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第12回EBRD年次総会 日本国総務演説(平成15年5月4日 於:ウズベキスタン・タシケント)

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第12回 欧州復興開発銀行(EBRD) 年次総会
日本国総務演説
 
塩川財務大臣総務演説
2003年5月4日(日)


1.
 
ご挨拶

 議長、総裁、各国総務ならびにご列席の皆様、

 欧州復興開発銀行(EBRD)の第12回年次総会の開催にあたり、日本政府を代表して所信を申し述べる機会を与えられたことを光栄に思います。まず、この総会の主催国であるウズベキスタン政府およびタシケント市の皆様の暖かい歓迎に対して、心から感謝申し上げます。また、本総会は国際開発金融機関が中央アジア地域で開催する初めての年次総会であり、同じアジアの一員として慶賀に堪えません。

2.
 
EBRDの支援対象国の状況

 議長、

 今日の世界経済の状況を概観しますと、多くの先進国で成長率が減速し、先行きに対する不透明感が高まっています。このような中で、EBRDの支援対象国は、これまでの体制移行に向けた改革の努力に支えられて、全体としては手堅い成長を遂げています。EU加盟を控えた中東欧・バルト諸国は、構造改革が着実に進展しており、概ね2.5%の成長を記録しています。これまで改革が遅れがちであった中央アジア諸国においても構造改革に進展が見られ、中でも資源産出国については、エネルギー価格の上昇もあって、成長の回復が記録されています。

3.
 
EBRDのパフォーマンス

 議長、

 このような支援対象国の良好な経済パフォーマンスを反映して、昨年EBRDは、過去最大だった前年を1割近く上回る39億ユーロの投融資を行いました。同時にEBRDは体制移行の遅れた国々に対する支援を増加させ、市場経済を根元から支える中小企業や起業家への支援を強化するなど、体制移行効果の向上に取り組んでいます。
 このような質量両面にわたる目覚しい成果を達成する一方で、EBRDの経費は9年連続で実質伸び率ゼロに抑えています。我が国としては、こうした効率的な組織運営を支えているEBRDのマネージメント及びスタッフの真摯な努力を高く評価します。
 
 このように現在のEBRDの支援対象国の経済状況は概ね良好と言えますが、体制移行が十分に進んでいない国々においては、投資環境の整備の必要性、市場経済を支える制度基盤の不足及び腐敗の問題など、今後乗り越えなければならない課題は依然多くあるのが現状です。

4.
 
EBRDの課題

 議長、

 こうした中で、私はEBRDの今後の運営について以下の4点を強調したいと思います。

 第一に、実施済のプロジェクトの評価の重要性を指摘したいと思います。EBRDが行なう支援を更に有効なものにするためには、成功したプロジェクトのみならず、うまくいかなかったプロジェクトについても的確に分析し、これらの点を今後の業務に生かしていくことが必要です。
 また、プロジェクト毎の体制移行効果を最大化するためには、プロジェクトの選択・形成において十分な精査を行うだけでなく、実施段階におけるモニタリングを強化することが重要です。

 第二に、体制移行の遅れた国々への支援の強化です。
ルミエール総裁は、出資国と協力して体制移行の遅れた国の中でもとりわけ低所得国に対する支援を強化することを本総会で提唱しました。我が国としても、このような取組みを真剣に検討していきたいと思います。

 第三に、市場経済を支える制度の構築が重要です。
 EBRDの支援対象国においては市場経済を支える制度の構築が十分ではありません。経済規制を合理的で予測可能なものにすることは民間の経済活動を活性化する上で極めて重要です。そのために実効的な担保法制や公正な司法制度の確立にEBRDは更に努力を傾注する必要があります。
 我が国はEBRDの中央アジア制度構築協力基金を通じて中央アジア諸国における制度構築を支援しています。また、我が国は、体制移行に影響を与える制度的要因を分析するEBRD創立10周年の研究プロジェクトを支援しています。

 第四に、EBRDは、ガバナンス強化の取組みとして「情報公開政策の改訂」「申立審査手続きの創設」「環境政策の改訂」を行っており、EBRDの業務運営の透明性と説明責任(アカウンタビリティ)を向上させるものとして歓迎します。こうした取組みは、支援対象国政府や現地の市民社会を含む幅広いパートナーとの連携を図る上で効果的です。


5.
 
シルクロード地域への期待

 議長、

 本総会の開催地域であるシルクロード地域について一言申し上げます。

 シルクロード地域は、紀元前より東西交易の要衝であり、その地域を通じた文物の交流は、極東に位置する我が国の歴史や文化に数々の影響を与えてきました。シルクロード地域が古来より繁栄したのは、地域に自由で開放的な交易・流通の体制が存在したからにほかなりません。このことは、現在の中央アジアやコーカサスの将来を考える上でも貴重な教訓を与えてくれていると思われます。
 先進国の市場から遠く離れた内陸に位置するこれらの国々が、グロ−バル化する世界経済の中で、このような不利な条件を克服するためには、自らの国の体制を自由かつ開放的なものにし、貿易の自由化や投資の受入れを進めることが重要です。
 本総会の開催国であるウズベキスタンは、地域内で最大の人口を擁し、潜在的に大きな成長力のある重要な国です。ウズベキスタンが、開放的な経済体制を確立し、中央アジア地域の発展に貢献することが期待されています。そのためには、懸案である為替制度、金融セクター等の改革は極めて重要です。EBRDとしても、本年3月に策定した国別戦略において、ウズベキスタンに対する建設的な関与を通じて改革を支援する姿勢を明らかにしています。日本はこれを強く支持いたします。今後、ウズベキスタンがこうした改革を速やかに実行することが強く望まれます。

 また、シルク・ロード地域の各国は、水資源、エネルギーの分野で相互依存しており、これらの分野で一層の協力が求められています。EBRDは世界銀行・アジア開発銀行と協力して、シルクロード地域における地域協力への支援を行うことが期待されます。

 ご静聴ありがとうございました。