はじめに、世界銀行総裁として初めての開発委員会を迎えられましたウォルフォウィッツ総裁に対しまして、心から歓迎の意を表したいと思います。国際社会において、MDGsの合意から5年を経て開発問題の重要性に対する認識がこれまで以上に高まりつつある中、世界銀行の果たすべき役割も益々重要となっています。ウォルフォウィッツ総裁のリーダーシップの下、世界銀行が今後とも途上国の経済発展にとって、より効果的(effective)、効率的(efficient)、意味のある(relevant)存在であり続けるよう期待いたします。 |
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| また、世界銀行が貧困削減への取り組みを強化するために、国際開発協会(IDA)の第14次増資が早期に発効するよう各国が更なる努力を行うべきであると考えます。 |
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| 最初に、アフリカ支援について申し上げます。ミレニアム開発目標(MDGs)の殆どの項目について、その達成が危ぶまれているアフリカにおいて、先進国、途上国の双方の更なる努力が求められていることは言を待ちません。このような認識のもと、我が国も今後3年間でアフリカ向けのODAを倍増することを表明しています。また、世界全体向けのODA事業量についても今後5年間で100億ドルを積み増すこととしています。 |
アフリカ向けの援助が大幅に増額されることが見込まれる中、ドナー、途上国の双方に現在最も強く求められていることは、効果的な支援・政策を実施しMDGsの達成に向けて着実な成果を出していくことであると考えます。効果的な支援のためには、追加的な資金が途上国の援助吸収能力の向上のペースに合わせて供給されるべきですが、援助吸収能力を高めるためのキャパシティ・ビルディングの成果が現れ、その成果が根付くためには、一定程度の期間が必要であることを認識することが重要です。 |
60年代にはアフリカと同程度の所得水準にあったアジアとアフリカのその後の発展の差異は、アジアを成功に導いた政治的安定、効率的な官僚組織、輸出主導型の成長を実現するための政策とそのための制度的枠組み、等がアフリカには備わっていなかったことにより生じたと考えます。さらに、アフリカにおける過去の支援が、経済成長につながるような生産基盤の強化、産業構造の多様化・高度化につながってこなかったことにも留意することが必要です。 |
この観点から、世界銀行が今般の開発委員会に際して、キャパシティ・ビルディングと成長を重視したアフリカ・アクション・プランを策定したことを歓迎いたします。我が国も、アフリカ諸国が持続的な経済成長を通じた貧困削減を実現していくためには、いわば「魚を分け与えられるよりも釣り竿を持つことの方が重要である」との考えのもとに、民間部門の成長を通じた富の創造につながるような支援を行う必要があると考えています。このような考え方に基づき、我が国は以下のような支援を進めていくこととしています。 |
第一に、アフリカ開発銀行グループと協力しつつ、アフリカにおける民間セクターの成長を促進するための5年間で10億ドル超に及ぶ包括的なイニシアティブであるEnhanced Private-Sector Assistance for Africa (EPSA for Africa)を実施します。今後、EPSAによる支援を速やかに実施していくためには、各国の皆様の理解、支持が不可欠です。関係国の皆様が本イニシアティブの趣旨に賛同し、本イニシアティブに参加をしてくださることを期待します。 |
第二に、我が国は、アフリカの民間セクター開発促進のために国際金融公社(IFC)に設置されたアフリカ民間企業パートナーシップ(PEP-Africa)に対して当面2百万ドルの貢献を行います。 |
第三に、我が国は、アフリカにおける民間投資を促進するため、多数国間投資保証機関(MIGA)において小規模投資家の環境・社会問題への対応能力強化支援を目的としたファシリティを立ち上げるべく支援を行い、当面1百万ドルの貢献を行います。 |
| 第四に、我が国は農業分野における主要なドナーとして、アフリカの「緑の革命」の実現と農村の生計向上への支援をネリカ稲の開発・普及や人材育成、インフラ整備等を通じて強化します。人口の約7割が農村で生活するアフリカにおいて、農業の発展と農村生活の向上は、社会・経済の安定に不可欠です。アフリカ諸国が2003年の「農業と食糧安全保障に関するAU宣言」に従って農業分野への取り組みを強化し、ドナー諸国がこのような努力への支援を強化することを希望します。 |
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次に、債務救済について申し上げます。我が国もG8の一員として参加したHIPCsイニシアティブの完了時点(Completion Point)に到達した国々に対する、IMF、IDA、アフリカ開発基金(AfDF)の100%債務救済の提案が、今般の開発委員会において議論されることを喜ばしく思います。債務を削減し、MDGs達成に向けた資金を増加させるこの提案を、他の加盟国が支持するよう求めます。 |
このG8による債務救済の提案やIDAにおける信号機システムの導入など、低所得国における債務問題については、近年様々な進展が見られており、我が国としても、HIPCイニシアティブの下、公的二国間債権者として最大の資金貢献をしてきました。HIPCイニシアティブについては、今後は非パリクラブ債権者や民間債権者の参加確保に努めていく必要があると考えます。 |
他方、金融機関である世界銀行は、低所得国の持続的な成長を達成するために中長期的にクレジット・カルチャーを育成することの重要性、債務救済が徒に拡大してモラル・ハザードが生じることを防ぐ必要性についても十分留意していく必要があると考えます。また、今後40年余りに亘って実施される債務救済が真に効果的なものとなるためには、債務救済の対象国における適切な制度・政策環境の構築、投資環境の整備の推進、といった途上国側の努力も必要不可欠です。また、債務救済が経済成長や貧困削減に向けた低所得国の努力を更に加速し、全ての資源がこうした目的のために用いられることを確保するため、全ての分野における透明性の改善と腐敗への取組に関する世界銀行とIMFによる報告を期待します。さらに、債務救済を受けた国々において急速に債務が増加することのないよう、特に非譲許的な借入の増加に対して、適切なモニタリングがなされることが重要です。 |
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| 次に、貿易問題ですが、多角的貿易体制の維持・強化につながるドーハラウンドの成功裡の妥結は重要です。我が国としても、本年末に開催される香港閣僚会議(WTO Hong Kong Ministerial Conference)を念頭に置きつつ、新ラウンドに積極的に取り組んでいきたいと考えています。 |
| また、バランスのとれた市場アクセスやルールといったドーハラウンドの合意として期待される成果を途上国が十分に活用するためには、途上国における供給サイドの制約解消が必要であるとともに、自由化に起因する一部途上国の調整コストへの対応が、ドーハラウンドでの野心的な成果を達成する上で重要である、との事務局ペーパーの認識を共有いたします。 |
| 貿易関連の援助について、世界銀行は、まず貧困削減戦略プロセスにおいて貿易が重要な論点として認識され、途上国がオーナーシップを持って貿易円滑化のための措置をはじめとする、貿易関連の課題に取り組むよう助言を行っていくことが必要と考えます。また、各地域局と貿易局との協力を強化していくことが必要であると考えます。 |
| 事務局提案である統合フレームワーク(Integrated Framework (IF))の強化、地域的な貿易関連支援の強化については、想定している支援の内容、必要な支援額、IFの強化や新たな基金を創設することに伴うガバナンス等のコストを、まず十分慎重に検討すべきです。さらに、貿易関連の国際機関等における既存のメカニズムとの重複を避けることも必要です。自由化に起因する一部途上国の調整コストへの対応については、世界銀行等が既存メカニズムの中でどのように取り組んでいくべきかをまず議論すべきであります。 |
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| 我が国は、地球環境問題に積極的に取り組んできていますが、特に気候変動・エネルギー利用は開発の観点からも非常に重要な課題になっていると認識しています。また、成長著しいアジアにおいては、今後エネルギー需要の増大が予想され、経済成長を持続可能なものとする観点からもエネルギー利用の効率化、再生可能エネルギーへの取り組みが重要となっています。我が国は、世界銀行等の国際開発金融機関がこの分野での取り組みを強化することを支持します。また、この分野での既存の取り組みである地球環境ファシリティ(GEF)の活動を更に強化していくことも必要であり、そのためにはGEFの第4回増資を早期に合意することが不可欠であると考えます。 |