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第68回世銀・IMF合同開発委員会 日本国ステートメント(平成15年9月22日)

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第68回世銀・IMF合同開発委員会における日本国ステートメント
(2003年9月22日   於 ドバイ)

 
 
 持続的な貧困削減を実現するためには、経済成長が図られることが重要であり、途上国経済が世界経済全般を上回る勢いで成長を遂げてきていることを歓迎します。

 

1.適切な政策運営に対する支援とそれに要する資金の調達
 
 ミレニアム開発目標(MDGs)は、国際社会が一体となって取り組むべき重要な課題であり、その着実な実現のためには、開発途上国が、それぞれの国が直面する事情に合わせて、MDGsを現地化(ローカライズ)し、その実現を目指した貧困削減戦略文書(PRSP)を策定して行くことが望まれます。開発途上国はそれぞれ、貧困や財政の状況、行政能力を始めとして、異なる環境に置かれています。MDGsを現地化するに当たっては、各国固有の環境が反映されることが重要です。また、PRSPに盛り込まれる政策は、優先順位付けされる必要があります。こうした一連の検討作業を集大成したものがPRSPの本質であり、わが国としては、PRSPプロセスを完了した国の数が順調に増えていることを歓迎しております。

 最近策定されたPRSPを見ると、貧困削減には経済成長が必要との認識の下、経済成長に重きを置いた政策が打ち出される例が増えています。特に、世界銀行が、インフラ面における支援に再びコミットするとの方針を示したことを歓迎します。世界銀行に対しては、経済成長がどのように貧困削減に寄与するのか、その波及経路の解明に挑戦し、業務に役立てるとともに、過去の事例の成否を十分に吟味した上で、民間セクターとも協力して、より持続可能な取り組みを行うことを期待しています。
 
 PRSPが作成から実行の段階へと推移するにつれ、幾つかの課題が顕在化してきました。例えば、多くのPRSPでは、多岐にわたる政策が優先順位を付されることなく羅列されています。また、PRSPの掲げる目標が過度に野心的なものとなっている例も見られます。こうした問題を解決するためには、PRSPに盛り込まれた個々の政策について、しっかりとした予算見積もりを行うとともに、毎年の予算及び中期財政計画との整合性の確保に努める一方、マクロ・バランスや公的債務の状況に照らし、実現可能性のある戦略となっているのかどうか、真剣な検討を加える必要があります。途上国は、財政・公共支出管理などの分野で能力を高める必要があり、世界銀行がこの分野での支援を強化することを期待します。

 このようにして現実的なPRSPが策定されたときには、IMF、世界銀行を含めドナー・コミュニティ全体が協調して、PRSPに沿った支援を行うことが期待されます。今般、改定されたわが国のODA大綱では、国際機関との連携強化を基本方針の一つの柱として据えると共に、貧困削減を重点課題の一つとして掲げています。わが国は、大綱の方針にのっとり、引き続きPRSPを支援して行く考えです。将来にわたってPRSPの有効性を高めて行くためには、途上国、ドナー・コミュニティの双方がコミットした役割を着実に果たしているのかどうかをモニターし、その結果をフィードバックして行くことが重要です。わが国としては、今回提出されたグローバルモニタリングに関する進捗報告を歓迎するとともに、モニタリングの枠組みを強化するための更なる取り組みが進められることを期待しています。評価を行うに当たっては、政策に対する評価と成果に対する評価を適切に区別するよう留意する必要があります。現在、国際的に合意されたモニタリングの枠組みの中では、政策の評価が中心的な位置を占めていることを歓迎します。また、モニタリングを行うためには、途上国に十分な統計作成能力があり、MDGs関係のデータベースが整備されていることが必要不可欠です。こうした考え方は、わが国と世界銀行の間で共有されており、今般、わが国による支援が核となって、世界銀行と国連が連携した取り組みが行われるようになったことをご紹介します。

 MDGsを早期に実現する観点から、短期的には、資本的費用のみならず、経常的費用についても援助の対象にすべきではないかとの議論が一部で行われています。この点については、被援助国政府の歳入増大に対するインセンティブを阻害しないか、経常的費用の支援を効果的に活用するだけのキャパシティがあるのか、将来、自分で経常費用を賄えるような財政構造を実現するような長期的な計画を有しているかどうかといった観点から、慎重に検討する必要があります。途上国のオーナーシップを高めるためには、まず、人材育成や制度整備を進めることが重要です。こうした考え方に立って、わが国は、今般、GDL(遠隔地研修)センターを東京に設け、アジア・太平洋地域のGDLセンターと衛星で結び、双方向の研修・政策対話を行うことを可能にすることといたしました。今後、世界銀行と協力し、来春の立ち上げを目指してまいります。

 さて、紛争に苦しむ国々に対しては、人間の安全保障を推進すると共に、平和の定着や国づくりのための協力を強化する等、開発面における対応が大切です。
 イラクの安定と復興を図ることは重要です。わが国は、国際社会の一員として1億ドルの人道支援をプレッジし、これまでに約8600万ドルの支援を実施・決定しました。今後は、特に10月のマドリッドでのイラク復興支援国会合を成功に導くことが重要であり、わが国も努力して参ります。また、アフガニスタンについても、国際社会が関心を持ち続ける必要があります。こうした中、ここドバイで「アフガニスタン開発フォーラム」が開催されたことは誠に時宜を得たものです。わが国は、2002年1月にアフガニスタン復興支援国会合をホストした国として、DDR(武装解除と社会復帰)や緒方イニシアチブ(国内避難民・帰還民支援を軸とした地域総合開発支援)、道路復興支援を始めとして、今後とも積極的に取り組んでまいります。更に、スリランカの平和定着も重要です。わが国は、本年6月、「スリランカ復興開発に関する東京会議」を開催し、和平の進展状況を十分見極めながら、向こう3年間で最大10億ドルまでの復興支援供与を表明しました。
 わが国は、1993年からアフリカ開発会議(TICAD)プロセスを推進し、アフリカ諸国のオーナーシップと国際社会のパートナーシップの強化を基本哲学としたアフリカ支援を行っています。「アフリカ開発のための新パートナーシップ(NEPAD)」は、こうした基本哲学と共鳴するものです。TICAD10周年という節目で、来週、TICAD第3回会合が東京で開催されます。NEPADに対する国際社会のパートナーシップが一層強化・拡大される方向で議論が深まることを期待します。

 
2.途上国の声と参加の強化
 
 世界銀行・IMFが途上国の声に耳を傾けることは重要であり、そのためには、できることから一つずつ、着実に成果を積み上げていくべきです。今回の事務局ペーパーにおいて、開発途上国出身の理事室職員を対象としてキャパシティ・ビルディングを行うことや、CAS(国別支援戦略)の策定に際しての途上国の関与を更に強化すること、また、世界銀行内部において、本部から現地事務所に対する権限委譲を進めることにより、途上国政府に近いところで意思決定を行うようにするといった現実的な道筋が示されていることを評価しています。

 
3.貿易
 
 途上国経済の成長・貧困削減において、貿易は潜在的に重要な役割を果たしうるものであります。途上国が貿易自由化の便益を享受する一方、貿易に係る国内コストを軽減するためには、それを可能とする途上国自身の体制整備が必要です。こうした観点から、今般、世界銀行において、貿易に関連した政策融資の強化、貿易分野の改革を実施する国に対するプログラム融資の実施、貿易自由化に対応した国内市場改革に対する技術支援、等に積極的に取り組むこととされたことを歓迎いたします。

 わが国としても、途上国における貿易分野に関する支援に積極的に取り組んでおり、カンボジア・ネパール等、後発開発途上国(LDC)のWTO加盟交渉の促進、カンボジア貿易行政官の育成等の協力を実施するとともに、WTOに設置されたグローバル・トラスト・ファンド(GTF)への拠出等を行ってきたところです。

 また、わが国は、本年4月に、LDCに対する無税・無枠措置として更に198品目を追加しました。この結果、LDCからの輸入額に占める無税・無枠の割合は、従前の83%から93%にまで拡大しています。

 ドーハ・ラウンドにおける多角的貿易自由化推進は国際経済の発展に不可欠であり、全ての国に利益をもたらすと考えます。WTOカンクン閣僚会議が期待されていた成果を得られずに終了したことは残念ですが、わが国としては、一昨年11月のドーハ閣僚宣言の実現を目指し、引き続き全力で取り組み、わが国を含む全ての加盟国・地域が受け入れられるような合意を目指していく所存です。