第36回AfDB・第27回AfDF年次総会 日本国総務演説(平成13年5月29日 於:スペイン・バレンシア)
第36回アフリカ開発銀行(AfDB)
第27回アフリカ開発基金(AfDF)
年次総会
日本国総務演説
| 1. はじめに 議長、総裁、各国総務ならびにご列席の皆様 第36回アフリカ開発銀行、第27回アフリカ開発基金年次総会の開催にあたり、域外加盟国として初めて総会を主催したスペイン政府及びヴァレンシア市民の皆様の暖かい歓迎に心より感謝申し上げます。また、この1年、本部所在地情勢の影響による様々な困難と労苦にもかかわらず、本銀行の経営陣及び職員が強い責任感と使命感をもって職務に精励されていることに賞賛の意を表したいと思います。 2. アフリカ諸国の貧困とアフリカ開銀グループの課題 議長 アフリカ開発の最大の課題は貧困の削減です。特にサブ・サハラ地域は、一人当たりのGDPが30年前と比較して減少している国が多く、総人口の半数に近い3億人が1日1ドル以下で生活しているなど、持続的成長を支える制度的、人的基盤の構築が遅れています。これに加え、エイズ、結核、マラリアといった感染症が貧困問題を深刻にしており、また、地域紛争は紛争当事国だけでなく周辺地域にも影響を及ぼし、脆弱な人々に最も深刻な打撃を与えています。このようにアフリカ開銀グループが直面する問題の解決は複雑かつ巨大で極めて困難なものといわなければなりません。 このような深刻な貧困問題にアフリカ開銀グループが対処していく上で取り組まなければならない課題について、我が国の考えを述べたいと思います。 第一に、業務のあり方と機関内部の改革です。 1999年に策定された指針では、アフリカ経済の持続的成長と貧困削減の実現を究極的な使命とし、農業及び農村開発を業務の重要な柱と位置付けています。アフリカ開銀グループはこのような指針に沿った業務運営を一層推進しつつ、貧困削減の効果と援助の効率性を向上させることが期待されており、資源の重点的投入と人的資源の充実を図ることが必要です。また、アフリカ開銀グループがアフリカ的性格を有する機関としての比較優位を発揮しつつ、引き続き世銀、国際通貨基金をはじめとする他の開発機関との協調を強化していくよう期待しております。 開発援助をとりまく先進国の状況を振り返ると、国際開発金融機関の活動に対しても納税者の厳しい目が注がれています。アフリカ開銀グループにおいて業務運営の透明性と効率性を向上させることは、今般開始されるアフリカ開発基金の第9次増資交渉を成功させるために不可欠と考えます。 第二に一部の加盟国による借入金の返済遅延問題への取り組みです。 10億計算単位にも達しようとしている一部の加盟国の借入金の返済遅延は、単に銀行の財務の健全性を脅かすだけでなく、アフリカ諸国に対する国際社会の信用を深く傷つけるものであります。 アフリカ開銀グループは、返済遅延国との政策対話を進めているほか、設立協定の改正を含め返済遅延問題解決のため様々な努力を行っています。これらの措置の実行は返済遅延問題に対するアフリカ開銀グループの強い意思を表すものとして支持することができますが、本問題の抜本的解決のためには更なる努力が必要です。今後、個別国の実情に即した具体的な議論を関係国とともに継続していくことが重要と考えます。 第三に重債務貧困国の問題解決への取り組みです。 本問題解決のためには、拡充された重債務貧困国イニシアティブに基づいて国際社会が協力して債務救済を進めることが重要です。このような観点からわが国は同イニシアティブの適用国に対し100%の債務削減を行うこと、及び、アフリカ諸国で適用決定時点を迎えている19ヶ国に対し債権国中最大規模の総額約26億ドルの二国間の債権削減を行っております。今後とも重債務貧困国及びアフリカ開銀グループの更なる努力により同イニシアティブが進み、効果的な貧困削減につながっていくことを期待します。 しかしながら、こうした債務救済は、アフリカ開発への万能薬ではありません。我が国としては、中長期的なアフリカ開発に向け、今後とも、保健、教育、貿易、投資等を含めた包括的な取り組みの下、引き続き支援を行っていく所存であります。 3. アフリカに対する我が国の貢献 議長 近年、我が国とアフリカとのきずなは益々深まってきています。 本年初頭、森前総理が日本の総理大臣として初めてサハラ以南のアフリカ諸国を訪問し、「21世紀こそはアフリカの大飛躍が待ち望まれる世紀であるとともに、アフリカ問題の解決なくして21世紀の世界の安定と繁栄はなし」と述べるとともに、今後とも引き続きアフリカへの協力に取り組んでいく旨表明しました。 また、我が国は、冷戦終了後、アフリカへの世界の関心が低下したときに、アフリカ自身の活力による開発を進めるため、1993年と98年にアフリカ開発会議を主催しました。これらの会議では、政治的安定の確保を含めた包括的アプローチの採用、アフリカ諸国自身の主体性の確立と国際社会とのパートナーシップの構築について合意がなされました。我が国は、他の援助国とともにアフリカ諸国自身による開発戦略に耳を傾け、アフリカ諸国と一緒になってその具体化に取り組んでいきたいと考えており、本年12月にアフリカの開発に関する閣僚レベルの会合を東京で開催いたします。 アフリカ諸国において特に深刻な問題となっている感染症対策につきましては、我が国はこれまで一貫してその重要性を訴えてきており、昨年の九州・沖縄サミットの際に表明した「沖縄感染症イニシアティブ」では、今後5年間で30億ドルの支援を表明し、着実に実施に移しています。我が国としては、これをアフリカに対して積極的に活用していきたいと考えております。 また、我が国はアフリカ開銀グループに設置した信託基金を通じて、技術支援や奨学金プログラムを提供しております。本年度は百万ドルを拠出することとしておりますが、今後ともこの基金が、アフリカ諸国の貧困削減、人材開発、能力構築のために有効に活用されることを期待しております。 4. 結語 各国総務ならびにご列席の皆様 アフリカ開銀グループは、アフリカにおける貧困削減に向けた国際的な取り組みの中で、引き続き重要な役割を果たしていくことが期待されています。こうした期待に応えるため、アフリカ開銀グループが、より健全な財務と効率的な運営を目指した改革努力を続けることを期待しております。 ご静聴ありがとうございました。 |