、私の演説を終わらせていただきます。

(以上)