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第47回AfDB・第38回AfDF年次総会 日本国総務演説(平成24年5月31日 於:タンザニア・アルーシャ)

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第47回アフリカ開発銀行・第38回アフリカ開発基金年次総会 日本国総務演説
(平成24年(2012年)5月31日(木) 於:タンザニア アルーシャ)

 

1.序

 議長、総裁、各国総務各位、並びにご列席の皆様、

 第47回アフリカ開発銀行・第38回アフリカ開発基金年次総会の開催にあたり、ホスト国のタンザニア政府及びアルーシャ市民の温かい歓迎に対し、心から感謝いたします。アフリカ諸国の独立の象徴として知られるキリマンジャロの麓、アルーシャは、アフリカにおける経済発展の新たなステージに向けた議論を行うのに相応しい場と考えます。

 また、昨年3月に東日本大震災が発生してから約一年が経過しました。この機会に改めて、世界の皆様から頂いた温かい御支援に感謝の意を表したいと思います。

 

2.世界経済とアフリカ経済

 世界経済は緩やかに回復しているものの、欧州情勢等を背景とした不安定な状況はなお続いています。アフリカは、グローバル経済との関係強化を通じて経済成長を実現する一方、金融・経済危機の影響を受けるリスクに晒されています。AfDBが、脆弱な貧困層にリスクの悪影響が波及しないよう、状況を注視し、必要に応じ貧困層にフォーカスした支援など適切な対応を取っていくことが求められます。

 先月のG20や国際通貨金融委員会(IMFC)において、我が国の600億ドルの貢献表明に続く形で、多くの国々が貢献を表明し、結果として総額4,300億ドルを上回るIMFの資金基盤強化が合意されました。欧州のみならずアフリカにとっても、今回の合意は大きな成果です。

 

3.アフリカの開発課題

 本日は、アフリカの重要な開発課題として、「地球環境問題への対応」と「民間セクター主導の包摂的かつ持続的な経済成長」について申し上げます。

(地球環境問題への対応)

 アフリカ諸国にとって、地球環境問題は待ったなしの問題です。気候変動に起因する砂漠化や干ばつは、水資源や食料の不足をもたらし、人々の生活や経済成長への脅威となります。近年も「アフリカの角」やサヘルの大干ばつなど深刻な事態が生じています。エネルギーの大量消費は、気候変動の要因となる一方、エネルギー不足を通じて経済成長を阻害します。森林破壊や土壌浸食は、貧困層の生活基盤を更に脆弱にすると共に、生物多様性に対する脅威となっています。

 このようなアフリカにおける環境問題に対しては、地域のみならずグローバルな重要課題として、AfDBを含む国際社会全体が着実に取り組んでいかなければなりません。特に、経済成長と環境保全を両立させるグリーン成長を目指す必要があります。我が国はそのような点を踏まえ、アフリカにおけるグリーン成長を推進するため,「アフリカ・グリーン成長戦略」を策定しており、先般のTICADフォローアップ会合で中間報告を提示しました。AfDBにおいても、多様な開発パートナーと協調しつつ取り組んでいくことを期待します。

 また、本年初頭のモザンビーク共和国のサイクロン及び大洪水など、気候変動に伴う自然災害の増大は決して無視できない課題です。アフリカ諸国の多くが財政制約に直面する中、AfDBが防災について適切なアドバイスや支援を行うことを期待します。

 本年7月には被災地の東北で防災ハイレベル国際会議2012を開催し、強靱な社会の構築のための国際協力における防災の主流化に向け議論する予定です。また、本年10月に我が国で開催されるIMF・世界銀行年次総会の機会には、我が国が東日本大震災から得られた教訓・知見を世界と共有するため防災に関する国際会議を開催し、被災地への訪問を行う予定です。皆様にも是非参加して頂きたいと考えます。

 AfDBは、我が国が資金貢献を行う地球環境ファシリティ(GEF)の実施機関であり密接な関係にあります。現在、GEFのCEO選挙に我が国から石井菜穂子副財務官が立候補しています。開発分野での知見・経験を持ち、国際機関のマネジメント経験もあるため、次期CEOには最適な人物です。関係国からの支持をお願いします。

(民間セクター主導の包摂的かつ持続的な経済成長の実現)

 こうした深刻な課題の一方で、かつて長期間に亘って経済停滞が続いていたアフリカ諸国において、自律的な経済成長の種が芽生えつつあります。アフリカが成長の芽を着実に育て、自ら有する人間の力、ホスピタリティの力を存分に発揮し、世界経済のエンジンとなることを期待します。

 アフリカ諸国は、2000年代初頭まで長きに亘る経済停滞が続いていましたが、過去10年間は、政治的安定の拡大や資源価格の上昇等を背景に高成長を実現しています。特に最近の経済成長の特徴として、資源国のみならず非資源国において、通信、金融、商業など資源以外の分野で、低所得層を対象としたBOP(Bottom of the Pyramid)ビジネスが勃興し、アフリカ諸国に経済成長をもたらしています。こうしたビジネスモデルの変化を伴う成長は、アフリカにおいては過去に類を見ないものであり、これまでアフリカ諸国が取り組んできた投資環境の改善や人材の育成が着実に実を結びつつある証左とも言えます。

 一方、サブサハラ・アフリカの半分近い人々が未だに1日1ドル以下で生活しているなど、経済成長の果実を享受できない多くの貧困層が存在する状況は改善されていません。これは、人々に適切な雇用と所得の機会が与えられていないことが主な要因です。アフリカ諸国が包摂的かつ持続的な経済成長を実現するためには、上述のBOPビジネスを含め、様々な産業の育成を更に推し進めることにより、外部環境の変化に脆弱な鉱業部門への依存から脱却し、民間セクターが主導する多角的な産業構造を目指す必要があります。

 AfDBが、近年民間セクター開発に取り組んでいることを評価します。引き続き、インフラや法制度の整備等による投資環境の改善や、職業訓練等による人材の育成に加え、民間セクター業務を通じた地場産業・企業の強化などに取組むことを期待します。また、内陸国が多いという地理的制約が流通コスト高をもたらし、域内産業発展の阻害要因となっているところ、地域開発金融機関であるAfDBが、ソフト支援を含む広域インフラの整備に主導的に取り組んでいくことが求められます。

 アフリカの就労人口の60%を占める農業部門の発展無しには、包摂的成長は言うに及ばず、食料を増産しつつ様々な産業に労働力を供給し、持続的な経済成長を実現することは不可能です。これまでアフリカでは農業・農村開発に対して必ずしも適切な形で公共支出がなされませんでしたが、経済成長を実現している今こそ、資源等がもたらす収入を農業生産の向上に転化してくべきです。AfDBが、開発パートナーとも連携し、道路や灌漑施設といったインフラ整備等を通じて農業・農村開発を支援していくことを期待します。

 

4.我が国との関係

 続いて、我が国とアフリカの関係について申し上げます。

(EPSA(Enhanced Private Sector Assistance for Africa))

 民間主導の経済成長を通じて、貧困削減を図る観点から、我が国は、2005年のG8グレンイーグルズ・サミットの際に、AfDBと共にEPSAイニシアティブを立ち上げ、10億ドルの円借款供与を表明しました。我が国は、これまでに、電力、道路等のインフラ整備として、11件、約510億円の円借款(約6.4億ドル)、民間セクター支援として、3件、520億円(約6.5億ドル)の円借款を供与し、目標は達成しました。更に、先のG8キャンプ・デービッド・サミットに際して、我が国は、EPSAの下で、今後、5年間で、新たに10億ドルの円借款を供与することを決定しました。また、引き続き、我が国が資金貢献しているアフリカ民間セクター向支援基金(FAPA( Fund for African Private-Sector Assistance))を通じて、中小企業に対する経営指導等の技術協力を実施してまいります。こうした取組を通じて、日本とアフリカの経済関係が深まり、アフリカの経済成長が促されることを期待します。

(TICADX(Tokyo International Conference on African Development X))

 我が国は、1993年にアフリカ開発会議(TICAD)を立ち上げ、これまでTICADプロセスを軸として、アフリカとの関係を緊密化するとともに、アフリカ開発に向けた国際社会の取組を主導し、近年の目覚しい経済成長に貢献してきました。明年6月には、TICADプロセス20周年の節目の会合となるTICADXを横浜で開催します。TICADXでは、「成長の加速化」に重点を置き、包摂的で、持続可能な成長の実現と、強靱な社会造りを重視して議論を行います。TICADXが有意義な会議となるよう、カベルカ総裁を始め、アフリカ各国及び国際機関・地域機関といったアフリカの開発に重要な役割を担う皆さまと共に取り組んでいきたいと思います。

(アジア代表(東京)事務所)

 カベルカ総裁の強いリーダーシップの下、昨年、AfDBが東京におけるアジア代表事務所の開設を決定したことを歓迎します。アジア代表事務所は、世界の成長センターであるアジアとアフリカを結ぶ上で大きな役割を担うものです。アジアのドナー諸国とのパートナーシップや対話を促進すると共に、アフリカの開発やビジネスに熱意を持つ日本をはじめとしたアジアの企業のために仲介役を果たすことが期待されます。

 また、アジア代表事務所が、アジア諸国の優秀な人材の確保に貢献することを期待します。我が国は、資金面のみならず人材面でもAfDBに貢献する考えであり、AfDBが近年リクルートミッション派遣などの努力を通じ、日本人職員を増員していることを評価します。

 

5.結び

 我が国は、今次総会のホスト国であるタンザニアとは、昨年、国交50周年を迎えました。また、この地アルーシャにおいては、2008年、日本企業とタンザニア企業の合弁による世界最大のマラリヤ対策の蚊帳(Olyset Net)の製造工場が建設され、マラリヤ撲滅に大きく貢献しています。我が国は、こうした友好関係を基盤として、アフリカの未来の繁栄のために協力していく所存です。AfDBにおかれても、引き続きアフリカの開発において大きな役割を果たすことを期待します。

 ご静聴ありがとうございました。

(以上)