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| 初めに、これまで卓越したリーダーとして世銀グループを率いてこられ、5月末を以って退任されるウォルフェンソン総裁に対し、心から感謝申し上げたいと存じます。過去10年間に亘って、世銀が貧困削減戦略を強化してきた結果、各パートナーが協調できるような開発戦略が途上国のオーナーシップの下で策定・共有されるようになってきており、今や焦点は戦略の実施に移りつつあります。 |
| さらに、3月31日には、ウォルフォウィッツ氏が世銀の新総裁として理事会により全会一致で選定されたことを歓迎いたします。新総裁のリーダーシップの下、世銀グループが引き続き適切かつ効率的・効果的な支援を実施していけるよう、我が国としても積極的に貢献していきたいと考えます。 |
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| また、国際開発協会(IDA)第14次増資交渉の妥結は、MDGsの達成に向けて最近取られた最も具体的かつ重要な行動の一つと考えます。今後は、IDA14増資の早期発効が必要であります。この観点から、今回の開発委員会に先立ち我が国のIDA14に対する出資について国会からの承認が得られ、速やかに応募証書の寄託を行える旨を報告できることを喜ばしく思います。 |
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今般の開発委員会に報告されたグローバル・モニタリング・レポートでは、MDGsの達成に向けた論点として、 途上国主導の開発戦略、 民間主導の経済成長のための環境改善、 人的開発のためのサービス提供の拡大、 貿易、 ODAの水準・効果の拡大、といったバランスのとれた論点が取り上げられていることを評価します。 |
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| 各途上国は、自然環境・行政能力など、それぞれ異なった環境に置かれています。従って、各国がオーナーシップを持ち策定した貧困削減戦略文書(PRSP)においてMDGsについて現実的な目標を設定し、今後はPRSPに記載された政策を実行に移していくことが重要となります。また、PRSP策定にあたっては、マクロ・バランスや公的債務の状況を踏まえ、中期的な財政枠組みとの整合性を真剣に検討する必要があります。 |
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貧困削減の鍵となるのは持続的な経済成長であり、持続的な経済成長のためには、投資環境の改善とインフラ整備の強化が極めて重要です。先月、世銀・アジア開発銀行・国際協力銀行による東アジアのインフラ整備についての共同調査の成果が発表され、 公的資金のみによるインフラ整備には限界があり、民間資金を呼び込むためには投資環境整備等において政府が大きな役割を果たすべきであること、 accountability向上のためには市民社会の参加や競争原理の導入が重要であること、等が指摘されています。このような考え方に則って、今後のインフラ支援の在り方が検討されていくことを希望します。 |
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| 保健・教育分野においては、特にMDGsの達成が危ぶまれていることから、人的開発の分野を中心に経常的費用についても援助を拡大すべきではないかとの議論がなされています。ただし、この点については、被援助国政府の歳入増大に対するインセンティブを阻害しないか、将来、途上国自身が経常費用を賄えるような財政構造を実現するような長期的な計画を有しているかどうかといった観点から、慎重に検討する必要があります。 |
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| ドーハ・ラウンドにおける多角的貿易自由化交渉の推進は国際経済の発展に不可欠であり、全ての国に利益をもたらすと考えます。我が国としては、本年12月に行われる香港でのWTO第6回閣僚会議に向けて、我が国を含む全ての加盟国・地域が受け入れられるような合意を目指していく所存です。 |
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| 援助の効果を上げ、途上国の負担を軽減するために、援助協調の重要性が指摘されています。先般開催された「パリ援助効果向上ハイレベルフォーラム」において、アジア各国等の成功例が紹介され、我が国からも援助効果の向上に向けた、独自の行動計画を公表いたしました。今後は、各国の成功例を他地域が共有していくとともに、「パリ宣言」の実施に当たって、現地レベルで関係者と密接な関係をもつ世銀グループが中心的な役割を果たしていくべきであると考えます。 |
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| サブ・サハラ・アフリカでは、半数程度の人々が1日1ドル以下での生活を余儀なくされており、1990年から2001年の間には貧困人口の割合が増加しています。 |
| サブ・サハラ・アフリカにおいて貧困削減を実現していくためには、アジアにおいて見られたような民間セクターの発展を伴った裾野の広い成長が重要と考えています。そのために、アジアでの経験が示すとおり、ローンを通じた投資環境の整備やインフラの充実が求められています。特に後者の大規模な需要に対応していくためには、無償資金の活用だけでなくローンを有効に活用し、債務持続性にも十分に配慮しつつ、クレジット・カルチャーを着実に醸成していく必要があります。 |
我が国としては、このような観点から、民間セクター開発に関する国際金融機関の役割を強化するため、 アフリカ開発銀行グループに、中小企業育成、金融機関の能力強化、公共部門のガバナンス強化のための技術支援等を行う多数国の拠出による特別基金を、今後5年間で2億ドル規模を目指して設置すること、 アフリカ開発銀行グループを活用して、民間セクター育成・投資環境整備を支援するため、5年間で10億ドルを上限として、我が国の譲許性の高い円借款を供与すること、等を提案しています。 |
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| また、我が国は4月22日から24日にかけて開催される予定の「アジア・アフリカ首脳会議(バンドン会議50周年記念)」に参加するとともに、TICADプロセスを通じて、特にアジア・アフリカ間の貿易・投資の拡大(南南協力)を世銀やその他の国際機関の協力を得つつ進めていきたいと考えます。 |
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| なお、サブ・サハラ・アフリカでは、特に初等教育や幼児死亡率のMDGsの指標の達成も危ぶまれており、全世界のHIV/AIDSの感染者数の3分の2を同地域の感染者が占めています。 |
| 今後、これらの分野でのMDGsの達成に向けて国際社会がその取組を強化していく上では、援助を有効に活用しつつ公的サービスの供給が適時かつ適切になされていくことを重視すべきです。このためには、サブ・サハラ・アフリカにおける能力構築を更に強化していくことが必要であると考えます。 |
| また、例えば感染症の分野においては、既に1000万帳の長期残効蚊帳を2007年までに供与することを我が国としてコミットしたところですが、これにより4000万人の人々をマラリアから守ること等が期待されています。 |
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| 債務問題への取組としては、我が国は、2006年まで延長されたHIPCイニシアティブを引き続き積極的に推進することが重要であると考えています。この観点から、昨年秋の開発委員会以降に新たに4カ国がHIPCイニシアティブの完了時点(Completion Point)に到達したことを歓迎します。さらに、今後の債務問題への対応に当たっては、重債務問題を再び繰り返さぬよう、債務持続性の枠組みに基づいて各国の債務状況を分析し、ローンとグラントを適切に組み合わせた支援を行っていくことが基本であると考えています。 |
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| 一方、我が国は、国際開発金融機関における債務問題に対して、更なる行動が必要であると認識しています。更なる行動を検討するにあたっては、個別国ごとの債務持続性分析及び制度政策環境を踏まえ、ケース・バイ・ケースに対応すべきです。途上国の自律的な成長を達成するため、借入資金の執行や債務管理を適切に実施するクレジット・カルチャーの育成は、低所得国であっても忘れられるべきではないと考えます。 |
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| この観点から、一律100%の債務削減は、債務持続性確保に必要な量を大きく超えて債務を削減することになり、債務国のモラル・ハザードを招くという問題があると考えています。また、対象国については、HIPC以外の国については、まずは二国間債務に係るパリクラブでの対応により救済が図られることが基本であることから、国際開発金融機関の債務削減の対象国は、完了時点に到達した後のHIPCとすべきであると考えます。 |
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| 我が国としては、具体的な債務削減の方策として、IMF、世銀による債務持続性分析に基づいて、債務が持続可能な水準になるまで削減すること、ただし、制度政策環境が良好な国には多めに削減することにより、借入余力を作り、今後もローンを有効に活用し、かつ着実に返済できるようにさせることを提案しています。 |
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| 追加的援助資金を前倒しで調達するInternational Finance Facility(IFF)構想について、債券発行による資金調達は伝統的な援助資金調達と比べてコストが高いとの事務局の指摘を共有いたします。また、新たな機関を創設することは、機関の重複やコストの増大につながることに懸念を有しています。さらに、2015年以降に援助資金が急減するという問題点も克服しきれていないと考えます。なお、我が国としては予算制度等の問題からIFFへの参加は困難であります。 |
| また、予防注射のためのIFF(IFFIm)への参加についても、予算制度等の問題から参加は困難でありますが、乳幼児向けを中心とするワクチンの供与拡大については、我が国も大きな関心のもと支援に取り組んできており、今後とも、IFFImと並行する形で、ワクチン供与を含め、保健分野への支援を進める考えです。 |
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| さらに、国際課税については、開発援助のための目的税として国際税を各国で創設することは、財政の硬直性を招き、ODAと密接な関係を持つ租税客体を見出すことは困難であり目的税としての合理性を欠く、といった問題があると考えます。さらに、国際的に課税する体制をどう構築するか、各国間での課税方式の調整をどのように行うかなど、乗り越えなければならない課題が多く実現可能性は低いものと認識しています。また、集められた資金の配分や利用に当たっての意思決定を誰がどのように行うのかという点についても留意が必要です。 |
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| 世銀・IMFが途上国の声に耳を傾けることは重要であり、そのためには、政治的に実現可能なことから一つずつ、着実に成果を積み上げていくべきです。他方、世銀のガバナンスに関わる構造的な問題に関しては、まず同じブレトン・ウッズ機関であるIMFにおけるクォータ配分の見直しと歩調を合わせて議論を行っていく必要があります。 |
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最後になりますが、昨年12月及び本年3月のインド洋沖での地震と未曾有の大津波の被害にあわれた方々、犠牲者の方々に、改めて心からご冥福を祈り、お見舞いを申し上げます。我が国としても、今般の事態に対し、同じアジアの一員として、そして、津波・地震といった自然災害への対策における先進国として、人的貢献、資金、知見の三点で最大限の貢献を実行しています。今後は、被災国の中長期的な復旧・復興を支援していくことが重要であり、この点において世銀が他の多国間・二国間ドナーと十分に協調しつつ積極的な役割を果たすことを期待しています。 |