現在位置 : トップページ > 国際政策 > 国際開発金融機関(MDBs)〜世界銀行、アジア開発銀行等〜 > アフリカ開発銀行(AfDB) > 第40回AfDB・第31回AfDF年次総会 日本国総務演説(平成17年5月19日 於:ナイジェリア・アブージャ)

第40回AfDB・第31回AfDF年次総会 日本国総務演説(平成17年5月19日 於:ナイジェリア・アブージャ)

English  印刷用(PDF)


第40回アフリカ開発銀行・第31回アフリカ開発基金年次総会日本国総務演説
(平成17年5月19日(木)、於:アブージャ(ナイジェリア))
 


1. 序
 
 議長、総裁、各国総務各位、並びにご列席の皆様、
 
(1) 第40回アフリカ開発銀行・第31回アフリカ開発基金年次総会の開催に当たり、主催国であるナイジェリア政府及びアブージャ市民の暖かい歓迎に対し、日本政府を代表して心から感謝申し上げます。
 
(2) 私は、過去10年にわたるカバジ総裁の功績に深甚なる敬意を表します。カバジ総裁のリーダーシップのもと、昨年12月にはアフリカ開発基金第10次増資交渉(AfDF-X)が成功裡に妥結しており、これはMDGsの達成に向けた最も具体的かつ重要な行動の一つであると考えます。今後は、各国がAfDF-Xの早期発効の手続きを迅速に進めていくことが必要です。わが国としては既に必要な予算措置をしており、速やかに応募証書の寄託を行える旨を報告できることを喜ばしく思います。
 
(3) カバジ総裁による過去10年の改革の成果を更に発展させるため、私はアフリカ開発銀行が特に以下の4点を重視していくことを希望します。
 
  イ) まず、アフリカ開発銀行の財務の健全性の維持です。アフリカ開発銀行が自らの業務を適切に実施していくに当たり、カバジ総裁の下で得られたAAA格付けを維持していくことは不可欠です。
 
  ロ) 次に、良質な人材の確保です。開発金融機関にとって一番の資産は人です。優秀な人材なくしてアフリカ開発銀行が智慧の泉(knowledge bank)となることも、また、アフリカ独自の観点に基づく開発戦略(development strategies based on its African character)を打ち立てることも不可能です。
 
  ハ) 第3に、質の伴った現地化の進展です。プロジェクトの適切な実施促進・管理の強化、被援助国との政策対話の充実、現地ドナーコミュニティとの協調を進めるためには、適切な人材を確保しつつ、段階的に現地事務所の開設を進めることが重要です。
 
  ニ) 第4に、アフリカ開発銀行のvisibilityの向上です。域内の加盟国や国際的な開発コミュニティにおいて、アフリカのための唯一の地域開発金融機関としてアフリカ開発銀行が、自らの見解や意見を適切に述べていくことが重要です。主要な国や機関による提案や提言に対し、アフリカ開発銀行は適時に自らの立場を示していくべきです。
 


2. アフリカの経済情勢と課題
 
 議長、
 
(1) 昨年、アフリカ諸国は、外生的要因、即ち、世界経済の好転と一次産品価格の上昇に加え、内生的要因、即ち、マクロ経済環境の改善が奏功し、堅調な経済成長を実現しました。年率4.5%の経済成長は1996年以来です。更に、2年連続で4%を超える水準の経済成長が達成されたのは過去20年を通して初めてであり、心から祝福します。
 
(2) しかし、サブ・サハラ・アフリカ諸国において2015年までにMDGsを達成するためには、今後10年連続で7%台の経済成長を実現することが必要なことを踏まえると、残された課題は余りにも大きいと云わざるを得ません。アフリカ諸国において、アジアにおいて見られたような民間セクターの発展を伴った裾野の広い成長を実現させていくためには、アフリカ開発銀行を含め、国際社会全体として支援を継続する必要があります。それと同時に、アフリカ諸国自身がオーナーシップをもって、過去10年に達成された改革を更に強化することが重要と考えます。
 
(3) このため、私は、5つの課題があると考えます。
 
  イ) まず、紛争の終結と再燃の防止です。平和の構築なくして、貧困削減も経済成長もありません。私は、最近、スーダン南部において、安定化の兆しが現れつつあることを歓迎します。
 
  ロ) 次に、頭脳流出(brain drain)に留意しつつ、官民を通じたキャパシティを構築することです。人的資源の充実なくして、豊かな天然資源を経済成長に転化させることも、有効な貧困削減戦略(PRSP)を立案することもできません。
 
  ハ) 3番目に、地域統合の推進です。アフリカ諸国にとって規模の経済を実現させ、開発のインパクトを増大させるために、地域統合を推進することは重要です。NEPADの取り組みの中で、アフリカ開発銀行がインフラ分野において主体的な役割を担っていることを歓迎します。
 
  ニ) 4番目に、ガバナンスの改善です。民主的に選ばれた政府により、法に基づく統治が行われることは、経済成長を実現するために必要不可欠です。また、公的財政管理は、アフリカ諸国が貧困削減を実施するために資金を効率的に活用する観点から特に重要であります。この観点から、アフリカ開発銀行が、ガバナンス向上を目的としたアフリカン・ピア・レビューを引き続き積極的に推進して行くよう求めます。
 
  ホ) 5番目に、極度の貧困や紛争などの脅威に対処するための個々人の「能力強化(empowerment)」です。わが国は、地方農村の自立のための基盤整備や能力強化を組み合わせ、地域社会の開発を支援することを目的としたアフリカン・ビレッジ・イニシアティブを発表しています。
 

3. 日本の貢献
 
 議長、
 
(1) わが国は、サブ・サハラ・アフリカとの関係において過去10年間、二国間ODAとして93億ドルの援助を行ってきました。債務救済についても、サブ・サハラ等のHIPC(重債務貧困国)イニシアティブ適用国27カ国に対し、全債権国中最大、G7全体の約4分の1の貢献(約22億ドル)をしております。
 
(2) また、小泉総理から、先月に開催されたアジア・アフリカ首脳会議の場において、今後3年間でアフリカ向けのODAを倍増し、引き続きその中心を贈与(grant aid)とする考えであることが表明されました。
 
(3) さらに、わが国は、ミレニアム・プロジェクト報告書のクイック・ウィンへの迅速な対応として、07年までに1,000万張の長期残効型の蚊帳の供与を決定しています。
 
 議長、
 
(1)

わが国は、1973年にアフリカ開発基金に加盟して以来のアフリカ開発銀行とわが国の協力関係を更に発展させたいと考えています。このため、先程申し上げた5つの課題に取り組み、民間部門の発展を伴った裾野の広い持続的な成長を通じた貧困削減を実現していくための「the Enhanced Private-sector Assistance for Africa (EPA for Africa)」を最近提案いたしました。
 
  イ) わが国は、中小企業育成、金融機関の能力強化、公共部門のガバナンス強化のための技術支援、資金支援等を行う多数国の拠出による特別基金(TA/grant facility)のアフリカ開発銀行内の設置を提案します。資金規模は5年間で2億ドル規模を目指し、わが国は2割相当の貢献をする用意があります。
 
  ロ) わが国は、アフリカ開発銀行グループを活用して、民間セクター育成・インフラ基盤整備を支援するため、5年間で10億ドルを上限として、わが国の譲許性が高い円借款を供与します。
 
  これらの提案の詳細については、現在、アフリカ開発銀行と事務的な調整を行っております。この提案の早期実現に向けて、各国総務の御支援をお願いするとともに、多数国の拠出による特別基金への関心あるドナーの参画を呼びかけます。
 
(2) これらの提案に加えて、わが国は国際開発金融機関の債務について、完了時点に到達した後のHIPCに対して、IMF、世銀による債務持続性分析に基づいて、債務が持続的な水準となるまで削減することを提案しています。また、制度政策環境の良好な国には、多めに債務を削減して、借入余力を作り、今後ローンも活用できるようにすることを提案しています。
 

4.結び
 
 議長、
 
結びに、昨年のノーベル平和賞をアフリカの女性として初めて受賞されたケニアのマータイ女史が強調されたことに触れたいと思います。マータイ女史は、折にふれ日本語の「もったいない」という言葉を引用して、資源の有効利用と環境保全の重要性を訴えられました。物を大切に使おう、使える物は出来るだけ使っていこう、再使用しようという「もったいない」の精神を理解してくれたのです。アフリカは豊かな自然に恵まれ、大きな可能性を有しています。環境保全と持続的発展が両立する活気のある力強い社会を作り出すことは可能と信じます。わが国は、そのための努力を惜しまない決意をここに表明し、結びの言葉といたします。
 

ありがとうございました。
 


(以上)