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第22回IMFC 日本国ステートメント(平成22年10月9日)

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第22回国際通貨金融委員会(IMFC)における日本国ステートメント
(2010年10月9日(土))

1.世界経済

金融危機後の世界経済は、積極的な政策対応もあり、順調な回復を見せてきましたが、日・欧州の生産活動は依然危機前をかなり下回る水準に留まり、ここへ来て米国の景気回復も鈍化してきています。失業率も多くの国で依然高止まっています。他方、アジアを中心とする新興国は堅調な内需の拡大によりその存在感を増しています。こうした中、新たな政策課題が生まれています。

金融危機の2008年当時は、先進各国は景気下支えのための財政支出を行うとともに、大幅な金融緩和や金融安定化のための措置をとってきました。その後、2009年後半からの景気回復を受けて、徐々にこれらの政策も解除され、財政の健全化の動きも高まりました。こうした中、一時期は世界経済について楽観的な予測もありましたが、その後、欧州先進国を中心とした金融面の脆弱性とソブリン・リスクに対する懸念が世界経済の下方リスクを高め、その見通しは不透明となっております。各国とも財政健全化の継続と当面の景気下支えの要請の狭間で、どちらに軸足を置くか、厳しい選択を迫られています。こうした状況下、金融緩和措置の継続が必要です。

しかしながら、このことが世界経済に新たなリスクをもたらしていることも見逃せません。先進国から新興市場国に大規模に資金が移動し、これらの国々では為替の増価や資産価格の高騰が起こっています。また、これらの新興市場国はインフレ再燃を恐れて金融緩和をとりえない状況になっています。

これが、今世界経済が直面している政策課題です。特定の国々が他国のコストの下、成長を図っていくことは決して持続可能なものではありません。今こそ、各国が協働して解決に取り組んでいく必要があります。

2.IMFへの期待

今般の世界金融危機及びその後のソブリン危機は、全世界に影響をもたらし、その対応に大きなresourceを要しました。こうした危機への対処に当たって、世界的機関でありresourceの豊富なIMFが中心的役割を担うことになったのは自然です。前例のない大規模な融資を実施するなど、IMFは今般の危機に柔軟に対応しましたが、国際経済に一層の貢献を行っていくためには、更なる取組が必要です。

一点目はIMFの正当性向上に向けたクォータ・ガバナンス改革です。現在交渉中のクォータ改革において、加盟国の世界経済における相対的地位が適切に反映され、G20サミットでの合意にある「ダイナミックなEMDCへ」及び「過大代表から過小代表へ」の5%のシェア移転が実現されることが必要です。また、クォータ見直しに際しては、IMFが実施する低所得国支援や技術支援等への資金貢献に対する各国のインセンティブを弱めることのないような配慮が必要です。

次に、重要事項の決定に当たっては加盟国の大臣の関与を高めることが必要です。これにより、IMFが直接大臣からのガイダンスを持って、より果断に行動できるようになると考えます。さらに、IMFが加盟国全体のために活動しているという信頼を得るためにも、スタッフの出身地域の多様化が必要であり、そのための具体的な取組を求めます。

二点目はサーベイランスの強化です。危機の発生を未然に防ぐためには、各国が健全な政策運営を採用・継続することが求められます。IMFのサーベイランスはこれを支援・慫慂するツールであり、その強化を図るべきです。中でも、金融セクター向けサーベイランスの強化は喫緊の課題であり、FSAPに含まれている金融セクター安定性評価の4条協議への統合といった取組を評価します。こうした取組を着実に実施していくことが重要であり、リソース配分の見直しも柔軟に検討すべきです。

三点目は融資機能の強化です。健全な政策運営を行っている国が危機に見舞われた時に十分な資金をもって迅速に対応できる仕組みを準備しておくことが重要です。こうした観点から、IMFがFCLの改善やPCLの創設により予防的な融資制度を強化したことを評価します。加えて、システミック危機発生時に危機の拡大をより効果的に防止するために、十分な資金をより迅速に投入できる仕組みが必要です。これにより、global financial safety netが更に強化されることになります。

また、このような融資機能を支えるため、IMFの資金基盤の充実が必要です。そのため、我が国は、大規模増資を支持します。さらに、IMFと地域金融協力との連携強化を具体的に進めることも重要な課題です。

最後に、このような変化の中で、IMFに求められている役割をIMF協定上明確にすべきという点についてお話ししたいと思います。

今般の危機は特定の国の金融セクターに端を発して急スピードで波及し、多くの国が影響を受けました。これにより、国内金融システムの問題が国際金融システム全体や世界経済を不安定にし得ること、国際収支危機という伝統的な形ではなく金融機関の外貨流動性の涸渇や大規模な金融機関の破綻により国際金融システム全体が危機に晒され得ることが明らかになりました。これらは、IMFが設立された60年以上前には想定されていなかったことです。今般の危機を受けて、上述のとおり、IMFは予防的な融資制度を創設・強化し、また、金融セクター向けを含むサーベイランスの強化を行ってきました。これらの取組はまさにIMFに求められる役割が拡大してきている証です。IMFが今後こうした取組を展開していくためにはその守備範囲を明確にする必要があります。具体的には、今回のIMF改革の機会を好機と捉え、協定第1条のIMFの目的に「金融システムの安定」を追加することも一案と考えます。今後も、変化する加盟国のニーズにIMFがより効果的に対応できるよう、こうした議論を継続的に行うべきことは言うまでもありません。