第17回IMFC コミュニケ(ポイント)(平成20年4月12日)
| 第17回IMF国際通貨金融委員会(IMFC)における日本国ステートメント |
| 1. 序 |
| ストロス=カーン専務理事が、就任以降、IMF改革においてリーダーシップを発揮していることを歓迎します。IMFが存在意義を失わないためには、改革の継続が不可欠であることをはじめに強調します。 |
| 2. 世界経済の現状と見通し |
| 米国サブプライムローン問題に端を発し、欧米の金融機関を中心に多額の損失が生じたことから、金融市場の機能が低下し、米国をはじめ先進国経済の減速懸念を高めています。この結果、新興市場国が堅調な成長を維持する見込みとはいえ、世界経済全体の成長率は低下するものと見込まれています。 |
| このような昨夏以降の金融市場の混乱に対し、各国当局は、緊密に連携して対応してきました。特に先進国の中央銀行による流動性供給や、金融市場の安定を維持する措置は、金融市場の機能回復を通じて世界経済の安定に大きく寄与するものと、高く評価しています。しかし、更なる金融市場の調整等のリスクが解消したわけではなく、引き続き市場のセンチメントを更に改善させるような措置を採る必要があり、当面は、例えば、 |
| また、金融安定化フォーラム(FSF)においては、今回の混乱をもたらした金融市場の構造的な問題への対応策も議論しており、市場機能の強化と混乱の再発防止に役立つものと期待しています。FSFからの最終報告では、例えば、ディスクロージャーの範囲についての民間金融機関における先進的な事例が盛り込まれていますが、金融機関がこれに基づいて一層の情報開示を行うことを期待します。 |
| 今日、金融システムの安定性を確保するためには、金融市場における取引の連鎖が断たれた場合の影響を避けることが、重要な課題となってきました。それは、市場を通じた円滑な資金の供給が、経済の不可欠なインフラとなっているからです。我が国の1990年代の経験は、そのような金融市場の新たな課題を如実に示したものでした。こうした新しい時代の危機予防と危機管理のため、各国当局や国際機関が一層緊密に協力していくことを求めます。 |
| 3. 今後のIMFのあり方 |
| サーベイランスのあり方 |
| 国際社会の急激な変化を踏まえ、IMFは、自らの中核的機能や優先分野を再定義することを求められています。国際的な資本移動が急速に拡大する中、金融環境の変化が実体経済に及ぼす影響が高まっており、これまでの伝統的なマクロ政策では、このような経路を通じたインパクトに十分対応できなくなっているという現実があります。例えば、金融市場ではオーバーシュートが生じやすく、それによる悪影響への適切な政策対応はどのようなものであるべきか、確立した答えはありません。 |
| こうした中、IMFは、国際資本移動や金融資本市場の動向に関する最先端の分析を強化することにより、経済分析や政策アドバイスのレベルを高めていくことが必要です。また、今回の市場混乱の遠因は緩和的なマクロ環境にあったわけですが、こうした世界経済の潜在的脆弱性を、当局とよく議論し、市場に与える影響を勘案しつつ、早い段階から透明性ある形で表明するよう努めることが重要です。 |
| また、国際金融市場における資金の流れが大きく変化している中、ソブリン・ウェルス・ファンド(SWF)の存在感が高まっています。IMFが、国際資本移動のモニターに関与してきた経験を生かし、SWFのガバナンス強化、内部統制、透明性等について、最良慣行(ベスト・プラクティス)の策定に取り組むことを我が国は支持します。こうした取り組みが、受入国側における保護主義の台頭を抑制することにより、SWF及び受入国の双方にとって利益となると考えます。 |
| IMFのガバナンス改革 |
| クォータとボイスの改革について、前回のIMFC会合においてコミットした期限通りに、理事会で合意されたことを歓迎します。同時に、困難の伴う本交渉の妥結に向けてリーダーシップを発揮されてきた専務理事に敬意を表します。我が国は、世界経済における加盟国の相対的地位をクォータ・シェアにより良く反映させることが必要であることを長年にわたって主張してきました。21世紀の変化する世界経済において、IMFがその存在意義を発揮し続けるためには、本改革を早急に成立させることが不可欠であると考えています。したがって、各国がクォータ改革に関する総務会決議案に賛成票を投ずることを強く慫慂します。 |
| IMFの正統性を高める観点からは、現在特定の地域に偏りのあるスタッフ職員の構成における多様性の確保も重要な点です。 |
| IMFの財政改革 |
| 拡大するIMFの財政赤字問題に対し、専務理事の強力なリーダーシップの下、中核的業務への絞込みにより3年間で約▲100百万ドルの歳出削減を行うとともに、投資権限の拡大や金売却益の運用等により、3年間で約300百万ドルの収入増強を図るとの提案が作成され、先般の理事会において合意に達したことは誠に喜ばしいことです。 |
| 今回合意された歳出・歳入両面の改革を実施することにより、急速な拡大が見込まれていた財政赤字の問題に一応の歯止めがかかることが期待されます。とはいえ、IMFの財政構造は依然、磐石とは言いがたい状況にあり、今後とも、IMFが他の機関に対して有する比較優位に基づき、中核的業務の範囲を不断に検証することにより、財政構造の安定化を図る必要があります。IMFの財政を持続可能なものとするため、引き続き専務理事が強力なリーダーシップを発揮されるよう期待します。 |
| 4. 結 語 |
| 今回の国際金融市場の混乱において、IMFが果たす役割に期待する声が多数あります。この期待に応えるべく、IMFは変化の著しい国際経済に対応できるよう改革を推進していくことが必要です。内部ガバナンスに関わる議論は一服したため、今後、IMFの果たすべき役割について、理事会や加盟国間でより活発な議論がなされていくことを期待します。 |
| 我が国は、IMFは改革を継続することが可能な、優秀な組織であると確信しています。今後も国際金融システムの安定に向けて、リーダーシップを発揮していくことを強く期待しています。 |
| (以上) |
