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第14回EBRD年次総会 日本国総務演説(平成17年5月22日 於:セルビア・モンテネグロ・ベオグラード)

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第14回EBRD総会 田野瀬財務副大臣総務演説
2005年5月22日(日)


1.
 
ご挨拶

議長、総裁、各国総務ならびにご列席の皆様、

欧州復興開発銀行(EBRD)第14回年次総会の開催にあたり、日本政府を代表して所信を申し述べる機会を与えられたことを光栄に思います。まず、この総会の主催国であるセルビア・モンテネグロ政府およびベオグラード市の皆様の温かい歓迎に対して、心から感謝申し上げます。

2.
 
業務への評価

議長、

まず、EBRDの業務運営について申し述べたいと思います。
 第一に、EBRDは昨年(2004年)、より小規模なプロジェクト形成に取組み、設立以来最高となる129件、総額41億ユーロのプロジェクトを形成しました。また、昨年承認されたプロジェクトの85%には高い体制移行効果が見込まれています。さらに、約300百万ユーロの純利益を計上しており、財務の健全性も確保しています。EBRDは、このような質量両面にわたる目覚しい成果を達成する一方で、経費予算を11年連続で実質伸び率ゼロに抑えています。我が国としては、こうした効率的な業務運営を支えているルミエール総裁はじめマネジメント及びスタッフの真摯な努力を高く評価します。
 第二に、EBRDは、プロジェクトの体制移行効果を最大化するため、事後評価を一層強化していくべきです。こうした観点から、今般のプロジェクト評価局の独立性強化に向けた見直しを歓迎いたします。
 第三に、EBRDが社会・環境問題などをはじめとして説明責任の向上に取り組んでいることを評価します。サハリンのエネルギー開発プロジェクトについては環境の問題に大きな関心が寄せられており、今後とも、EBRDとして、事業者が外部の関係者の声に耳を傾け、本プロジェクトについて幅広い理解を得るための努力を行うよう慫慂していくことを期待します。
 議長、
 EBRDは、来年、設立15周年を迎えます。また、本総会後には、今後5年間のEBRD業務の基本的あり方を検討する資本財源レビューが開始されます。こうした重要な時期に当たり、互いに密接な関連を有する2つの点、すなわち「体制移行の進んでいない国への支援強化」及び「体制移行の進んだ国の卒業」について申し述べたいと思います。

3.
 
体制移行の進んでいない国への支援強化

まず、中央アジア・コーカサスを中心とした、体制移行の進んでいない国への支援強化について申し上げます。
 わが国は、タシケント総会において、先進国の市場から遠く離れた内陸に位置する中央アジア・コーカサスの国々が、グローバル化する世界経済の中で、このような不利な条件を克服するためには、自らの国の体制を自由かつ開放的なものとし、貿易の自由化や投資の受入れを進めることが重要であることを強調いたしました。このメッセージは引き続き有効であると考えており、これらの国々は、こうした政策目的に向け一層の努力を行うとともに、地域協力に真剣に取り組む必要があることを強調したいと思います。わが国も、中央アジアでの地域協力を促進するため、昨年、「中央アジア+日本」対話を立ち上げたところです。
わが国は、現下のウズベキスタンにおける事態を憂慮の念を持って注視しており、全ての関係者が暴力に訴えることなく、事態が平和的な方法で収拾され、地域の安定が維持されることを強く期待しています。また、わが国は、一般市民の中に多くの犠牲者が出たとの報告が真実だとすれば、極めて遺憾なことと考えます。わが国は、同国が今後とも民主化、市場経済化に向けての努力を強化することを期待しています。
 ETC各国が改革に真剣に取り組む場合には、国際社会としても一致してこれを支援していく必要があります。その意味で、昨年EBRDが立ち上げたETCイニシアティブは極めて時宜を得た措置であり、また、ETC信託基金はガバナンス強化、能力構築支援のため重要です。わが国は同信託基金の創設に当たり600万ユーロの貢献を表明し、既に500万ユーロの拠出を行ったところです。
ETCイニシアティブの実施にあたっては、EBRDは、世界銀行・アジア開発銀行等の国際機関と十分連携を保っていくべきです。
 また、西バルカン地域は、紛争終結後、安定化に向かう一方で依然として脆弱性を抱えており、一層の安定化を進める上で持続的な経済成長を実現することが重要となっています。特にこの地域の高い失業率は懸念材料であり、中小企業育成・起業家の振興を通じた雇用創出が極めて重要な課題となっています。このため、我が国は、今般、中小企業における経営改善を目的とした日本・西バルカン・ターンアラウンド・マネジメント・プログラムを立ち上げたところです。
 ロシアにおいては、近年、多くの直接投資が行われていますが、今後とも安定的な直接投資を確保するためには、通関、租税、諸規制の整備・適切な運用を通じた投資環境・ガバナンスの改善が必要です。
 また、モンゴルについて、できるだけ早期にEBRDが同国で業務を開始できるよう、協定改正の批准を終えていない国に対して、その早期批准を行うよう求めたいと思います。
4.
  EBRDの卒業政策
 議長、
 次に、EBRDの卒業政策について申し上げます。
まず、昨年5月の中欧・バルト8か国のEU新規加盟は、これらの国々が自らの手で更なる改革に取り組む能力を十分備えたことの証であり、またこれまでのEBRDの取り組みが十分な効果を発揮したことの表れであると思います。また、EU新規加盟国においては、EUからの更なる支援と先進国からの活発な民間投資が期待されます。
 1996年に策定された現行の卒業政策は、部門毎に、EBRDへの需要がなくなった時点で、EBRDの支援から卒業したとするという受動的なものです。また、卒業の概念が国別ではなく部門に焦点を当てているという点で、誤解を与えるものとなっています。多くの支援対象国において体制移行が相当進んだ現段階において、現行の卒業政策を維持することに確信が持てません。わが国としては、今回の資本財源レビューにおいて、現在の卒業政策を見直し、体制移行の進んだ国の卒業に向けた道筋が明らかになる方向で議論が進められるべきであると信じています。
5.
  結び
 議長、
 EBRDは、近年、効率的かつ堅実な業務運営の下、支援対象国の体制移行に積極的に取り組み、大きな功績を挙げてきました。今後とも、ルミエール総裁の強力なリーダーシップの下、体制移行が進んでいない国への支援を強化していくことを期待しています。わが国としても、引き続きその活動を支援していきたいと考えています。
 ご静聴ありがとうございました。