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第81回世銀・IMF合同開発委員会 日本国ステートメント(平成22年4月25日)

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第81回世銀・IMF合同開発委員会における日本国ステートメント
(2010年4月25日、於ワシントンD.C.)

 

はじめに、今回の会議から開発委員会議長を務められるアル・ハリーファ・バーレーン財務大臣を心から歓迎いたします。また、この機会に、大震災に見舞われたハイチ共和国および中華人民共和国、ならびに、地震・津波の被害を受けたチリ共和国の国民の皆様に、深い哀悼の意を表し、心からの御見舞いを申し上げたいと存じます。

I.これからの世銀に期待される役割

昨年10月の開発委員会以降、危機後の世銀のあり方について、戦略的方向性、ガバナンスおよび業務の改革、投票権(ボイス)改革、および資本基盤の各側面から集中的な議論が行われてきました。いずれも世銀グループのあり方の根幹を成すこれらの重要な諸課題について、加盟国の諸要請に応えつつ議論をサポートして来られたゼーリック総裁のリーダーシップと世銀マネージメントの努力に敬意を表するとともに、本日の開発委員会の議論を経て、世銀グループが更なる発展に向けた新たな第一歩を踏み出す基礎が確立されることを強く期待します。

以下、それぞれのイシューについて、我が国の考え方を述べます。


 (戦略的方向性)

第一に、世銀の戦略的方向性について述べます。我が国は、今後も引き続き、世銀グループが途上国の開発・成長と貧困削減を中核的な使命とし、ドナー・コミュニティを先導していくことを支持します。これに加えて、我が国がこれからの世銀に期待することは、1国際開発金融機関のリーダーとして気候変動対策など国際公共財の分野の支援を強化すること、2グローバルな知識と経験の集積を活かし、新しく創造性のある政策上の支援や他の機関では対応の難しい困難な支援を行うこと、および、3世銀の大きな資金基盤をもとに、グローバルな経済金融環境の変化や自然災害等に伴う大きなリスクに対応すること、の3点であります。

本日の会議で議論される「危機後の戦略的方向性」ペーパーは、このような我が国の期待に応える要素を適切にカバーしており、歓迎します。

特に気候変動対策については、今後必要とされる膨大な資金需要に対応するため、引き続き世銀があらゆる知見を活用し、民間資金を動員する触媒機能の強化、革新的な資金メカニズムの構築等に力を注いでいただきたいと思います。我が国では、昨年12月のCOP15における鳩山総理の途上国に対する資金協力のコミットメントを実現するため、先月末に国会で成立した法改正により、JBICが地球環境保全のための業務を幅広く行えるように致しました。JBICのこのような新しい機能をフル活用することで、我が国は世銀グループとの協調を一層強化し、我が国が蓄積してきたエネルギー技術等も活かしつつ、途上国の気候変動対策に一層貢献していきたいと考えます。

(ガバナンスおよび業務の改革)

第2に、世銀の改革について述べます。ゼーリック総裁のリーダーシップの下、資本基盤の見直しと併せて、世銀がガバナンスの強化や業務の効率化のため、様々な改革に集中的に取り組んでいることを評価します。その結果、開発効果測定の改善や成果の評価枠組みの構築、情報公開政策の強化など、具体の取組みに進捗があり、世銀の株主に対する説明責任や業務に関する透明性が向上していることを歓迎します。

諸改革の一つとして、世銀機能の現地化を一層推進することも検討されていますが、業務の地域細分化が進むことで、かえってグローバルな機関としての世銀のメリット、例えばグローバルな開発の知見(ノレッジ)の集積と、その効果的な活用による支援のクォリティの向上、といった点が損われてはなりません。また、現地化がコスト増を招かないよう、注意が必要であります。

(投票権(ボイス)改革)

第3に、投票権(ボイス)改革について述べます。我が国は、今回のボイス改革において、途上国への投票権シェア移転を実現し世銀グループの運営に途上国の意見を一層反映させるため、自国のシェアを最も大きく削減する国になります。我が国は、1952年の世銀加盟以来参加してきた投票権の調整において、初めて自国のシェアを低下させることになります。これまで長年にわたる日本から世銀への貢献とそれに基づく相互の信頼が、シェアの低下で損われないようにすることは、日本と世銀にとって大きなチャレンジです。今後、日本と世銀の双方で相当の努力が必要であり、その努力には、資金貢献および発言権と、人的貢献の間に見られるアンバランスの是正が含まれるべきと考えます。我が国は、途上国の開発に知見と熱意を有する人材を有しており、人材による世銀への協力も確実にレベルアップさせていきたいと考えます。

(一般増資)

第4に、世銀の一般増資について述べます。我が国は、途上国の開発・成長と貧困削減を進めるために世銀グループが中核的役割を果たすべきと考え、その重要な役割を果たすために世銀が十分な資金基盤を有することを支持し、本日、国際復興開発銀行(IBRD)の一般増資について合意することを支持する用意があります。

II.当面の諸課題等

次に、世銀グループが当面取り組む課題、および、我が国との協調について述べたいと思います。

(国際開発協会の第16次増資(IDA16))

まず第1に、本年はIDA16交渉の年であります。世界の低所得国や貧困層には、いまなお、グローバル危機の影響が深刻に残っており、2010年には(危機が無かったと仮定した場合と比較して)64百万人もの人々が(1日1.25ドル以下の)貧困ライン以下に陥るとの試算もあります。世銀グループには、これらの人々が危機からの回復を果たし、成長と貧困解消の径路に早急に戻れるよう、集中的に支援を展開していくことが期待されます。そのためにも、IDA16が成功裡に合意され、2011年から3年間の低所得国支援を十分なものとすることが重要と考えます。

そのためには、ボイス改革において将来のIDA貢献を約束したことで投票権シェアの低下を免れた国は、こうした期待に十分に応える形で負担をしていくことが必要と考えます。また、IDA卒業国が、可能な限り借りていたIDA資金を早期に返済し、後に続く国々を支援することができれば、極めて建設的な、IDAらしい貢献であると考えます。

なお、グローバル・モニタリング・レポート2010では、途上国における今回の危機の影響に関し、社会保障等にかかる政策・制度の改善により、これまでの危機のケースと比べて影響が比較的緩和されている国も多いことが指摘されています。このような分析を踏まえると、今後の低所得国の開発と貧困削減の進め方においては、将来再び外生的なショックが起こることに備え、国のマクロ経済運営や社会保障政策等を強化しておくことが重要であり、IDAが資金支援とともにこのような政策アドバイスを強化していくことを慫慂したいと思います。

(クリティカル・エコシステム・パートナーシップ・ファンド(CEPF))

次に、生物多様性の保全について触れたいと思います。持続可能な開発を進めていくためには、生物多様性の保全を図ることも重要であります。我が国は、本年10月、名古屋において生物多様性条約の第10回締約国会議(COP10)をホストします。この重要な会議に多くの国々が参加されることを期待します。

我が国は、この重要な分野への貢献として、途上国の市民団体を通じて生物多様性の保全に取り組んできたCEPF(クリティカル・エコシステム・パートナーシップ・ファンド)に対し、世界銀行を経由して25百万ドルの貢献を行う用意があります。

(災害対策・防災)

第3に自然災害への対策について述べます。ハイチ、チリ、そして中国の震災は、我々に災害対策や防災への取組みの重要性を改めて認識させました。多数の自然災害に見舞われ、災害対策や防災の知識経験を蓄積してきた我が国は、この分野における途上国の支援を今後も積極的に行っていきたいと考えます。現在も、世銀と共同で太平洋の島嶼国に対する自然災害保険メカニズムの創設を検討しているところであり、早期の実現を目指し引き続き世銀と密接に連携していきます。

III. 結語

本日の開発委員会の議論を経て、世銀グループは、危機後の世界における開発支援の戦略を明確に定め、世界経済における途上国、とりわけ新興国の役割の変化などを織り込んだガバナンス改革を実行し、必要な改革とともに資本基盤を強化し、もって、“新しい世界”の様々な課題に取り組んでいく準備が整うことになります。食料価格は、ピーク時よりは下落しつつあるものの、依然として高止まりを続けており、引き続き途上国の貧困層に多大な影響を与えることが予想されます。

我が国は、改革により強化された世銀が、途上国の開発と成長、貧困削減、および地球規模課題への対処において、ドナー諸国や国際機関との協調の下、さらなるリーダーシップを発揮することを期待します。また、ボイス改革後の新たなガバナンスの枠組みにおいても、我が国と世銀との緊密な協力を引き続き維持したく、努力を積み重ねてまいりたいと思います。

ご清聴ありがとうございました。

(以上)


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