第15回EBRD年次総会 日本国総務演説(平成18年5月22日 於:英国・ロンドン)
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| (2006年5月22日(月) 於:ロンドン) |
議長、総裁、各国総務並びに御参列の皆様、 |
欧州復興開発銀行(EBRD)の創立15周年という節目の年次総会の開催にあたり、日本政府を代表して所信を申し述べることを光栄に思います。 |
本年は5年に一度EBRDの進むべき方向を議論する資本財源レビューの年です。第3次資本財源レビューについては、本日の総会の直前にいたるまで真摯な議論が行われ、最終的に理事会のコンセンサスが得られたことを喜ばしく思っています。ルミエール総裁の尽力を称賛します。 第3次資本財源レビューにおいて、EU8がその期間中に卒業することと地域事務所の統廃合が明記されたことは、これまでの15年間にわたるEBRDのtransition bankとしての活動の明確な成果を示すものであります。今後はEU8が迅速に卒業していくよう、EU8の移行プロセス及び自らの活動の完了を確保していくことがEBRDの役割となります。EU8の卒業については結論を得ましたが、我が国としては、次回の資本財源レビューに向けて、EBRDの卒業政策がいかにあるべきかを引き続き議論する必要があると考えています。 |
議長、 |
私は、EU8の卒業に加え、EBRDが今後重点的に取り組むべき課題として、3点を強調したいと思います。 |
第1に、体制移行の進んでいない7カ国(ETC)への支援強化です。 我が国は、かねてより、ETCが、主要な市場から遠く離れ、グローバル化する世界経済の中で不利な条件を抱えていることから、これらの国々が民主的な政治体制の下、改革に真剣に取り組む場合には、国際社会が一致してこれを支援していく必要性を強調してまいりました。EBRDがETCイニシアティブの下、2005年にETCでのプロジェクト数を倍増させたことを歓迎します。今後も、EU8の卒業により生じる予算や人的資源をETCに振り向けていくことにより、このモメンタムを維持していくことが重要です。 我が国が支援してEBRDと世銀の共同で実施された民間企業の意識調査によると、司法制度の強化と汚職との闘いが、ETCにおけるビジネス上の障害を除去するにあたっての最大の課題です。EBRDは、引続き市場経済を支える法制度や機関の強化に注力する必要があります。我が国としても、キルギスの司法分野の能力構築を支援したように、日本欧州協力基金とETC信託基金を通じてETCのガバナンス強化や能力構築を支援してまいります。また、ETCは市場経済への移行とともに深刻な貧困の克服という相互に関連した課題に同時に直面していることから、世界銀行やアジア開発銀行による貧困削減を目指した支援とEBRDによる支援とが相互に補完し連携するよう十分な配慮が必要です。 モンゴルについては、支援対象国化の協定改正が総務会で承認されてからまもなく2年半になります。EBRDができるだけ早くモンゴルでの業務を開始できるよう、協定改正が早期に発効することを期待いたします。 |
| 第2に、気候変動への取り組みの強化です。EBRDにとり、旧ソ連邦諸国を中心にエネルギー利用の効率化のためのビジネスケースに基づくプロジェクトを組成していくことが大きな課題です。他のMDBsに先駆けて今般具体的に提案された気候変動・エネルギー効率化イニシアティブについて、我が国も積極的に議論してまいります。 |
| 第3に、環境・社会面での十分な配慮を確保しプロジェクトの質を高めることは、EBRDが果たすべき極めて重要な役割です。サハリンのエネルギー開発プロジェクトを例にとれば、EBRDは環境・社会面での懸念を払拭するため累次パブリックミーティングを実施してきたところですが、引き続きEBRD自らが説明責任を果たしていくとともに、他のレンダーと協力しつつプロジェクトのもたらす環境・社会面での影響について十分な配慮を確保していくことを求めます。 |
| 議長、 |
| 今回の資本財源レビューで合意されたEU8の卒業は、transition bankとしてのEBRDの歴史の中で最初の重要な成果であります。今後とも、ルミエール総裁が強いリーダーシップを発揮し、EBRDに求められる役割を十全に果たしていくことを期待しています。 |
| どうもありがとうございました。 |
