| 第11回EBRD総会 日本国総務演説 2002年5月19日(日) -
ご挨拶 議長、総裁、各国総務ならびにご列席の皆様、 欧州復興開発銀行(EBRD)の第11回年次総会の開催にあたり、日本政府を代表して、この総会の主催国であるルーマニア政府およびブカレスト市民の皆様の暖かい歓迎に、心から感謝申し上げます。本年は、我が国とルーマニアとの交流100周年に当たり、この記念すべき年にブカレストのこの場において皆様にお話しできることを光栄に存じます。 -
EBRDを取り巻く状況 議長、 まずEBRDを取り巻く状況について述べたいと思います。 EBRDは、1991年の設立以降、投融資、技術支援、政策対話を通じて、対象国における市場経済化への移行をリードしてきており、それぞれの国において市場経済化の進展等の改革が進んできています。 最近のEBRDの支援対象国の良好なマクロ経済のパフォーマンスの背景には、こうした市場経済化の進展も寄与していると思われますが、我が国としては、このような動きを歓迎したいと思います。 なお、昨年9月11日の事件を受けてアフガニスタン周辺国の情勢が極めて不透明となっていた時期に、ルミエール総裁が中央アジア諸国を訪問したことは、EBRDとこれらの国々との関係を緊密にするものであり、我が国として評価したいと思います。 また、昨年のEBRDの業績を見ますと、過去最大だった前年を37%も上回る36億ユーロ以上の投融資を行い、一昨年に続き1億5千万ユーロを超える収益を上げました。こうした量的拡大の一方で、個々のプロジェクトの体制移行効果が高い水準を維持していることを歓迎したいと思います。 -
EBRDの直面する課題 議長、 ここで、EBRDが直面するいくつかの重要な課題について所見を述べたいと思います。 第一に、体制移行の遅れた国々への支援のあり方です。 EBRDは、昨年の「中期見通し(Capital Resource Review)」において体制移行の遅れている国々に対する活動を中期的に拡大していく見通しを示しています。EBRDの基本的な方針は、体制移行が進んでいる国々では、民間資金へのアクセスが困難な分野に支援を集中させ、他方、体制移行の遅れた国々においては全体として支援を拡大していくものであると認識しています。これにより、EBRDの業務の焦点を明確化するとともに、体制移行の効果を高めることが期待されます。 しかし、「体制移行の遅れた国」と一口に言っても、人口や経済の規模、天然資源の存在、対外債務の状況、社会資本や福祉の状況などに大きな差があり、EBRDとしては、それぞれの国の状況に応じたアプローチをとる必要があります。これらの国々の様々な市場経済化に関するニーズにキメ細かく対応していくためにも、EBRDが、世界銀行をはじめとする各種の国際機関やバイのドナー、さらには市民社会までを含めた様々なパートナーとの協力(パートナーシップ)を図りつつ、支援を行っていくことが重要であります。 第二に、制度構築について述べたいと思います。 体制移行の遅れた国々では市場経済を支える制度の構築がとりわけ遅れており、このような制度構築の促進に向けた支援を強化する必要があります。我が国は、とくに中央アジア諸国における制度構築のためのEBRDの取組みに対して、5百万ユーロの貢献を行うこととしております。 このような支援を通じて必要な制度の構築に向けた努力が行われることが期待されますが、制度が実際に機能するためには、当事国政府自身が主体性を発揮していく必要があります。これはしばしば困難を伴うプロセスですが、市場経済の発達のためには避けることのできないものであり、目覚しい成長を実現しているアジア諸国を含め先行して改革を進めている国々の経験に学ぶことも必要でしょう。 第三に、中小企業支援の強化です。 体制移行国における中小企業の育成は、市場経済化のための最も重要な柱です。しかし、中小企業の発展を支える金融手段は極めて限られており、また、地場の金融機関の側でも中小企業に対する金融のノウハウを持ち合わせていないというのが現状です。 EBRDは、支援対象国における中小企業支援の分野で先駆的な役割を果たしてきていますが、我が国は今後とも、EBRDが実施していく中小企業の振興を支援していく考えです。 第四に、粘り強い政策対話の重要性です。 体制移行の遅れた国々では構造改革やガバナンスの向上が喫緊の課題となっており、これらに関する進捗の遅れが対内投資の導入の障害となっています。また、一部の国では民主化の進展について国際社会から強い懸念が示されています。こうした問題を解決するためには、何より当事国自身の努力が必要であることは言うまでもありません。政治的な不安定性を抱える国ではこうした問題の解決は必ずしも容易ではないかもしれませんが、長期的な観点で、EBRDがこうした国々と粘り強く対話を続けていくことを期待しています。 第五に、外部とのコミュニケーションの重要性です。 EBRDは、ルミエール総裁の下で、市民社会等の対話を強化することや情報公開政策の実施を通じた透明性の向上に取り組んでいます。こうした取り組みは市民社会を含む様々なパートナーとの連携を行う上で極めて重要であり、今後ともEBRDがこうした取り組みをさらに推し進めていくことを期待しています。 我が国は、体制移行の遅れた国々への支援をはじめとして、今後ともますます難しさを増していくと思われるEBRDの業務を、引き続き支援していきたいと考えています。 ご静聴ありがとうございました。 |