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本年で我が国がODAを供与し始めて50周年を迎えます。これまで我が国のODAは、途上国の開発に向けた自助努力の支援という点で大きな貢献を果たしてまいりました。とりわけ主たる支援対象であるアジア地域においては、援助に過度に依存することなく、援助と他の資源とを連携させつつ、自らの政策努力によって今日の経済成長が遂げられたことを喜ばしく思います。 |
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| 途上国の貧困削減の達成、とりわけ2015年に向けてのミレニアム開発目標(MDGs)の進捗状況に関し、来年は国連において中間レビューが行われます。MDGs達成のためには、援助量を増やせば自動的に所期の目標が達成されるというものではありません。持続的な貧困削減に向け、質の高い援助を実現するために、途上国がオーナーシップを持ち貧困削減戦略文書(PRSP)に基づいて、MDGsを各国の実情に合わせて現地化することが重要です。また、ドナーにおいては、PRSPに示された途上国の開発戦略に沿った形で協調していくことが重要です。 |
| 更に、援助が効果をあげるためには途上国側の援助吸収能力が十分であることが必要であり、その強化に向けた能力構築(特に公共部門の管理における能力構築)が求められています。 |
| また、こうした援助の効果の計測も喫緊の課題であり、まずは簡素化された指標を導入し、統計作成能力を向上させつつ、計測制度を精緻化していくことが必要です。 |
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| 翻って、援助資金を前倒しで調達するInternational Finance Facility構想については、実現可能なオプションであり更に作業を進めることが重要との意見が見られますが、我が国としては法制上及び予算制度上参加が困難であることに加え、援助資金の前倒し調達を行う結果、将来の援助資金が急減すること、既存の国際機関との重複が生ずることなどの問題があり、この構想を更に掘り下げて議論することが有益だとは考えておりません。 |
| むしろ既存の国際機関の増資を予定どおりに交渉妥結することが重要です。この観点から、今年の5月にアジア開発基金(ADF)の第8次財源補充交渉が合意されたことを歓迎します。また、現在行われている国際開発協会(IDA)第14次増資交渉及びアフリカ開発基金(AfDF)第10次増資交渉は極めて重要であり、その年内合意に向け、ドナー各国が真剣に取り組むべきと考えます。 |
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| 国際課税については、事務局ペーパーにおいても指摘されている通り、資源配分の効率性、制度の遵守の確保、徴収の容易性、政治的な受け容れ易さ、などを踏まえた慎重な検討が必要であり、実現可能性は低いのではないかと考えます。興味深い提案ではありますが、課税の根拠、課税方式、課税機関といった基本的な部分について乗り越えなければならない課題が多く、集められた資金の配分や利用に当たっての意思決定を誰がどのように行うのかという点についても留意が必要です。 |
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| 持続的な貧困削減の鍵となるのは持続的な経済成長です。中国、インド、ベトナムの例に見られるように高い経済成長と貧困削減は相関しており、世銀のアンケート調査においても、貧困層にとって「職を得ること」が貧困から脱出するために最も優先度の高い方法と位置付けられています。また、持続的な経済成長のためには、投資環境の改善とインフラ整備の強化が極めて重要です。従来から我が国が主張してきた、このような認識がドナー・コミュニティの間で共有されるようになってきたことを歓迎します。 |
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| 投資環境の改善は、安定的な対内直接投資の確保や中小企業の育成にとって重要であり、特に金融セクターの強化に向けた取組みが必要とされています。我が国は、東アジア域内における通貨・金融協力を積極的に推進しており、「アジア債券市場育成イニシアティブ」を通じて、アジアにおいて貯蓄が投資により良く活用されるよう支援しています。また、11月には東京でアフリカ開発会議(TICAD)−アジア・アフリカ貿易投資会議を世銀などの協力を得て開催し、アフリカにおける貿易・民間投資の促進を通じた開発、アジア・アフリカの民間ビジネス交流につき議論を深めたいと考えます。 |
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| インフラ・プロジェクトには収益性があることを踏まえて、インフラ・プロジェクトのための予算措置が途上国の財政に適切に位置付けられるように、IMFと世銀が更に検討していくことを歓迎します。 |
| また、インフラ整備の支援は、途上国におけるセクター改革の進展を踏まえて行うことが重要です。更に、貧困層への対応を勘案したインフラ整備のコスト回収の在り方、財務の健全性を損なわない形での、民間セクターの参加促進のための補助金の在り方についても更なる検討が必要と考えます。 |
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| 官民パートナーシップについては、途上国において十分な法的枠組みが整備されていることが必要ですが、実際の運用には種々の困難があり、これをいかに乗り越えるか、インフラ・サービスの増進と資金調達の在り方、政策決定者・プロジェクトの実施主体・サービスの利用者等の間での議論の促進につき叡智を更に集めていくことが必要です。また、地方政府への支援や現地通貨建て融資といった新しい支援方法に世銀グループが一体となって取り組むことを、今後の課題として提示したことを歓迎します。 |
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| なお、現在、世銀・アジア開発銀行・国際協力銀行で東アジアのインフラ整備について共同調査が行われており、この成果も、今後のインフラ支援の在り方に有益なものとなることを期待しております。 |
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| 援助の質を高めるためには、ドナー支援の開発効果の向上のみならず、途上国側のオーナーシップが重要です。この観点から、IMF・世銀が途上国の声に耳を傾けることは重要であり、そのためにできることから一つずつ、着実に成果を積み上げていくことが必要です。世銀内部での現地事務所に対する権限委譲が途上国のPRSPプロセスにおける対話の質を高めたことや、20カ国以上の国々を代表する理事室の職員を3名ずつ増員したことは、このような成果の第一歩として評価したいと思います。他方、世銀のガバナンスに関わる構造的な問題に関しては、まず同じブレトン・ウッズ機関であるIMFにおけるクォータ配分の見直しと歩調を合わせて議論を行っていく必要があります。 |
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| 追加的な資金フローが新たな債務問題を惹き起こさないように、債務構造が脆弱な国に対し、融資機関としてのIMF・世銀がどのように今後対応すべきか、真剣な議論が開始されたことを歓迎します。 |
| この観点から、我が国は、IMFと世銀が共同で検討している「債務持続可能性の評価の枠組み」を評価するとともに、本枠組みが実行可能なものとなるよう、具体的な制度政策環境の指標や基準値の水準についての早急な検討を要請し、我が国としても検討作業に積極的に参加します。 |
| 国際開発金融機関(MDBs)の融資政策を検討していく際には、債務持続可能性の評価の枠組みを踏まえつつ、MDBsの融資機関としての性格を損なわないこと、MDBsの財務の健全性確保やドナーの将来の財政負担を考慮する必要があること、低所得国においてモラル・ハザードを招かないこと、という視点から、グラントの拡大には慎重であるべきと考えます。 |
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| 我が国は、拡大重債務国(HIPC)イニシアティブの下、公的二国間債権者としてG7貢献分の約4分の1(54億ドル)の貢献をしてまいりました。 |
| 現行のHIPCイニシアティブを超えて、更に債務を削減するべきだという案もありますが、HIPCについては、それぞれの国の債務持続可能性分析に基づいて、これまでの枠組みに従って個別国ごとに債務救済を行っていくことが重要です。 |
| 本年、債務救済を受けるための期限の延長が実施される予定ですが、我が国は、HIPCイニシアティブが、恒久的な措置となり、重債務国がさらに債務を蓄積させるモラル・ハザードの問題が発生することを懸念します。この観点から、我が国としてはHIPCイニシアティブの期限の延長・対象国の拡大には強い懸念を有しており、HIPCイニシアティブ適用国を2004年末の時点で確定し、将来的に更なる拡大の余地を残さないようにすべきであると考えます。 |
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| イラクの治安の安定化と復興は、イラク国民にとって、また中東地域及び我が国を含む国際社会全体の平和と安定にとって極めて重要です。今月には東京でイラク復興信託基金の第3回ドナー会合を開催する予定であり、我が国は、ホスト国として、これまで表明された支援の実施促進に努力してまいります。また、今週IMFの理事会で、イラクに対してポスト・コンフリクト緊急支援(EPCA)が承認されたことを歓迎し、世銀が管理する信託基金を通じたプロジェクトが早期かつ確実に実施されることを期待するとともに、イラクの債務問題について、本年末までに結論に至るよう、関係国間で協議を進めてまいります。 |
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IMF・世銀の設立が合意されてから今年で60周年を迎えました。この間、「貧困削減」の国際的アジェンダ化、MDGsに代表される包括的アプローチの提案といったように援助の潮流は大きく変化してきています。このような時代の変化に伴って、IMF・世銀においても、それぞれの役割を明確にした上で、危機の予防・解決、低所得国支援等、様々な分野における見直しを精力的に行っていくことが必要です。MDGsにIMF・世銀が貢献していくことは重要ですが、金融機関としての姿勢を忘れず経済合理性に従って、持続的な形で貢献していく必要があります。このことを切に希望しつつ、結びの言葉とさせていただきます。 |