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第13回EBRD年次総会 日本国総務演説(平成16年4月19日 於:英国・ロンドン)

English

第13回 欧州復興開発銀行(EBRD) 年次総会
日本国総務演説
 
石井財務副大臣総務演説
2004年4月19日(月)


1.
 
ご挨拶

 議長、総裁、各国総務ならびにご列席の皆様、

 欧州復興開発銀行(EBRD)の第13回年次総会の開催にあたり、日本政府を代表して所信を申し述べる機会を与えられたことを光栄に思います。まず、この総会の主催国である英国政府およびロンドン市の皆様の暖かい歓迎に対して、心から感謝申し上げます。

 我が国経済は、設備投資とアジア地域への輸出に支えられて着実な回復が続いております。財政状況が極めて厳しい中、このような動きを持続的な成長につなげるために、我が国としては、年金制度改革、国と地方の改革、高速道路事業や郵政事業の民営化、不良債権処理等、官民の構造改革に引き続き取り組んでいく所存です。また、デフレについては、日本銀行と協力し、早期脱却を図ることとしております。

2.
 
欧州連合(EU)の拡大

 議長、

 本年5月、EUのメンバーシップの拡大が行われます。今回のEUへの新規加盟は中欧諸国等の目覚しい発展を反映したものであり、他の加盟国とともに心から祝福したいと思います。EUへの新規加盟は、中欧・バルト諸国にEUからの更に大きな支援と先進国からの活発な民間投資をもたらすものと考えられます。したがって、中欧・バルト諸国に対する今後のEBRDの支援は、業務運営の基本原則である「体制移行効果」や「民業補完」に従い、地方公共団体のインフラ改修や残された国営企業の民営化等、改革の遅れている地域やセクターに絞っていくべきであります。

3.
 
体制移行の遅れた国への支援

 このような中欧・バルト諸国とは対照的に、その他の地域は体制移行の進展度合いや一人当たりGDP成長率で大きく遅れているのが現状です。EBRDには、こうした体制移行の遅れた国に対して支援を一層強化することが求められています。
 体制移行の遅れた国の中でも中央アジアやコーカサスの一部の国では、高水準の対外債務が指摘されており、また民間の投資環境も立ち遅れています。
 昨年タシケントで、我が国は、これらの国々が自らの国の体制を自由かつ開放的なものにし、貿易の自由化や投資の受入れを進めることが重要であることを強調いたしました。中央アジア・コーカサスの国々は、こうした政策目的に向け一層の努力を行うとともに、地域協力に真剣に取り組む必要があります。また、EBRDは、極東ロシアにおけるビジネス・チャンスを追求することが求められています。
 2週間前、我が国はまた、西バルカンでの域内協力を推進するため、「西バルカン平和定着・経済発展閣僚会合」を東京で主催いたしました。
我が国としては、EBRDがこれらの国に対して、中小企業支援などでこれまでに培った専門性を生かしながら支援を強化する方針を示していることを歓迎します。我が国は、信託基金を通じて、これら困難な国々における中小企業の経営能力向上を引き続き支援してまいります。
 また、現地通貨建融資プロジェクト等の革新的な仕組みに取り組んでいくことが重要です。民間部門の事業が自由に活動できる環境を整備するため、EBRDはこれらの国々の政府との政策対話を強化すべきです。これに関連して、他の国際金融機関との連携の強化が求められます。

 本年1月、モンゴルを支援対象国に加えるための設立協定改正案が総務会で決議されました。長年にわたりモンゴルの体制移行を支援してきた国として、我が国は設立協定改正の早期の発効を希望します。

4.
 
EBRDの業務運営

 議長、

 次に、EBRDの業務運営について3点申し述べたいと思います。

 第一に、昨年EBRDは119件37億ユーロの投融資を行い、高い体制移行効果を達成しました。また、準備金は昨年より5割増の約10億ユーロに達しており、財務の健全性も向上しています。EBRDは、このような質量両面にわたる目覚しい成果を達成する一方で、経費予算を10年連続で実質伸び率ゼロに抑えています。我が国としては、このような効率的な業務運営を支えているルミエール総裁、マネージメント及びスタッフの真摯な努力を高く評価します。

 第二に、EBRDが透明性の向上や申立審査手続きの導入などの説明責任(アカウンタビリティ)の向上にも取り組んでいることを評価します。とりわけ環境の問題については、昨年改訂された環境政策にしたがって関係者との十分な対話に努めています。EBRDが取り組んでいるサハリンのエネルギー開発プロジェクトについては環境の問題に大きな関心が寄せられており、今後ともEBRDが外部の関係者の声に耳を傾け、不断の対話を通じて幅広い理解を得るよう努力することを期待します。

 第三に、実施中のプロジェクトが増加しており、プロジェクトの体制移行効果を最大化するために対策を講じることが求められます。これまで以上に、プロジェクトの選択・形成において十分な精査を行い、事後の評価で得られた教訓を生かしていくだけでなく、実施段階においても適切なモニタリングを行ってプロジェクトの質的な管理を強化することが重要です。

5.
 
結び

 議長、総裁、各国総務ならびにご列席の皆様、

 最後に、我が国としては、EBRDが中央アジア、コーカサス、南東欧、極東ロシアといった体制移行の遅れた国・地域への支援を一層強化していくことを期待するとともに、引き続きその活動を支援していきたいと考えています。 

 ご静聴ありがとうございました。