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第39回AfDB・第30回AfDF年次総会 日本国総務演説(平成16年5月25日 於:ウガンダ・カンパラ)

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第39回アフリカ開発銀行・
第30回アフリカ開発基金年次総会
日本国総務演説


会期:

2004年5月25〜26日
場所: カンパラ(ウガンダ)
演説:

小寺 清 財務省国際局審議官

(現地時間5月25日 17:00頃)
 
お問い合わせ先
財務省国際局開発機関課
(03)3580−3238

 



I.序

 



 議長、総裁、各国総務各位、並びにご列席の皆様、

  第39回アフリカ開発銀行(AfDB)、第30回アフリカ開発基金(AfDF)年次総会がここカンパラにて開催されることを嬉しく思います。開催地決定からの短い準備期間にもかかわらず本総会開催に漕ぎ着けたウガンダ政府及び銀行事務局の努力、及びカンパラ市民の暖かい歓迎に対し、日本政府を代表して心から感謝申し上げます。



II.アフリカ開発銀行40周年にあたって

 



 AfDBは今年設立40周年を迎えましたが、ここにカバジ総裁を始め歴代総裁、AfDB関係者の皆様に謹んでお祝い申し上げます。我が国はAfDFの創設以来No.1ドナーとして30年にわたり、AfDBグループを我が国の対アフリカ援助の中核として支援して参りました。


 
 私は現在のAfDBグループについて、次の2点を称えたいと思います。
 1)

  AfDBは昨年7月全ての格付機関からトリプルAを獲得しました。AfDBの財務はMDBsの中でもトップクラスです。
 2)

  昨年、AfDBグループはチュニスへの一時移転を行ったにもかかわらず、遅滞なく業務を正常に復帰させ、例年と比較しても見劣りのしない水準の承認額を達成しました。AfDBグループは、危機に適切に対処できる組織であることを示したと言えます。


 
 私は、AfDBグループの業務及び財務の改革を指揮してきたカバジ総裁に心から謝意を表します。



III.アフリカ経済とAfDBの役割

 



 近年、アフリカ諸国のマクロ経済指標は改善を示しております。特にサブサハラ諸国では本年には5%の成長が期待されておりますが、これは各国のマクロ経済政策の改善、非石油商品の価格上昇、世界経済の回復並びに拡充HIPCイニシアティブでの債務救済などが背景にあります。一方で、MDG達成の進捗状況を見ると、特に貧困人口比率削減目標についてサブサハラ諸国の貧困率は依然として4〜5割で推移しており、MDG達成が危ぶまれております。
  これらの国々はMDG達成に向けて、それぞれが直面する環境に合わせてMDGを現地化し、その実現を目指したPRSPを策定することが必要です。AfDBを始めとしたドナー・コミュニティは、一致協力してそうしたPRSPを支援していくことが重要だと考えます。
 また、無益な内戦から抜け出してきたポスト・コンフリクト国に対する支援にあたっては、政治面、治安面及び開発面の3つの観点を総合的に組み合わせることが重要である、と考えます。



IV.AfDBグループの課題

 

 こうした流れの中で、AfDBグループが直面する課題が5つあります。

 

 1)

  まず、AfDBグループはそのオペレーションをより効果的にする必要があり、そのためにはより成果重視でなければなりません。
 
 私は、AfDBグループが成果重視の運営に向けて着実に歩を進めていることを評価します。
  今後の実施過程で重要なのは、受益国においてAfDBの活動が如何なる開発効果をもたらすのかという「結果連鎖」を明確にし、それを測定できる指標を設定することです。また、援助プログラムの計画・執行・監視・評価の各段階において成果が上がったかを確認し、そのフィードバックを行うことです。
 
 こうしたプロセスは、国レベルではPRSPを、機関レベルでは成果重視型の国別戦略ペーパー(CSP)を主要手段として実施する必要があります。このうち、AfDBグループは以下の点で、CSPに対する改善を示す必要があります。
  ・   CSPは、3年間のプログラムの背景となる、より長期の一貫した戦略を示すべきです。CSPは、ローンの新規承認セクターを示すだけでなく、相手国のPRSP策定や分野別政策対話への参加を通じて、相手国自らの戦略を支援するために、AfDBグループのプロジェクト、プログラム及び調査をどう組み合わせて行くかといった包括的な戦略を示すべきです。そして、AfDBグループの比較優位を考慮し、人的・予算資源をどのように得意分野に集中させ、選択性を強化するのか示すべきです。
  ・   我が国もAfDBグループが支援国のPRSP策定を支援する観点から、AfDBグループに信託した基金を通じて本年1月にダカールで開催された参加型PRSPワークショップを支援したところです。

 

 2)

  AfDBグループは、第2に、受益国のニーズにより機動的になる必要があります。

 今後、現地における相手国政府との政策協議を充実させ、プロジェクトの調達や払出手続の遅れを改善するため、「現地事務所への権限委譲(decentralization)」を進めるべきだとの議論があります。
 私は、現地化を進めるべきとの方向性に賛成ですが、そのために先ずは、現地での政策協議やドナー協調に十分な貢献のできる熟練スタッフを育成すること、第一線のスタッフがタイムリーに意思決定できるよう権限の委譲と責任の明確化を進めることが不可欠であると考えます。
 最近決定された組織内流動性(internal mobility)の拡大や権限委譲の拡大、オペレーション・スタッフの増員といった事務局のイニシアティブの下で、AfDBが受益国の声に耳を傾け、援助効率の向上が図られることを希望します。

 

 3)

  第3に、AfDBグループはポスト・コンフリクト国支援により積極的になる必要があります。

 

  そのためには、先ず、アリアの解消が重要です。
  アリア解消の原則は、国際的な支援スキームの中で良好なトラック・レコードの積み重ねを確認しながら、ケース・バイ・ケースで考えられるべきです。そのためには、AfDBグループがIMF・世銀と十分な連携を図ることを強く希望します。
  また、我が国はアリア解消に対するAfDBの貢献として、ポスト・コンフリクト・イニシアティヴ、及びその中核となるポスト・コンフリクト国メカニズム(ファシリティ)の創設を歓迎します。

  更にアリア解消後の復興需要に対して十分に対応することも重要です。この点において、アフリカのポスト・コンフリクト国の状況を最も理解しているのは、地域を代表する開発金融機関であるAfDBです。復興需要への充分な対応が可能となるよう、AfDFリソースの稀少性・重要性を勘案した上で、来年以降、AfDB純益からより多くのリソースをAfDF-X一般リソースに割り当てるべきであることを主張します。

 

 4)

  第4にAfDBグループはHIPC国に対する支援のあり方について検討を強める必要があります。

 

  HIPCでの取扱を希望している37か国のうち、32か国がアフリカに集中しています。このうち、ポスト・コンフリクト国を中心とする9か国は、拡充HIPCイニシアティブの適用期限が本年末に迫る中、依然として決定時点(DP)にすら到達していません。ポスト・コンフリクト国に対する支援の強化や政策対話を通じて、これらの国々が良好な政策運営を行い、早期にHIPC債務救済を受けられるよう、AfDBが手を差し延べる必要があると考えます。
 
 先の世銀・IMF合同開発委員会において、低所得国を対象とした新たな債務分析の枠組みが提案されました。これは、HIPCプロセスを完了した国が再び過重債務に陥らないための重要な枠組みです。これを国際金融機関の融資政策として実行するためには種々の検討が必要になると思いますが、AfDBグループとしてもその検討に積極的に参画することを期待します。

 

 5)

  第5に、AfDBグループは、民間セクター支援を中心として、AfDBウィンドウを通じたオペレーションを再構築する必要があります。

 

  AfDBはMDBsの中でもトップクラスの財務内容を持つに至りました。AfDBの貸出・資本(E/L)比率は、他のMDBsの2倍近い水準に達しています。その背景には、過去数年にわたる、準備金の積み立て、HIPC債務救済の進捗、更には、AfDB貸出残高の減少という複合要因がありますが、現在のAfDBは、リスク量と比べ、充分な資本(equity)の量を有しております。

  この充分な財務基盤を民間企業に対する支援に活用することを検討すべき、と考えます。そのため、AfDBグループは公的部門を含めた、包括的な民間セクター開発戦略を早急に策定すべきです。その際、官民パートナーシップが予期した成果を上げていないことに対する真摯な分析が不可欠です。また、途上国の裾野の広い成長と貧困削減のためには、とりわけ中小企業の育成が重要です。この観点から、SMEに適切な資金供給が行なわれるような金融セクター支援、中小企業が活動しやすいようなビジネス環境の整備に積極的に取り組むことが求められます。



V.結びに代えて―TICAD・AA会議のフォローアップ

 

 2003年9月に開催された第3回アフリカ開発会議(TICADIII)において、アフリカの経済分野へのわが国の貿易・投資分野での取組みとして、TICADアジア・アフリカ貿易投資会議を本年秋に東京において開催することにしております。

  更に本年6月には、我が国ビジネス界を対象としたAfDBビジネス・セミナーを予定しております。

  本年秋に皆様方と再び東京でお会いすることを楽しみにしております。

(以上)