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第10回EBRD年次総会 日本国総務演説(平成13年4月23日 於:英国・ロンドン)

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第10回EBRD総会 日本国総務演説 

日本国総務演説
 
会期:2001年4月23〜24日
場所:ロンドン、Hilton London Metropole
演説:田波顧問
(現地時間4月23日16:30)
 

 お問い合わせ先

 財務省国際局開発機関課

 電話3580-3238(代)

  米田、小森

 


第10回EBRD総会 日本国総務演説
2000年4月23日(月)15:12〜15:17

1. ご挨拶

 議長、総裁、各国総務並びにご列席の皆様、

 欧州復興開発銀行(EBRD)の第10回年次総会の開催にあたり、日本政府を代表して所信を申し述べる機会を与えられたことを光栄に思います。

2. EBRDをめぐる状況

 議長、

 創立以来10年間、EBRDは支援対象国における市場経済化の進展に大きな役割を果たしてきました。金融セクターや中小企業対策に重点を置き、民間投資の活性化を促す中期戦略は、今後大きな成果を上げることが期待されています。特にこの1年を振り返ると、27億ユーロという過去最大のコミットメントを行うなど活発な活動を展開し、財務面では創立以来初めて銀行部門で黒字を達成して1億5千2百万ユーロの収益を計上しました。ルミエール新総裁のリーダーシップの下でこのような目覚ましい成果を達成したEBRDのマネージメント及びスタッフの努力を我が国としても高く評価したいと思います。

 EBRDの支援対象となっている中東欧・独立国家共同体諸国を概観しますと、2000年は支援対象国全体を通じて強い回復と改革の進展が見られた年となりました。殆どの支援対象国ではプラス成長が実現し、平均実質GDP成長率は5.2%に上りました。また、自由化・民営化などの体制移行についても殆どの支援対象国で進展が見られました。
 このような危機からの回復は歓迎すべきものですが、この成果を支えたのは主に石油価格の上昇、為替の下落による輸出増、欧州経済の好調といった外的要因であり、持続的な成長といえる段階までは到っていないことも事実です。また、支援対象国全体を通じて、自由化・民営化に比べ制度改革が遅れる傾向にありますが、この傾向は体制移行の遅れた国でより顕著となっています。さらに、ポーランドやハンガリーといった体制移行先進国と中央アジアや南東欧などの体制移行の遅れた国々との二極分化の問題は依然としてEBRDが直面する大きな課題の一つとなっています。

3. EBRDの取り組むべき課題

 議長、

 創立10周年を迎えるEBRDを取り巻く現状を踏まえ、私は、次の10年に向けたEBRDの改革について我が国の考え方を申し述べたいと思います。

 第一に、EBRDは、体制移行の促進に向けて業務のフォーカスをより高めていく必要があります。
 すなわち、支援対象国全体の体制移行を促進するためには、より大きな困難に直面している体制移行の遅れている国に多くのリソースを集中し、これらの国における構造改革やガバナンスの向上を促進する必要があります。我が国としては、EBRDが、本総会に提出されているCapital Resource Reviewにおいて、体制移行の遅れている国に対する活動を中期的に拡大していく見通しを示していることを歓迎したいと思います。
 また、民間資金との競合を避け、EBRDの有するリソースを民間資金では対応することが困難なfrontier分野に集中し、プロジェクトの体制移行効果を高めるべきだと考えます。先にも述べましたように、この10年間の体制移行は、自由化・民営化における進展に比べて制度改革の側面で進展が遅れています。民間投資を促進し持続的な成長を実現する上で、市場経済化を促進するために制度的な問題を解決することは極めて重要であり、EBRDがこの分野における専門性をさらに発揮することが期待されます。
 このような観点から、EBRDが、体制移行の遅れた支援対象国において、制度構築のための新たなイニシアティブを開始しようとしていることを歓迎したいと思います。これらの国々において競争政策や金融セクター等の改革を促進するためにはEBRDの専門性を活用した技術協力が極めて有効であり、我が国としては、本イニシアティブの嚆矢として中央アジア諸国に対するEBRDの取組みを支持し資金的貢献を行いたいと考えています。

 第二に、EBRDは、効率的かつ機動的な組織運営に向けた取組みを強化すべきです。
 これまでEBRDは、クライアント・ニーズに即した業務運営を可能とするために、スタッフの現地化を進めてきました。また、南東欧地域の経済復興に向けた国際的な取組みにおいて中心的な役割を果たし、新ユーゴの復興支援に迅速に対応しています。このような目覚ましい活動を行いながらEBRDは行政経費の抑制に努めており、2000年には過去最大のコミットメントを行う中で行政経費を前年並みに抑えています。これは大変効率的な組織運営が行われていることを示すものであり、評価に値すると考えます。
 しかし、格差の広がる支援対象国への対応や増加傾向にあるスタッフの離職率への対応などの課題に適切に対応するためには、単なる行政経費の抑制という狭い視点ではなく、10年間に培った体制移行支援における専門性の有効活用という幅広い視点から組織運営の改善に取組むことが求められます。EBRDのマネージメントは、このような観点から真に必要な活動の経費を惜しむべきではありません。
 先般承認されたモンゴル協力基金は、EBRDの専門性を活用する好例であり、モンゴルの体制移行に向けた効果的な支援が実現することを期待します。我が国としても、モンゴル協力基金に対し相当規模の支援を行う考えです。

 第三に、ドナーや市民社会とのパートナーシップを強化し、支援対象国の市場経済化と民主化を促進するためのリソースの効率的活用を行うべきであると考えます。とりわけ、世銀やアジア開発銀行との協調の強化、市民社会を含む幅広い関係者との対話の強化を通じて、支援対象国における構造改革やガバナンス向上のための連携を図ることが重要であると考えます。
 昨年7月に改訂された情報公開政策は、セクター別政策の事前コンサルテーションやセクター別政策・国別戦略の公開など、透明性の向上を図るものであり、幅広いパートナーシップを支えるものとして評価したいと思います。

4. 結び

 議長、総裁、各国総務並びにご列席の皆様、

 1991年の創設から10年間、EBRDは中東欧諸国の体制移行支援に大きな役割を果たしてきました。今後、全ての支援対象国において市場経済への移行と民主化がさらに深化し広がっていくため、ルミエール総裁のリーダーシップの下でEBRDが改革に向けた具体的な取組みを強化することを期待します。

 ご静聴ありがとうございました。