中尾武彦ADB総裁候補のビジョンステートメント
平成25(2013)年3月7日
中尾 武彦
ビジョン・ステートメント
アジア開発銀行(ADB)総裁候補としての指名を踏まえ、私は、総裁として、ADBをどのように導いていくかについて、以下の通り、ビジョンをご説明いたします。
近年、アジアは目覚ましい成長と貧困削減を実現し、世界の成長のエンジンと認識されています。しかし、開発の課題は依然として残されています。アジア太平洋地域には、8億人以上の人々がいまだ絶対的な貧困状況にあります。中所得国は、中所得国の罠を乗り越え、新たな発展ステージに上っていく必要があります。また、気候変動や食料安全保障、脆弱国、ジェンダー、地域統合などの課題にも取り組んでいかなければなりません。
私は、ADBのミッションを果たしていくに当たり、ADBの「ストラテジー2020」は、引き続き、参照すべき重要な戦略であると考えます。ADBの業務の中核となる5分野、すなわち、@インフラ、A環境、B地域協力・統合、C金融セクター開発、D教育、は、貧困を削減するためにも、また、成長を持続させるためにも、極めて重要です。これらの5分野は、相互に関連しています。交通インフラがしっかりしていなければ、教育へのアクセスが制限されたり、良質の職を得られる可能性が制約されます。
民間セクターは成長の源であり、民間セクター開発を進めることの重要性は、申し上げるまでもありません。したがって、ADBは、民間セクター開発のための業務を一層充実させるべきです。適切な制度環境の構築を助けることによって、官民連携パートナーシップ(PPP)を促進することも必要です。また、私は、投資環境を改善することの重要性を改めて強調したいと思います。引き続き適切なマクロ経済政策が実施され、必要とされる構造改革が進められ、ガバナンスが改善されるよう、ADBは、他の国際機関と共に、各国に促していくことが求められます。開放的で、健全で、活力ある金融セクターは、中小企業を支援するために、また、技術やノウハウの移転を伴う対内直接投資を促進するために不可欠です。
ADBは、自らのミッションを達成するため、人材・資金の両面にわたって強固である必要があります。私は、有能で多様な人材を最大限に活用することを通じ、ADBの最も重要な財産である職員について、その全ての可能性を引き出します。ADBは、加盟国に対してノレッジ・ソリューションを提供するための能力をさらに高めていくべきです。各国におけるキャパシティ・ビルディングは、力強い成長の基盤を整えようとしている低所得国はもとより、これから先進国に加わることを目指している中所得国にとっても不可欠です。私は、ADBが、加盟国のニーズに応えることができるよう、十分な資金基盤に支えられることを確保します。
最後になりましたが、私は、加盟各国政府、国際機関、市民社会を含め、ADBのあらゆる開発パートナーとの間で、パートナーシップを一層強化します。開発は、本来、途上国自身が主導していくべきものです。同時に、国際社会からの支援の効果を更に高めていくために、一層の援助協調を図る必要があります。
