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 私は2013年の9月に、International Professionals Programme(IPP) を通じてEBRDに入行致しました。IPPは、二年の期間のうち自分の所属する部門以外の部署、支援対象国への出向も含めて4つの部署を半年毎にローテーションするプログラムです。 私は銀行部門のバンカーとして採用された為、銀行部門を中心にローテーションが組まれていますが、クレジット部門での勤務も予定されており、またロンドン本部外ではカザフスタンのアルマティオフィスへ配属される予定となっています。

 現在はロンドン本部にてEnergy Efficiency and Climate Change部に所属しています。当部署は、他の銀行部門と協力し、エネルギーやその他資源の効率的な使い方を通じて企業の経営効率の改善を目指すとともに持続可能な経営を推進するための投融資を行っています。私の場合、当部署では政策対話に関わっている為、一般的な銀行業務とは異なりますが、主な業務内容は各国の政策や事例の調査、資源効率化の視点からのプロジェクトのモニタリング、情報周知やマーケティングのための出版物の策定、外部関係者とのコミュニケーションとなります。金融出身の私としては戸惑うことも多いですが、直接的に支援対象国の政府に働きかけ、資源の効率化を国を挙げて推進していく過程を目の当たりにできるのは大変興味深いものです。この様に自分の専門外の業務に携わり、包括的に当行のアプローチを学んでいけるのはIPPの大きな魅力のひとつだと思います。

 EBRDの特徴は公的機関でありながら、支援対象国の民間部門の育成に重きを置いていることにあります。民間の金融機関と同様に企業の投資魅力度を査定した上で投融資を行い、必要に応じて経営改善のサポートを行っています。また、政府との対話を通じた体制の整備も積極的に行っており、公的機関ならではのスケールの大きなアプローチも可能です。EBRDに入行以前は、日本の民間の投資ファンドでバイアウト案件に携わっておりました。企業への投資は私の学生時代からの興味であり、投資先企業・外部アドバイザーと一緒となってビジネスモデルや経済状況等を考慮し、最適な投資を行い企業の発展に携わっていける仕事はとてもやりがいを感じるものでした。一方で様々な国のプロジェクトに携わってみたいという気持ちも強く、EBRDの存在を知った際には自分の経験、興味を活かし、支援対象国の企業の成長に貢献できるのではないかと思いました。実際に入行後、バンカーが直接的に投融資先企業の方々、政府関係者と議論をし、プロジェクトを組成、実行していく様子にとても刺激を受ける毎日です。

 更にEBRDにある多様性も大変魅力的です。EBRDは旧ソ連諸国、中東・北アフリカの一部等を投融資対象としています。EU諸国と日本の間に位置しているものの、近いようで遠い、遠いようで近いとてもエキゾチックな地域というのが私の第一印象です。プロジェクトを通じ国や文化に触れ、多種多様なバックグラウンドの同僚と仕事をしていくことは非常に刺激的で楽しいものです。現在はカザフスタンへの派遣に向け、ロシア語の勉強に励んでいます。

 日本国外で働くことは困難なことも多いですが、沢山の仲間に支えられ、ともに切磋琢磨し乗り越えていく毎日は大変充実しています。是非日本人の方々にもEBRD、IPPに興味を持って頂けたら幸いでございます。 
 

IPP(International Professionals Programme)アナリスト
阿部頼子