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第26回IMFC 日本国ステートメント(平成24年10月13日)

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第26回国際通貨金融委員会(IMFC)における日本国ステートメント
(2012年10月13日(土))

 

1.東京総会開催にあたって

東京において48年ぶりに、世界各国から多くの参加者を迎え、総会及び国際通貨金融委員会が開催されたことを大変喜ばしく思います。

 

2.日本・世界経済

【日本経済】

東日本大震災の甚大な被害に対し、政府は昨年7月、2015年度までの5年間を「集中復興期間」と位置付け、この5年間で合計19兆円、対GDP比4%程度の財政措置を取ることとしました。既に、2011年度の3度の補正予算及び2012年度予算に基づき、約17兆円(対GDP比3.6%)の復旧復興対策事業を着実に推進してきたところです。
こうした復興需要にも支えられ、我が国の内需は全体として堅調に推移してきました。本年第1四半期の実質GDP成長率は、前期比年率で+5.3%、第2四半期は同0.7%となりました。欧州政府債務危機等を背景とした金融市場の動揺や世界景気の減速などの下振れリスクが収まっていけば、本年度は実質2パーセント程度の成長が可能になると考えています。中期的には、環境・健康・農林漁業等の分野における成長力強化策を盛り込んだ「日本再生戦略」の実行などを通じ、日本経済の活性化に取り組んでいきます。

【日本の財政健全化】

本年春以降の我が国の財政健全化に向けた取組みについて御紹介させていただきます。我が国は、少子高齢化に対応した社会保障の充実・安定化のための安定財源確保と、財政健全化を同時に達成するための税制抜本改革法案を本年3月に国会に提出しておりましたが、同法案は本年8月に成立しました。この法律においては、2015年10月までに消費税率を現在の5%から段階的に10%へと引き上げることとしています。
同法の着実な実施や8月に改訂した中期財政フレームで定めた歳入・歳出両面にわたる取組み等によって、G20トロント・サミットでコミットした、国・地方の基礎的財政収支の赤字対GDP比を2015年度までに半減させることが達成できる見込みであり、今後の財政健全化に向けた最初の重要な一歩と言えます。ただし、IMFも指摘するように、2020年度までの国・地方の基礎的財政収支の黒字化に向けては一層の努力が必要ということは我が国も認識しているところであり、更なる財政健全化に向けた取組みを着実に進めていく所存です。

【世界経済】

世界経済は、全体として減速感が広がっています。米国の財政の崖(fiscal cliff)問題にも注意を怠るべきではありませんが、やはり最大の懸念は、欧州の債務及び金融セクターの問題であり、同問題に伴う負の波及効果が欧州を超えて影響を及ぼしつつあります。更なる景気の下振れを回避するためにも、欧州政府債務問題の解決に向けた速やかな取組みが不可欠です。
欧州情勢については、欧州自身が責任をもって力を尽くすことが何よりも重要です。まずは、これまでに合意・発表された施策をすみやかに実施していく必要があります。9月初旬には、金融政策の効果を確保するための新たな国債買取制度(Outright Monetary Transactions)が導入されました。また、9月中旬には、欧州単一銀行監督メカニズムについて欧州委員会が取りまとめた素案が公表され、10月8日には、ESMが発足するなど、足下では前向きな進展が見られており、こうした動きを歓迎します。我が国としても、引き続き欧州の取組みを見守りながら、必要な貢献は行っていく所存です。

 

3.IMFへの期待

次に、IMFに対する期待を申し上げます。

【グローバルな金融セーフティ・ネットの構築について】

世界経済及び金融市場の不確実性が残る中、今後世界経済が安定的に成長していくために、IMFの果たす役割はますます重要性を増しています。まずは、グローバルな金融セーフティ・ネットを提供することがIMFの重要な役割と言えます。この点に関し、先般のIMFの資金基盤強化に関して、我が国が600億ドルの融資枠の貢献を率先して表明するとともに、他国にも貢献を働きかけるなどのリーダーシップを発揮することで、本年6月のG20ロスカボス・サミットまでに4,500億ドルを超える資金基盤強化に合意できたことは、喜ばしいことです。

【地域レベルの金融セーフティ・ネットとIMFの連携について】

我が国は、IMF等のグローバルな仕組みを補完するものとして、アジア地域においても金融セーフティ・ネットの強化に力を注いできました。ASEAN+3の枠組みのもとで進められているチェンマイ・イニシアチブ(CMIM: Chiang Mai Initiative Multilateralization)については、本年5月のASEAN+3財務大臣・中央銀行総裁会議において、資金融通枠を1,200億ドルから2,400億ドルに倍増することや、危機予防機能の導入等に合意しました。こうした地域金融協力の強化は、危機の予防と対応において地域のオーナーシップを高め、IMF等の仕組みを補完してグローバルな金融セーフティ・ネットの強化に貢献するものです。
また、ASEAN+3は、CMIMの強化だけではなく、地域のマクロ経済調査機関であるAMRO(ASEAN+3 Macroeconomic Research Office)の組織強化にも取組んでいます。我が国は、経済サーベイランスをはじめとする分野においてAMROとIMFとの連携が深まることを期待します。

【ガバナンスの向上について】

質の高いサーベイランスに基づく政策提言を行っていくことも、IMFの果たすべき役割として重要なものです。この役割を効果的に果たしていくためには、加盟国からの信頼が重要であり、各国の発言力・出資シェアを世界経済に占める相対的地位をよりよく反映したものにしていく必要があります。2010年12月に合意されたIMFクォータ・ガバナンス改革については、本総会までに協定改正を発効させることが目標でしたが、極めて残念なことに、加盟国全体では、現時点で協定改正を受諾済みの国は、投票権シェアで68%に留まっています。協定改正の国内手続きが終わっていない国には、プロセスの一層の加速を強く期待します。
スタッフの多様性を改善させることもIMFの正当性、有効性、信頼性を高めるために重要です。我が国は、IMFに対し、資金面での貢献のみならず、人材面でも同等の貢献を行う準備があります。

【クォータの見直しについて】

クォータ見直しについては、加盟国の資金貢献実績を適切に考慮することの重要性を改めて強調したいと思います。IMFの資金基盤はクォータが基本であることは言うまでもありませんが、近年の金融危機への対応、低所得国支援、技術支援などのIMFの主要な業務が、加盟国による自発的な資金貢献なしには成り立ってこなかったという点を軽視すべきではありません。こうした現状を直視し、自発的貢献に対する加盟国のインセンティブを高め、今後もIMFの資金基盤を安定的に確保していくためにも、IMFのガバナンスの根幹であるクォータの配分において、IMFの通常融資を支えるNAB(New Arrangements to Borrow)やIMFとの二国間の融資枠への貢献、低所得国を対象とする譲許的融資の原資や利子補給金、技術支援への貢献を適切に考慮すべきです。
資金貢献実績を考慮することは、新興国・途上国のクォータ・シェアを不当に引き下げるという意見もありますが、我が国は、資金貢献実績への考慮と新興国・途上国のクォータ・シェアへの配慮は、十分に両立する課題であると考えています。最貧国の発言力を適切に保護することが重要なのは言うまでもありません。

【低所得国支援について】

我々はアフリカをはじめとする低所得国支援の重要性を忘れてはならず、この点においてもIMFの果たす役割は重要です。IMFは貧困削減・成長トラスト(Poverty Reduction and Growth Trust、以下PRGT)を通じて低所得国向けの譲許的融資を供与してきました。我が国も、PRGTに対する、融資原資の貸付や利子補給金の拠出といった貢献等を通じて、これまでIMFによる低所得国支援を一貫して支援してきました。
我々は、2008年の世界金融危機を受けて、低所得国支援強化のために、PRGTの資金基盤を強化することについて2009年にすでに合意しています。我が国は、当該合意に基づき、本年5月に我が国に配分される金売却益をPRGTの利子補給金に貢献する意思を表明しています。本総会期間中に、必要な数の加盟国のコミットメントが集まったことを歓迎します。
上記の2009年合意の下で金の売却益をPRGTの利子補給金に移転する措置が実行されても、2015年以降の低所得国への支援ニーズを十分に満たすためには、更にもう一段の利子補給金勘定の増強が必要とされています。新たな理事会の合意に基づき、加盟国が協調して行動するという前提の下、我が国は、PRGTの利子補給金に更に貢献していく用意があります。

(以上)