まず、初めての開発委員会を迎えられましたカラスキージャ議長、小寺事務局長に対しまして、心から歓迎の意を表します。お二人の開発問題に対する深い知見を得て、開発委員会がこれまで以上に重要かつ有益なフォーラムとなっていくことを確信しております。 |
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| グレンイーグルズ・サミット、昨年秋の開発委員会の要請を受け、クリーン・エネルギーと開発に関するペーパーが作成されたことを歓迎いたします。世銀が今後とも、地域開発金融機関(RDBs)、国際エネルギー機関(IEA)、アジア太平洋パートナーシップと十分に連携しつつ検討を進めていくことを期待します。また、気候変動の問題は国境を越えて影響を及ぼす課題であり、先進国、途上国の双方が一国の利害を超えて、現実的な議論を行っていくことが重要です。 |
我が国は1970 年代に石油ショックに対応するためにエネルギー利用の効率化を迫られ、これが日本においてこの分野での技術開発を進めるという結果を生みました。今日では、CO2排出量で見た場合の我が国のエネルギー効率は非常に高く、例えばGDP原単位当りのCO2排出量は0.25kgであり、これはOECD諸国平均の約半分であるとともに、世界で最低の水準となっています。また、我が国は、1997年に自らがホスト国となった京都議定書の削減目標の達成に向けて、これまで以上にエネルギー利用の効率化に努めています。 |
今後世銀が「エネルギー投資枠組み」の内容を具体化していくに当たり、我が国は以下の三点を重視していくことを世銀に期待します。 |
第一に、途上国のエネルギー・アクセス向上のための民間資金の活用です。16億人近くの人々が依然として電気へのアクセスを有していないことは、MDGs達成の大きな障害です。民間資金の動員のため、世銀が民間部門による投融資のボトルネック解消策の検討、研究開発の促進、民間資金の触媒となるような活動等を積極的に行っていくことを求めます。この分野では、各国の輸出信用機関(ECAs)も重要な役割を果たしうると考えます。 |
第二に、世銀が途上国との間で、気候変動に関する政策対話を強化していくことです。貧困削減戦略(PRS)や国別開発戦略(CAS)についての政策対話を通して、各国の開発戦略における主要課題としてエネルギー利用の効率化、クリーン・エネルギーの活用を組み込んでいくことが必要です。その過程で、途上国によるエネルギー価格・規制政策の改革、クリーン開発メカニズム(CDM)の活用を世銀が後押ししていくことが求められます。 |
第三に、新たな資金ツールの検討に先立って、まず既存の支援手法を入念にレビューすることです。既存の支援手法と我々の目的の達成に必要な新しいツールとの間の、役割や機能面でのギャップがまず明らかにされる必要があります。 こうした観点からは、次の増資期間の開始まで約70日しか残されていない地球環境ファシリティ(GEF)の増資交渉を成功裡に合意に導くことが極めて重要です。GEFは気候変動への対策に焦点を当てており、開発と気候変動という2つの目的を達成するために、GEF本体が既存の機関に支援実施を委ねるというメカニズムを有しています。こうした特徴を持つGEFの増資にすら合意できないままに、新たな資金ツールに関する議論が世銀で開始されることには違和感を覚えます。 |
また、今回の報告において、気候変動の「適応」の問題が明示的に取り上げられたことを歓迎します。気候変動の悪影響は、洪水や干ばつへの対応から農作物の転換まで、極めて広い範囲の「適応」を途上国に強いることとなります。例えば、農業は近年、世銀の活動分野として大きな注目を集めてきませんでしたが、貧しい国の気候変動への「適応」のため、再びこの分野を重視する必要があると考えます。我が国は、水、農業、防災といった分野で主要ドナーとなっており、「適応」への取組の強化に当って世銀と協力していきたいと考えます。 |
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貧困削減の実現には経済成長が重要であるとの問題意識のもと、投資環境とインフラにグローバル・モニタリング・レポート(GMR)で焦点が当てられていることは適切であると考えます。我が国は5月末に東京において「開発経済に関する世銀年次会合(ABCDE)」を開催し、「開発のための新たなインフラを考える(Rethinking the infrastructure for Development)」というテーマを掲げ、インフラに新たな光を当てたいと考えています。 |
本年度のGMRでは、途上国における貧困人口の削減が全体としては順調に進んでおり、その大半がアジア地域の経済成長によるものであるとされています。他方で、保健や医療といった人的開発に関する指標については、アジアでも多くの指標についてMDGsの達成からオフトラックになっており、MDGs全体の達成に向けた観点からは、アジアも多くの課題を抱えていることを再度想起することが必要です。 |
また、保健・教育分野においては、経常的費用に対する援助を拡大し、これを予測可能な援助とする必要性が強調されています。しかし、長期的には途上国が自ら経常的費用を賄うことが望ましく、その可能性についてドナーと十分に協議しつつ、経常的費用に対する支援を受け入れるという姿勢が必要ではないでしょうか。 |
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本年のGMRでは、先進国、途上国が相互にアカウンタブルである必要性が強調されています。 |
先進国の側からは、マルチ債務救済イニシアティブ(MDRI)が先進国による十分な資金面での支援により、IMFで本年1月に実施され、国際開発協会(IDA)においても先月実施の合意に至ったことが大きな前進です。MDRIは、今後40年余りに亘って継続する、長期かつ大規模なイニシアティブであり、先進国は資金面での貢献を着実に実施することに加え、MDRIの対象国が公共財政管理の体制を強化することを支援し、MDRIにより生じる国内資金が貧困対策に適切に配分されることを確保していかねばなりません。 |
債務救済を行うとともに債務水準の急激な上昇を避けるため、フリーライダー問題や債務持続可能性分析の見直しの議論が、IMF、世銀で開始されたことを歓迎します。今後の議論を通じて、HIPCsの債務状況をコントロールする枠組みが、従来のOECD DACやパリ・クラブ参加国だけでなく、全ての債権国の参加の下で策定されることが必要です。 |
なお、最近、エイズ、鳥インフルエンザを始め多数のglobal vertical fundが設立されています。これらの基金は、急速に変化する開発上のニーズに柔軟に対応し、民間も含めた幅広い層から資金を動員する点で大きな貢献を果たしています。今後、これらの基金のメリットを更に活かすためにも、globalな基金を通じた支援を、全体的な開発戦略や国別支援プログラムと調和させていくことが重要であると考えます。 |
昨年秋以降、日本の二国間援助と世銀による援助との協調は更に進展しました。東アジア、南アジア、中央アジア、アフリカの各地域に関する政策対話を世銀と実施するとともに、バングラデシュにおいては日本、世銀、ADB、DfIDの4主体による共同CASを策定しています。また、ベトナム、インドネシア等、幾つかの国々における世銀の開発政策融資(DPL)との協調融資の計画・実施、更には、我が国の援助機関がアフリカで実施したプロジェクトの世銀によるスケールアップの検討がなされており、戦略、個別案件の双方で協調関係を強化しつつあります。 |
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次に途上国側のアカウンタビリティとして、GMRが特にガバナンスに焦点を当てていることを歓迎いたします。世銀等のマルチ機関が途上国のガバナンス改善に取り組むことは、ガバナンスの改善が二国間支援のプラットフォームとなる観点からも重要です。ガバナンスのモニタリングのあり方については、各種の指標を一つに統合するよりも、行動の指針となりうる指標(actionable indicators)を一つずつモニターしていく方が有益であるという考え方を支持します。 |
| ガバナンスの問題に直面した際、問題のあったプロジェクトを停止すること自体が、貧困削減の面で何の解決にもならないことは、ウォルフォウィッツ総裁が先般インドネシアにおける演説で述べた通りです。総裁がインドネシアで示した、国レベルの取り組み、個別のプロジェクトにおける取り組み、民間部門や他の国際機関との連携、の3つのアプローチから、有効なガバナンス改善策は何かを考えていく必要があります。 |
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最後に、貿易問題ですが、世界経済の成長を確実かつ持続的なものにしていくためにも、多角的貿易体制の維持・強化を目指すドーハ・ラウンドは重要です。現在、具体的な関税引き下げ方式等の各国共通ルール(モダリティ)について合意することを目指して精力的な議論が行われており、我が国としても、引き続き積極的に取り組んでいきたいと考えています。 |
また、昨年末の香港閣僚会議においては、途上国が自由貿易体制から十分に恩恵を得られるよう、我が国も貿易のための援助(aid for trade)に関するひとつの提言として、包括的な「開発イニシアティブ」を発表いたしました。このイニシアティブを通じて、LDC諸国に対して原則として無税無枠の市場アクセスを供与するとともに、ODA等により貿易・生産・流通インフラ関連分野での支援を行い途上国のサプライサイドの能力を向上させるため、今後3年間に合計100億ドルの資金供与を行うといった目標を設定しています。 |
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