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第9回IMFC 日本国ステートメント(平成16年4月24日)

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第9回IMF国際通貨金融委員会における日本国ステートメント
(2004年4月24日(土))

 
 
1.世界経済と金融市場−回復の持続
 
世界経済
 
 世界経済が、昨年秋の会合以降、米国やアジア経済の回復を軸に、回復の力強さを増すとともに、その裾野が広がってきていることを歓迎します。国際金融システムを巡る不透明感も大きく後退しています。各国の回復は均質ではありませんが、新興市場国を中心に、旺盛な国際資本フローにも支えられ、ファンダメンタルズの強化や外的ショックに対する経済の抵抗力を高める動きが進展を見ていることを、心強く思います。
 
 ただし、先行きについて、地政学的リスクの高まりや、原油価格等の上昇、今後景気回復に伴い予想される金利上昇に伴う先進国及び新興市場国における市場ボラティリティの高まり等のリスクが存在するのも事実です。各国においては、現在の好環境に安住することなく、中期的観点からの政策運営や政策当局と市場とのコミュニケーションの促進、脆弱性克服のための構造改革等の努力を継続して実行していくことが、持続的な経済成長の実現のために重要と考えます。
 
日本経済
 
 日本政府は、長引くデフレと景気低迷を克服すべく、金融、規制、税制、歳出の諸改革に取り組んでまいりました。こうした努力の効果もあり、日本経済は、2003年の実質GDPが2.7%の成長を達成するなど、着実な回復を続けています。とりわけ企業収益の回復等を背景とした設備投資と、特にアジア諸国向けの輸出が、現在の景気回復を牽引しております。また、個人消費も持ち直しており、こうした状況の下、政府としては、2004年度についても、引き続き民間需要中心の緩やかな回復過程を展望しています。
 
 政府としては、こうした回復の動きを持続的な経済成長につなげるために、これまでの改革の成果を社会全体に浸透させるとともに、引き続き、2005年3月までの主要行の不良債権問題の終結、年金制度改革、地方財政制度の改革、高速道路事業や郵政事業の民営化の検討など、構造改革を進めていく所存です。
 
 日本経済の先行き見通しや生産性が上昇し、物価情勢も改善の兆しがみられる中、潤沢な資金供給を通じて短期金利をゼロにする日本銀行の思いきった金融緩和が、民間の投資や支出を刺激する力を増しています。日本銀行は引き続き現在の金融緩和政策を堅持し、民間経済活動を金融面から支援していく方針です。
 
 日本経済の最重要課題の一つであるデフレについては、消費者物価や企業物価が横ばいとなるなど下げ止まりの兆しが見られるものの、依然として緩やかなデフレ状況が継続しており、引き続き、政府・日本銀行一体となって、デフレ克服を目指して強力かつ総合的な取組を行う方針です。
 
2.IMFサーベイランスと危機の予防・解決
 
 先ほど申し述べましたように、対外的な脆弱性を減少させるため、各国においては政策や制度の強化に向けた努力が進展を見せていますが、経済・金融のグローバル化と国際資本移動の増大に鑑みますと、国際金融システムの安定と危機の予防のために、IMFのサーベイランスが一層重要な役割を果たすことが期待されます。IMFにおいて、債務持続可能性分析の精緻化、金融セクター評価プログラム(FSAP)を中心とした金融部門の分析の強化、プログラム国のサーベイランスにおける客観性の確保をはじめとする様々な取組が進展していることを歓迎いたします。これらの取組を含む現在のサーベイランスの枠組は導入後まだ日が浅いことから、現段階においてはこうした取組を着実に実施していくとともに、今年6月に実施予定の隔年レビューにおいて、その実効性の評価を行うことが重要です。
 
 また、健全な政策運営を行う加盟国が、国際的な資本フローの急激な変化によって資本収支危機に晒される可能性に対応するための手段として、予防的アレンジメントを用いることができるよう、今後、IMFが危機予防の観点から同アレンジメントの改善を検討することを期待いたします。
 
 危機の解決に関しては、昨年来、これまで債券に集団行動条項(CACs)を盛り込む市場慣行のなかったニューヨーク市場においても、多くの債券発行国がCACsを導入したことを歓迎するとともに、今後も他の発行国が、外債発行に際してCACsを導入することを期待します。「行動規範」(Code of Conduct)についても、今後、債務国、民間セクター等を含む幅広い関係者の参加による議論が進展することを期待します。
 
 また、危機の解決のためには、IMFに十分な資金が備わっていることも重要であります。世界経済や金融市場の変化は急激かつ予測困難であることから、いつ一般増資が必要な事態となっても迅速に対応できるよう、増資に向けた検討を継続していく必要があります。また、クォータ配分は世界経済の実勢や各加盟国経済の相対的地位を反映することが必要であり、増資の検討に当たっては、この点に十分配慮すべきであります。
 
 3.低所得国に対するIMFの支援の強化
 
 我が国は、低所得国の経済発展と貧困削減という国際社会の目標の達成に向け、IMFがその責務の範囲内で十分な貢献を果たすべきであると考えております。他方、IMFが行う資金支援は、国際収支上の困難に対処する加盟国への一時的な支援を目的とするものであり、長期で譲許性の大きい開発資金の供与は、基本的には開発金融機関などが担うべきものです。したがって、低所得国に対するIMFの支援においては、サーベイランスを通じた政策助言や、技術支援を通じた政策遂行能力構築の占める比重がより大きくなるべきであると考えます。IMFとしては、世銀その他の国際機関と視点を共有し、緊密に協議を行いながら、マクロ経済の枠組や財政金融部門における制度構築など、自らの持つ専門性を活かせる分野に作業を集中し、他の機関と有効に作業を分担することが重要です。
 
 また、低所得国が債務問題に陥らないよう、その債務の持続可能性を十分に分析し、その分析をIMF・世銀を始め各債権者による資金支援のあり方や債務国の借入戦略の適切な策定に活用していくことが重要であると考えます。このような観点から、IMFと世銀が債務持続可能性分析のための新しい枠組みの検討を進めていることを歓迎します。さらに、貧困削減成長ファシリティー(PRGF)資金の効率的利用という観点から、IMFが様々な発展段階にある低所得国を類型化し、これに応じて、資金支援を伴わないプログラムや、サーベイランスの強化などについて、更なる検討をしていくことを期待します。
 
4.資金洗浄・テロ資金対策
 
 テロの脅威は依然として深刻であり、国際社会として引続きテロ資金対策を推進していくことが重要です。このような観点から本年3月にIMFと世銀が、改正後のFATF40の勧告及び8つの特別勧告を国際基準として承認したこと、及び加盟国における資金洗浄・テロ資金対策の実施状況の評価を国際基準の遵守状況に関する報告書(ROSC)、FSAP及びオフショア金融センター(OFC)評価の恒久的な一部としたこと、そして両機関がこれら評価の全分野につき包括的に責任を負うと決定したことを歓迎します。
 
 なお、各国のテロ資金対策強化のために、これらの評価作業等に基づいて、必要な技術支援などを提供していくことも重要であり、我が国としても、今後とも被支援国のニーズを踏まえた貢献をしていきたいと考えております。