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第43回AfDB・第34回AfDF年次総会 日本国総務演説(平成20年5月15日 於:モザンビーク・マプト)

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第43回アフリカ開発銀行・第34回アフリカ開発基金年次総会
総務演説(仮訳)
(平成20年(2008年)5月15日(木) 於:モザンビーク マプト)

 
1. 序
 
 議長、総裁、各国総務各位、並びにご参列の皆様、
 
 第43回アフリカ開発銀行(AfDB)、第34回アフリカ開発基金(AfDF)年次総会の開催にあたり、主催国であるモザンビーク政府及びマプト市民の皆様の暖かい歓迎に対し、心から感謝申し上げます。日本とモザンビークは地理的・歴史的に遠い国と思われていますが、日本の使節がモザンビークの地を初めて訪れたのは1586年との記録があります。それから400年以上たった現在、日本とモザンビークの関係は強まっており、その象徴は我が国企業と国際協力銀行が貢献したモザール社のアルミ精錬事業です。同事業は今やモザンビークの全輸出品の6割を占める国家の基幹産業に成長しています。

 まず、AfDF第11次増資の成功裏の妥結を祝福します。我が国は、AfDF第10次増資比30%増の475億円の出資を行うこととしています。そのための予算が国会で本年3月末に可決、成立したことをここに報告できることをうれしく思います。アフリカにおけるミレニアム開発目標(MDGs)の達成に向けた国際社会の取組みは、これからまさしく正念場を迎えますが、AfDBグループにはその中で中心的役割を担うことを期待しています。

 また、我が国が2005年のグレンイーグルズ・サミットで表明した対アフリカODAの3年間での倍増について、2007年実績(17.1億ドル)が2003年実績(8.4億ドル)の2.04倍となり、公約を達成したこともここで報告いたします。
 
2. アフリカの現状と課題
 
 (アフリカの成長戦略)

 アフリカの経済は、過去10年間の経済成長を見ると、資源豊かな7カ国が原油高騰を背景に年率9%の成長を遂げております。他方で、下位の20カ国程度の国は紛争等の様々な理由により約2%の成長に留まっています。このため、2015年までに1日1ドル未満で生活する人口の割合を1990年の水準の半数に減少させるというMDGsの1つ目の目標は、アフリカにおいては達成が非常に困難な状況にあります。同目標の達成には特に経済成長が低く留まっている国に着目して、その成長を促進していく必要があります。

 貧困削減のためには、経済成長の基礎となるインフラの整備を含む投資環境の整備を進め、民間部門主導の経済成長を支援することが必要です。

 我が国を含むアジア諸国の開発の経験から申し上げますと、道路・港湾・電力施設等のインフラの整備は経済成長の必要条件です。また、アフリカには内陸国が数多く存在しますが、これらの国は市場へのアクセスが限られているため、貿易・投資によって経済成長を加速化させるのが困難な状況にあります。この観点から、AfDF第11次増資交渉において、国境横断型案件の重要性が強調され、その推進のために同増資資金総額のうち17.5%が国境横断型案件向けに確保されたことを歓迎します。また、脆弱国の経済成長に向けた取組みを積極的に支援するために、同増資資金総額のうち7.5%を充てた脆弱国ファシリティ(FSF)が設置されたことについても歓迎します。

 経済成長を牽引するのは民間セクターであります。貿易・投資環境の整備、金融セクターの強化、中小零細企業への支援等を通じて、民間セクター主導の経済成長を促進しなくてはなりません。この観点から、我が国はAfDBとともにEPSA for Africa(Enhanced Private Sector Assistance for Africa)というイニシアティブを2005年に立ち上げ、日本の譲許的資金をAfDBと共にまたは通じて提供することにより、アフリカにおける民間セクター開発を支援してきました。現在同イニシアティブの下で融資案件及び技術協力案件が積極的に実施され、ソブリン向け融資で5件、164百万ドル、ノンソブリン向け融資で2件、100百万ドル、技術支援基金で12件、10.4百万ドルの成果を上げていることをうれしく思います。これに関し、AfDBの2007年純益処分では、EPSAの技術協力部分であるFAPA(Fund for African Private-Sector Assistance)に5百万UAを移転することが承認されたことを歓迎するとともに、今後FAPAのマルチ化の促進につながることを期待しています。
 
 また、アフリカでは、農業・農村開発を抜きにして、貧困層に配慮した成長戦略は考えられません。サブサハラアフリカ地域では、農業が就労人口の65%を占める一方で、農業に対する公共支出は歳出全体の4%に過ぎず、また灌漑された地域は耕地の5%に過ぎません。中長期的に食料の増産に繋がるような取組みや生産性の向上、流通を改善させる取組みが不可欠です。このような観点から、AfDBが、農村インフラの整備、水資源管理の強化等、アフリカの農業・農村開発に貢献しようとしていることを歓迎します。稲作に関する高度な技術と経験を有する我が国として、国際協力機構(JICA)を通じた、アフリカの乾燥地域に適した陸稲であるネリカの更なる普及・湿地帯における水稲の品種改良と灌漑整備等により、アフリカのコメ生産を大幅に拡大させます。
 
 なお、農業に関連して、最近の食糧価格高騰の問題について見解を述べますと、貧困層においては消費に占める食料消費の割合は非常に高いことから、その影響を注視していく必要があると考えています。食糧価格の高騰は社会不安につながる虞もあることから、国連が中心となって、当面必要となる緊急の対応策についても積極的な支援を行っていくべきです。この観点から、世界食糧計画(WFP)から緊急アピールが発出されたことを受け、我が国は先月、当面の措置として今後3ヶ月で約1億ドルの食糧援助を実施する旨発表しました。中長期な対策としては、先ほど申し上げた稲作の拡大等、農業部門の強化に向けた支援を国際金融機関と連携しつつ行っていきます。
 
  (環境・気候変動問題)

 アフリカは、気候変動の影響を最も受けやすい地域の一つであり、アフリカ諸国の気候変動に対処するための取組みを支援していくことが重要です。この観点から、AfDBが、適応やクリーンエネルギーの利用促進について、年内に戦略及び行動計画を策定するべく作業を進めていることを歓迎します。

 日本は、本年7 月に開催される北海道洞爺湖サミットの議長を務めますが、その主要テーマの一つとして気候変動問題を考えています。我が国は、主要排出国全てが参加する仕組作りや公平な目標設定に責任を持って取り組みたいと考えております。同時に、既に公表したとおり、我が国は100 億ドル規模の新たな資金メカニズム(クールアース・パートナーシップ)を構築し、気候変動で深刻な被害を受ける途上国に対し支援を行いたいと考えております。また、現在、米国や英国、国際開発金融機関(MDBs)とともに、気候変動問題への途上国の対応を資金面で強力に支援するための多国間の新たな基金の創設に向けて協議を進めており、他のドナーにも参加を呼びかけています。
 
 (保健問題)

 貧困層が成長の果実を享受するためには、死の恐怖から解放され、健康で安心して暮らすことができるという人間の安全保障の確保が基本条件です。しかし、サブサハラアフリカ地域では乳幼児の6 人に1 人が5 歳の誕生日を迎えることなく死亡、妊産婦の死亡率は先進国の200倍です。このような状況にあるにも関わらず、同地域では世界の医療保健従事者のわずか3%で対応しているのが現状です。
 
 ポリオや結核のような感染力の高い疾病の例を挙げれば、特定地域で集中的に予防措置を講じ、蔓延率の軽減を図ることが最大の効果を生みます。そのためには、政府が効果的な保健システムを保持し、かつ地域社会におけるヘルスワーカーの数と質とが確保されていることが必要不可欠です。今年2 月に我が国で開催したグローバルヘルスサミットでは、最近の保健分野の援助の主流である特定疾病対策のアプローチに加えて、保健システムの整備を合わせて進めていくべきこと、また政府の強いコミットメントと地域社会の能力強化が重要であることが強調されました。
 
 保健セクターで成果を上げることは容易ではありません。医療サービス提供者は特殊な技能・経験が必要です。そのサービス提供のためのロジスティックスが複雑であり、清潔な施設や水、電気、道路、交通手段といった広範な社会インフラが必要です。このため、マルチセクターの取組みが必要です。
 
 さらに、我が国は、世界エイズ・結核・マラリア対策基金に対し、本年2月に新たに約184百万ドルの追加拠出を行い、この結果累積拠出額は850百万ドルとなりましたが、今後も保健分野の取組みを引き続き積極的に行っていきます。
 
3. アフリカ開発会議(TICAD)
 
 我が国は、今月28〜30日に横浜で第4回アフリカ開発会議(TICAD-IV)を開催します。我が国は第1回アフリカ開発会議(TICAD-I)を、1993年に開催しました。以来、同会合を5年毎に開催してきており、今年の会合で4回目を数えることになります。今回もカベルカ総裁をはじめ、アフリカ各国の首脳及び国際機関・地域機関の代表といったアフリカの開発に重要な役割を担う皆様にご参集いただき、今後のアフリカ開発のあり方について議論することになります。TICAD-IVでは、重点項目として、1貿易投資の促進やインフラ整備、農業・農村開発による成長の加速化、2保健制度の強化や民主化の支援等を通じて、人間の生存・生活・尊厳に対する深刻な脅威から人々を守る人間の安全保障の確立、3気候変動の影響を受けやすいアフリカ諸国の特に適応問題への取組みを支援することによる成長への障害除去の3つを挙げて議論する予定です。

 TICAD-IV及び北海道洞爺湖サミットがアフリカの更なる経済成長、健康状態の改善等の人間の安全保障の確立、環境・気候変動対策の強化を更に飛躍させる契機となることを期待します。
 
4. 結び
 
 世界の面積の2割以上を占めるアフリカは、豊富な資源を有し、ポテンシャルの高い人材を擁しており、今後大きく発展する可能性を秘めています。アフリカ各国自身の努力及びアフリカ開発銀行の更なる支援の強化を通じて、貧困を含む数多くの困難を克服していくことにより、アフリカがますます発展することを期待します。そして、我が国は、今後も、アフリカ諸国の経済成長、持続的開発のため、安定したパートナーとして、一層努力してまいります。
 
 ご静聴ありがとうございました。
 

(以上)