まず、はじめて開発委員会を迎えられましたゼーリック総裁に対しまして、心から歓迎の意を表します。総裁が強いリーダーシップを発揮され、世銀が、途上国の開発に一層貢献する機関となることを期待します。 |
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| 近年、経済のグローバル化を背景に、多くの途上国では力強い経済成長が見られ、世界の貧困人口の割合の減少に貢献しています。中所得国の中には世界の資本市場から安定的に資金調達ができる国も出てきています。援助資金が増加傾向にあることも心強いことです。我々が目指す貧困の根絶に向けてはまだまだ道半ばですが、このような頼もしい追い風が吹いております。 |
このような重要な転機の中で、世銀が、総裁の強いリーダーシップの下、今後の業務運営の方向性を検討することは時宜にかなっており、歓迎致します。世銀は、経済成長を通じた貧困の削減を実現するため、民間セクターの育成を支援し、持続可能な途上国経済の成長のモメンタムを維持することに貢献することが重要と考えます。 |
低所得国への支援については、引き続き、ミレニアム開発目標に向けて、効果的な貧困削減への取組みを継続する必要がありますが、その際成長や民間部門の発展を通じた貧困削減の視点が重要と考えます。最大の貧困人口を抱える南アジア地域で、経済成長が貧困削減につながっていることは喜ばしいことであり、世銀は、こうした取組みを積極的に後押しすべきと考えます。 |
ミレニアム開発目標の達成に遅れが見られるアフリカに関しては、来年、わが国は、第4回アフリカ開発会議(TICADIV)を世銀とともに開催します。成長の加速化、人間の安全保障の確立、環境・気候変動問題への対処を重点事項として、国際社会での取組みを進めていきたいと考えています。 |
困難な課題を多く抱える脆弱国については、ガバナンスの向上に向けた取組みを地道に継続していく必要があります。世銀には、人道支援から復興開発支援への円滑な移行、国連との連携の強化などの長年の課題について、現場での創意工夫を強化することを期待します。 |
中所得国については、グローバル化の恩恵を最大限に享受し、急速な経済成長を背景に世界の資本市場から開発のための資金を自力で調達できるようになった国も現れています。同時に、これらの国においても依然として多くの貧困人口を抱えており、エネルギー・環境問題への対応といった新たな課題も生じています。世銀は、中所得国がこうした課題へ自ら対応することを、政策・制度構築を中心に支援すべきであり、適切な政策アドバイスを提供すべく知識サービスへの取組を強化すべきです。また、貸付サービスは、貧困地域での貧困削減効果の特に大きいプロジェクトや環境問題を始めとした国際公共財への対応に集中していくべきです。さらに、保険や保証も活用した革新的な金融サービスを強化すべきです。 |
国際公共財については、気候変動問題、保健衛生、貿易、国際金融と様々な分野がありますが、世銀に比較優位のある分野を特定した上で、関与を強化すべきです。被支援国の開発計画において国際公共財への対応は必ずしも優先事項とされていないのが現状ですが、世銀は、国別支援計画の中で、国際公共財への対応が強化されるよう、被支援国との対話を強化することが期待されます。 |
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世界的に援助資金が増加傾向にあり、援助主体も増加していることを歓迎します。同時に、限られた援助資金を最大限有効に活用し、納税者の開発援助に対する信認を維持するためにも、援助効果の向上に取組むべきです。 |
まず、被支援国において、自主性を持って国家の開発計画を策定し、その計画に基づき国家運営が行なわれることが重要です。こうした観点から、62カ国が貧困削減戦略を策定していることを歓迎します。同時に、貧困削減戦略の策定のみならず、これと関連付けられた形で国内予算が策定されることが必要です。この面での進展にはばらつきがあり、一層の改善を期待します。 |
| 第二に、国際機関に対する債務の免除を含む債務救済の開発効果の検証を継続的に行なう必要があります。債務救済は、それにより生じた財政余力を他の用途に活用できるという点で財政支援と同様であり、その開発効果を過小評価すべきでないと考えます。 |
| 第三に、新興ドナーの活発な活動や各種の基金等によるセクター毎の縦割の支援の増加は、援助資金の増加という点で歓迎すべきことですが、同時に、途上国にとって援助受入コストの増加をもたらしており、それへの対応を強化すべきです。世銀、特に国際開発協会(IDA)は、様々な援助主体の共通の援助プラットフォームとしてドナー協調で主導的役割を果たすべきです。 |
| 全てのドナーの開発援助活動が、被支援国が策定する貧困削減戦略に沿ったものとなる必要があります。全てのドナーが被支援国の債務持続可能性を考慮した貸付を行うことが確保される必要があります。また、全てのドナーの援助の透明性は、援助協調の前提となるものです。これらはいずれも困難な課題です。しかし、IDAが成功するためには、つまり、国際社会がミレニアム開発目標の達成に近づくためには、このようなドナーによる一致した取組が不可欠であります。世銀はこの分野での働きかけを強化し、具体的な成果を出すよう強く望みます。 |
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| グローバル化の進展により、国際公共財への取組みの重要性が増しています。その中でも気候変動問題は、人類共通の喫緊の課題として、国際社会の共同の取組みが必要です。途上国の目覚ましい経済発展を背景に、これらの国からの温室効果ガス排出量が増加していく中、各国の産業構造に応じて、産業分野から、民生部門、森林分野に至るまでの広範なセクターにおける対応が必要です。また、気候変動から生じる悪影響による被害を極力受けないよう、適応対策を強化する必要もあります。 |
世銀は、これまでの開発活動で蓄積した広範なセクターの専門的知見を活かし、政策・制度構築支援で主導的な役割を果たすべきと考えます。政策・制度構築支援は、波及効果の大きいものですが、被支援国の強いオーナーシップがある場合に最も効果的です。温室効果ガス削減に向けた強い意見を表明している国に対して、開発による便益と気候変動問題への対応という国際的便益を両立させるための道筋を示し、そのための政策実行を支援すべきです。 |
気候変動対策には膨大な資金が必要であり、民間資金の動員が不可欠です。こうした観点から、世銀は、国際復興開発銀行(IBRD)ローンに地球環境ファシリティ(GEF)などのグラントや排出権取引をブレンドして、エネルギー効率化に資するプロジェクトや再生可能エネルギープロジェクトを推進するという従来からの手法に加え、カリブ海災害保険ファシリティのような、保険や保証を活用した革新的な民間資金動員策を真剣に検討すべきと考えます。 |
また、民間資金動員策においては、国際金融公社(IFC)も大きな役割を果たすべきです。IFCの保証や技術協力を活用して実施されている、民間金融機関の省エネ案件融資の促進する施策は、大幅に拡充すべきです。再生可能エネルギーへの民間部門の投資を促進するための取組も強化すべきです。世銀グループ全体でシナジーが発揮できるような形で、IFCの気候変動対応戦略の議論が行なわれることを期待します。 |
世銀は、その強みである現場での開発活動に基づいた開発手法の向上という面で貢献できる余地があります。森林保全に関し途上国にインセンティブを与えるための具体的な手法の開発はその典型的な例であり、こうした試みを強化すべきです。 |
| 世銀はこの分野における経験を基に新たなアプローチを開発することに貢献できます。森林減少を防ぐためのインセンティブを途上国に与えるメカニズムの創出に必要な方法を探る森林炭素パートナーシップ基金(FCPF)はこの良い例です。わが国は、10百万ドルを上限として、森林炭素パートナーシップ基金(FCPF)に資金貢献する用意があります。 |
最後に、我が国が、来年、北海道洞爺湖で主催するG8サミットでは気候変動問題が主要議題となります。その際、世銀のエネルギー投資枠組の報告が行われることになっていますが、幅広い政策提言がオープンな形で報告されること、資金手段に関して革新的な提案と同時に既存の資金手段の更なる活用策についての提言もあることを期待します。 |
| (以上) |