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IMF・証券投資残高調査(Press Release抄約)

2000年1月31日

 IMF・証券投資残高調査

Press Release抄訳)

 

       IMFが中心となって実施した主要な投資国による証券投資残高に関する初めての調査をみると、1997年末における証券投資(株式と中長期債の合計)は、5.2兆ドルに達している。

       この証券投資残高共同調査(Coordinated Portfolio Investment Survey、CPIS)によれば、主要な投資国である米国(外貨準備による保有分を含む)、英国、日本で証券投資残高の68%近くを占めている。オランダ、イタリア、フランスの全体に占める比率は各々4〜6%であった。本調査は世界の主要な投資国による仕向け国別の証券投資を把握するために国際的に共同で実施された初めてのものである。29ヶ国が参加した。

       本調査実施により、実施以前には判明していなかった7,500億ドルの証券投資残高が特定された。これらの証券投資残高は主に欧州や北米の国々の居住者によるものである。いくつかの国(カナダ、アイルランド、イタリア、スペイン等)では、こうした調査が完全に新規に実施された。米国においては、97年末時点での残高が正確に把握された。今回調査に参加した唯一のオフショア・センターであるバミューダの投資残高は、1,330億ドルであった。一方で、本調査により、負債サイドについてもこれまで把握できていなかった5,000億ドル程度が主にオフショア・センター(新しく判明した負債の45%程度)と新興市場諸国(約36%)関連で判明した。これらを、各国で既に作成されていた対外資産負債残高等に足し上げた結果、97年末の世界(CPIS不参加国も含む)の証券(株式、中長期債)投資負債残高は9.4兆ドル、資産残高は7.7兆ドルとなった。

       原則的には、世界の証券投資残高の資産サイドと負債サイドは一致するはずであるが、実際には不一致となっている。本調査により証券投資の資産サイドの捕捉範囲が広がったものの、依然として1.7兆ドル(負債の18%)の不一致が残っている。この差のかなりの部分は、今回の調査に参加しなかったオフショア・センターによるものであると考えられる。

       本調査の結果は、一時点での証券投資の国別保有状況を示すこと、また、各国間の比較を可能にすることにより、経済成長を持続させるために証券投資による流入に過度に依存している国々の潜在的な脆弱性をより深く分析するための1つの材料となろう。本調査は、繰返して実施する予定であり、主要投資国による証券投資選好の変化の影響をみることも可能になろう。

       調査報告書は参加国が証券投資資産を主な相手国にどのように分散させているかを示す総括表(general tables)、各国毎の調査結果(country tables)、および各国における調査実施の基本的な枠組みの解説により構成されている。

       本調査は参加国の多くにとって統一された基準および方法に則ってこうしたデータを収集する初めての機会となり、データの質の向上と比較の容易性が確保された。対外資産負債残高を既に作成していた国は参加国のうち2/3に過ぎず、その殆どは地域別のないベースであった。本調査の要件を満たすために、既に地域別対外資産負債残高を作成していた国を含め、殆どの国で大きな変更や改訂が行われた。全体で、本調査は、4,000の銀行、8,000の非銀行金融機関、13,000の一般法人による証券投資をカバーしている。

       本調査を実施した重要な契機は、国際収支統計、特に証券投資フローのグローバルな非対称性であった。こうした非対称性が最初に指摘および分析されたのは、1992年にIMFにより公表された「国際的な資金フローの把握に関する報告書」においてであった。同報告書において(1)国際収支統計の資本収支について国際的な基準をより浸透させること、(2)統計収集が適切なリソースと法体系の下で行われること、(3)残高統計を定期的に収集すること、(4)一時点で国際的な証券投資の資産・負債に関する仕向国別の調査を共同で実施することに向けて各国が努力するよう推奨されている。

       本調査の主な目的は、(1)全ての主要な投資国が同時点で資産残高に関する調査を行うこと、(2)参加国がお互いに整合的な定義や分類を行うこと、(3)全ての参加国が証券投資残高を非居住者である証券発行者の国籍別に分類すること、(4)各国が調査に関して共通の基準にできる限り則って実施すること、であった。

       本調査の結果については、2000年春頃分析ペーパーを公表の予定。同ペーパーでは、本調査の結果とその他の利用可能な情報を併せてみて、グローバルな証券投資の資産・負債の不均衡の程度を確認する予定。証券投資の負債サイドについても地域別統計を提出した8つの国(日本を含む)のデータも本調査による相手国の資産サイドの結果とバイラテラルに比較してみる予定。

       証券投資の資産と負債のグローバルな相違額は依然として大きい。これは推計が不可能なオフショア・センターやいくつかの国のデータが得られていないことや、個人の証券投資残高を十分に把握できていない可能性があることによると考えられる。このため、今後の本調査においては、主要な投資国(オフショア・センターを含む)のより完全な形での参加が重要である。こうした国の参加により、グローバルな証券投資資産の把握がより完全になり、グローバルな証券投資の負債サイドの数字の信頼性が確認されよう。

       証券投資残高のグローバルな相違の金額がより明確になったことのほかに、本調査により、データ収集における対象、範囲、時期、定義、概念について多数の国々で調整することが可能であるということが示された。また同調査は望ましい統計収集方法の基準を策定し全世界に広めるのに有効であり、データ収集の方法等に関する各国の実情をより良く理解するのにも役立った。

       本調査により、IMFの「国際収支統計マニュアル」の存在が再確認され、その利用も促進された。より多くの国が対外資産負債残高を年次で作成するようになれば、証券投資の残高やフローに関する統計も改善され、グローバルな資産負債の相違額の減少に繋がることが期待される。

       第2回調査を2001年末時点で実施の予定(今回実施した株式、中長期債に加えて短期債についても調査の予定)。また、より多くの国やオフショア・センターが参加するよう努力が続けられている。

 

 

照会先 大蔵省国際局国際収支課 Tel 3581-4111 内線 2888

        日本銀行国際局国際収支課 Tel 3277-1381

 

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