第38回AfDB・第29回AfDF年次総会 日本国総務演説(平成15年6月3日 於:エチオピア・アジスアベバ)
第38回アフリカ開発銀行・
第29回アフリカ開発基金年次総会
日本国総務演説
会期: | 2003年6月3〜5日 |
| 場所: | アジスアベバ(エティオピア) |
| 演説: | 小寺国際局審議官 |
| (現地時間6月3日 13:05頃) |
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| お問い合わせ先 | | 財務省国際局開発機関課 | | (03)3580−3238 | | |
アフリカ開発銀行年次総会 総務演説
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| 第38回アフリカ開発銀行、第29回アフリカ開発基金年次総会の開催にあたり、短い準備期間にも拘らず昨年に引き続き総会を主催したエティオピア政府及びアジスアベバ市民の皆様の暖かい歓迎に心より感謝申し上げます。 |
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| アフリカ経済については2001年、2002年と平均して3%台の成長が実現し、いくつかの国においてはマクロ経済運営が改善したこともあり、2002年には財政赤字を平均3%以内に抑え、インフレ率も平均10%以内と安定してきております。 しかしながら、アフリカにおける経済の課題は、MDGとの関連においていかに持続的な経済成長の条件を築き上げていくかということであります。 これらの条件のうち特に投資環境の整備が重要であり、そのためにも経済インフラの整備及びガバナンス・行政能力の改善も重要と考えます。 MDG達成に必要な政策・行動を選定し、実施していくに当たっては、各国が主体性を持って策定・実施する貧困削減戦略文書(PRSP)等の開発戦略を中心に据えた、国別のアプローチを採用していくことが重要です。すなわち、各国の開発戦略において、MDGを各国の事情に合わせて現地化した各国毎の開発目標を据えた上で、その目標の達成のために必要な政策・行動を国毎に選定・実施していくことが重要です。 |
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| この一年はアフリカ開発銀行にとって大変困難な一年でありました。AfDF−IXの交渉の妥結、発効といったポジティブな進展があった一方、本部所在国における政治社会不安のため全体的な活動の停滞を余儀なくされました。しかしながら、2回のGCCにおける決定を経て、アビジャンからチュニスへの一時移転を、借入、融資実行といった根幹業務を中断させることなく遂行し、5月末までにほぼ全機能の回復に成功したことについて、総裁を始めとする銀行事務局の努力に感謝の意を表します。 この間引続き財務・業務改革が進行し、AfDBの財務状況が大きく改善したことにより中期的な見通しが強化されていることは大変心強いことであります。今後は、強化された資産を有効に活用する積極的な姿勢が求められています。この点で組織再編後初の戦略プラン (2003-2007年)において、AfDBが自らの役割を明確に定義したことを評価いたします。 さらに、この一年間で、AfDF−IXにおいてパフォーマンスに応じた融資額配分制度(Performance-Baced Allocation Framework)が改善されたことやAfDBにおける全てのプロジェクト文書に開発効果に関する明確な測定可能指標を掲載することとしたことを評価したいと思います。 しかしながら、AfDBが直ちに改善すべき課題もあります。 第一に、国毎に異なる環境に適時に対応するためには煩雑な意思決定方式を改め、第一線のスタッフに権限を委譲し、責任を明確化することが必要です。 第二に、100以上ものポストが現在空席状態となっており、特に優先分野とされている民間セクターやガバナンスにかかる人材が不足しているのは懸念材料です。採用プロセスの迅速化が望まれます。 |
| 4.TICAD III/NEPADと我が国の対アフリカ協力イニシアティブ | |
| 日本とアフリカは、地理的にも歴史的にも遠い関係にありましたが、ここ数年アフリカに対するDAC諸国におけるドナーの上位に数えられております。我が国のアフリカ地域に対する二国間ODAは、毎年約8億ドル前後になります。 今般、日本政府は、国連機関、GCA(アフリカのためのグローバル連合)、世銀と共催で、アフリカをはじめ各国・国際機関の首脳・閣僚クラスを招き、TICADプロセスの10周年の節目に当たる本年9月29日〜10月1日にかけてTICADIIIを東京において開催します。TICADIIIの開催は我が国のアフリカ支援のコミットメントの表れであり、特に、NEPADへの支援をテーマとするTICADIIIでは、アフリカへの関心を高めつつあるアジア諸国を取り込む形での開発パートナーのさらなる拡充を図っていく考えです。 我が国は、TICADプロセスの中でアフリカの持続的な成長のためにはアフリカ自身のオーナーシップと国際社会のパートナーシップが重要であると一貫して主張してきました。NEPADの基本哲学にこうした考え方が反映されていることは心強く思います。しかしながら、NEPADにおけるアフリカ各国の熱意に差がみられること、また、理念が先行し具体的成果が現在のところ見えてこないことが懸念されます。これからはNEPADの理念を政府レベルのみならず、アフリカの市民社会、民間セクターを含めたあらゆる当事者が共有するとともに地域協力やガバナンスレビューなど具体的な成果が出てくることを期待しています。 2週間前に小泉首相が我が国の対アフリカ協力イニシアティブを発表しました。そこでは、人間中心の開発、平和の定着と並んで持続的経済成長を通じた貧困削減を強調しております。 経済成長のためには農業生産性の向上及び食料輸入依存からの脱却が重要課題です。この様な認識の下、農業分野での支援を重視して参ります。その一環として今後ともネリカ米の開発・普及に努めていきます。また、アフリカの今後の経済発展にはインフラ整備や投資も重要であり、わが国としても今後実施予定の約10.6億ドルを始めとして、インフラ整備への協力を実施します。また、わが国企業のアフリカへの投資を促すため、投資金融を通じて向う5年間で約3億ドルを目標に協力を実施します。 アフリカにおいては水へのアクセスが重要な問題であります。3月に京都で開催された水フォーラムでは、2003年度予算において約1.3億ドルの水資源無償を含む諸施策を表明しました。 さらに、市場アクセスの拡大のためにこの4月よりLDC産品に対する無税・無枠の市場アクセス供与品目を新たに農水産品について198品目拡大し、その結果LDCからの輸入額の93%が無税・無枠となります。 わが国は、HIPCイニシアティブにおける債務救済についてドナー国の中で最大限の貢献を行っています。今後、アフリカの重債務貧困国等に対し、総額約30億ドルの円借款債権を放棄する予定です。また、先般我が国は、債務削減方式を一旦債務の返済を受けた上で相当額の無償資金を供与するという方式から、国際協力銀行の円借款の債権放棄による方法へ変更いたしました。さらに、昨年我が国は、HIPC信託基金の中からアフリカ開発銀行グループに対して100百万ドルの資金を追加的にイヤマークすることを表明したところです。しかしアフリカの対象国にその効果を享受してもらうためには、これらの国において、マクロ経済の安定や良い統治の推進等に向けて一層努力し、なるべく早く完了時点に到達していただく必要があります。各国の努力を期待いたします。 アフリカ開発及びその貧困削減を、パートナーシップを拡大する中で、どのように実行していくべきかにつき世界中が注目しております。このような課題を議論するため、来る9月にTICADIIIの場において皆様方と東京で再会したいと思います。 |
以上 |