第17回EBRD年次総会 日本国総務演説(平成20年5月18日 於:ウクライナ・キエフ)
| 第17回欧州復興開発銀行年次総会総務演説(仮訳) |
| (平成20年(2008年)5月18日(日) 於:ウクライナ キエフ) |
議長、総裁、各国総務並びに御参列の皆様、 |
欧州復興開発銀行(EBRD)第17回年次総会の開催にあたり、この総会を開催するウクライナ政府及びキエフ市の皆様の暖かい歓迎に対して、心から感謝申し上げます。 |
今回の総会は、8年間にわたり総裁を務められたルミエール総裁の最後の総会です。この8年間、EBRDの活動は目覚しい成果を挙げ、その内容も大きく変わりました。ルミエール総裁のリーダーシップの下で取りまとめられた第三次資本財源レビュー(CRR3)に基づき、昨年はチェコが初めて卒業し、2010年までにはEU-8諸国も卒業することとなっております。また、2000年には年間事業規模の約4割が中東欧諸国を対象としていましたが、2007年の中東欧諸国向け業務のシェアは1割未満となっております。これにより、EBRDの業務は体制移行の遅れている東・南方にフォーカスすることとなりますが、これは、ルミエール総裁の大きな功績の一つであり、我が国はそれを高く評価します。そして、これはまた、EBRDがそのtransition mandateをしっかり果たし、ミッションを成し遂げつつあるという証左でもあります。 また、本総会では、ドイツのミロー財務次官が新総裁候補として推薦されております。わが国は、ミロー財務次官のこれまでの国際分野での優れた実績に鑑み、総裁就任を強く支持いたします。 |
議長、 |
私は、EBRDが今後重点的に取り組むべき課題として、何点か強調したいと思います。 |
第1に、体制移行の遅れているEarly Transition Country(ETC)への支援強化です。現在EBRDが取り組んでいるETCイニシアティブは、これらの国々を支援する上で効果的な枠組みであり、わが国としても引き続き支持してまいります。同イニシアティブの下、ETC向けの案件数が着実に増加していることを歓迎します。新総裁には、特に中央アジア及びモンゴルに業務をフォーカスすることを強く期待します。 |
| 第2に、業務規模の適正化です。現在の業務量は第3次資本財源レビュー(CRR3)で各国が合意した水準を大幅に超えて推移しています。これは民間金融機関であれば歓迎すべき事態でしょうが、EBRDにあってはむしろ懸念せざるをえません。需要に応じて野放図に融資を拡大するのでは、CRR3であるべき業務量を議論した意味がなく、授権された資本の範囲内で業務運営を行うことさえ危ぶまれます。その意味で、CRR3の残り期間において年間業務規模の上限が設定されたことは適切であり、これを歓迎します。言うまでもなく、EBRDの業務の成功は、業務規模で計られるべきものではなく、あくまでEBRDの投融資にどれほどのadditionality及びtransition impactがあったかが重要です。昨年実施された案件のtransition impactの評価が高いことは心強いものがありますが、他方で、現行の評価システムでは国レベルで市場経済への移行の観点からどれほどの成果を挙げているかが加味されておらず、限界があります。 EBRDがその限られたリソースの中で最大限のtransition impactをもたらすためには、国レベルで市場経済への移行の観点からしっかりとした成果を挙げている国を中心に業務展開をすべきであり、今後、このような観点をEBRDの業務運営の中で取り込んでいくことを期待します。 |
| 第3に、適切な純益処分です。2007年の純益は11億ユーロと、昨年に引き続き巨額の純益を記録しました。わが国は、今回の純益処分において、技術支援及び配当に配分すべきことを主張いたしました。 この点、技術支援に初めて配分が行われることとなったことをわが国は歓迎します。特に、今回の総務会決議案において、ETC向けの配分のほか、135百万ユーロがチェルノブイリ原発の支援事業のために配分されることとなったことをわが国は強く支持します。国際的課題であるチェルノブイリ原発の支援事業については、わが国も従来からチェルノブイリ・シェルター基金及び原子力安全基金に対して、多額の貢献を行ってきたところです。ウクライナの総会において本総務会決定が行われることは、象徴的な意味があると考えます。我が国はG8議長国として、チェルノブイリ原発の支援事業の継続のために努力してまいります。 配当に関しては、EBRDの使命が成功を収めつつあることの象徴として、対外的にも好ましい効果があるとわが国は考えます。こうした配当は、EBRDの支援対象国に対するコミットメントを減少させるということを意味するものではありません。「2007年末の準備金・資本の状況からは、配当は可能であった」との総務会決議の表現をわが国は歓迎します。来年以降も引き続き配当の実現について各出資国が真摯な議論を継続し、財務上可能な状況であれば、配当を行うべきであると考えます。 |
| 第4に、気候変動への取組みの強化です。気候変動のようなグローバルな課題に対しては、国際社会が一致協力して取り組む必要があります。EBRDは、気候変動を業務運営の中でいち早くメインストリーム化するなど、先駆的な取組を進めており、わが国としても高く評価します。特に、2006年に開始されたSustainable Energy Initiative(SEI)が計画を上回るレベルで進捗している点を歓迎します。 わが国は、エネルギー効率化等の分野において先進的な技術を蓄積しており、こうした技術を支援対象国に対し積極的に還元していきたいと考えております。こうしたことから、わが国として、EBRDにおける気候変動への取組みの更なる支援のため、SEIに対し3百万ユーロの拠出を行うことといたします。 |
| 議長、 |
| 最後に、EBRDは、1991年の設立以来、EU-8諸国の卒業への道筋をつけるなど、大きな成果を挙げてきました。他方、transition bankとしての性格から、成功を収めれば収めるほど、将来的には業務量が減るという事態が待ち構えています。EBRDの業務が一つの節目を迎えつつある今、その将来のあり方について様々な意見が出されておりますが、新総裁の下、第4次資本財源レビューを実施していく中で、EBRDのtransition mandateが概ね達成された際の対応についての検討を開始することが必要になってくるのではないかと考えます。 |
| ご清聴ありがとうございました。 |
