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第67回世銀・IMF合同開発委員会 日本国ステートメント(平成15年4月13日)

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第67回世銀・IMF合同開発委員会における日本国ステートメント
(2003年4月13日   於 ワシントンD.C.)

 
 
 はじめに、国際開発協会(IDA)の第13次増資について、今回の開発委員会に先立ち、我が国の国会からの承認を得て、我が国から応募証書の寄託を行ったことを本委員会に報告します。我が国からの応募を以って同増資が発効に至ったことを大変喜ばしく思います。同増資の発効は、今回の開発委員会の議題の一つであるミレニアム開発目標(MDGs)の達成のための具体的な行動として、最近とられた最も重要な行動の一つと考えます。

 

I.ミレニアム開発目標及び関連する成果の達成
 
 前回の開発委員会での合意に基づき、ミレニアム開発目標(MDGs)及び関連する成果の達成のため、必要とされる政策・行動のモニタリングの枠組みを議論することを歓迎します。必要な政策・行動を洗い出し、定期的にその進捗や効果を評価していくことは、MDGsをはじめとする開発目標の達成に向けて進展を図る上で極めて重要な作業です。この作業において、世界銀行・IMF及び地域開発金融機関が、その比較優位を生かしつつ、他の国際機関と協力して主導的な役割を果たしていくことを期待します。
 
 今後とも継続していくこととされている本作業を真に実効性の高いものとしていくためには、以下の三点に留意すべきものと考えます。
 
 第一に、MDGsを達成するためには、途上国での持続的な経済成長の重要性を見落とすべきではありません。教育や保健といった社会サービスの提供に関連する分野にのみ支援の焦点を当てるだけでは、目標の達成は事実上不可能です。MDGsの達成に向けた進展が中期的に持続していくためには、貧しい人々の所得水準が向上し、自ら必要な人的投資を行っていくことにより更なる所得機会が広がっていく、という自律的な循環が生まれることが鍵となります。そのためには、貧しい人々が恩恵を受けられるような広範な経済成長を持続させていくことが不可欠と考えます。
 
 そうした持続的な経済成長の実現のためには、経済インフラの整備、民間部門の開発、及び途上国のガバナンスや行政能力の改善が重要な役割を果たします。したがって、これら経済成長の実現のために必要な取り組みの進捗状況についてもモニタリングしていくことが必要です。今回の開発委員会において提示されている枠組みは、MDGs及び関連する成果の達成のために経済成長が中心的役割を担うことが強調されており、我が国としてこれを高く評価するものです。世界銀行の業務運営においても、こうしたMDGs達成に向けた持続的経済成長の役割を重視する考え方が、国別援助戦略(CAS)、予算・人員配置や職員インセンティブを通じて、具体的に反映されていくことを求めます。
 
 第二に、MDGs達成に必要な政策・行動を選定し、実施していくに当たっては、各国が主体性を持って策定・実施する貧困削減戦略文書(PRSP)等の開発戦略を中心に据えた、国別のアプローチを採用していくことが重要です。すなわち、各国の開発戦略において、MDGsを各国の事情に合わせて現地化(ローカライズ)した各国毎の開発目標を据えた上で、その目標の達成のために必要な政策・行動を国毎に選定・実施していくことが重要です。この点に関し、今回の事務局報告では、初等教育、保健、エイズ、及び上下水道という4つの社会サービス提供に関するMDGsに向けた取り組みをケーススタディとして取り上げていますが、こうしたセクターに焦点を当てたアプローチは、あくまでも国別のアプローチを補完するものと考えます。
 
 第三に、MDGsの達成に向けての開発援助の役割を考える際に、被援助国の消化能力を考慮せずに単に援助量だけを増やしていけば良いというものではない、ということを強調したいと思います。援助が真に有効に活用されるためには、被援助国側に良好な政策・制度環境が構築されることが不可欠です。この点に関しては、今回の事務局ペーパーにあるように、世界銀行が毎年行っている国別政策・制度評価(CPIA)の成果を活用していくことが有益であり、その改善と一層の透明性の向上を求めます。また、途上国の行政能力の中でも特に、公的支出管理の改善が重要な課題となっていますが、この分野において世界銀行とIMFが相互に協力しつつ、着実に途上国を支援していくことを求めたいと思います。
 
 さらに、民間主導の持続的な開発を実現する上では、国内資金や海外からの民間資金の動員が重要な役割を有していることを銘記する必要があります。援助はこれらの非援助資金が有効に活用されるよう触媒的な役割を果たす必要があります。これに関連して、本年3月に我が国で開催された第3回世界水フォーラム及び閣僚級国際会議においても、ガバナンスや行政能力の改善の重要性とともに、国内資金や民間資金を含む全ての資金の効率的・効果的な活用の必要性が謳われました。我が国は、水分野において、河川管理や水質管理、上下水道整備等で豊富な経験を有するとともに、海水淡水化技術、汚水処理技術等、幅広い技術を有しています。我が国はこれまで、飲料水と衛生分野において、年間10億ドル規模のODAを供与してきています。この金額は、この分野における世界のODAの3分の1に相当するものです。引き続き、我が国の豊富な経験と幅広い技術を活用して、世界の水問題の解決に貢献していく所存です。
 
 なお、援助の効率化を図るための一つの手段として、援助国・国際機関の間で援助手続きの調和化を図っていくことも重要です。その際には、被援助国の主体性の尊重、国別アプローチの採用、及び援助形態の多様性の確保という観点が不可欠と考えます。本年2月にローマで開催されたハイ・レベル・フォーラムでの成果も踏まえ、本件に係る今後の進捗をモニターしていくことが重要です。
 
 最後に、MDGsの達成を支援するための我が国の具体的行動として、最近取られた二つの措置を紹介したいと思います。
 
 第一は、MDGsを達成していく上で大きな課題の一つとなっている途上国の債務問題に関する措置です。我が国は、拡充重債務貧困国(HIPCs)イニシアティブの下、公的二国間債権者として最大、かつ主要先進国(G7)貢献分の約4分の1の貢献をしています。我が国は従来、HIPCs等、国際的に合意された枠組みに基づく債務救済の対象国に対し、債務国が一旦債務を返済した後、債務救済無償を供与することにより円借款の債務救済を行ってきましたが、今般、債務救済無償による債務救済に代えて、国際協力銀行の円借款の債権の放棄により対応することとし、この4月から完了時点到達等の基準に従い実施を始めます。この措置により、債務国の行政コストの負担軽減が図られ、債務問題の早期解決ひいては貧困削減への取り組みの支えにつながることを期待しています。
 
 第二は、貿易に関する措置です。MDGsの達成に向けて、WTOドーハ閣僚宣言に基づき、後発開発途上国(LDC)産品の市場アクセスの改善に努力することが重要です。我が国は、昨年8月の「持続可能な開発に関する世界首脳会議(ヨハネスブルグ・サミット)」に際して発表した「小泉イニシアティブ」等の中で、全てのLDC産品に対する無税・無枠の市場アクセス供与に向けて努力する方針を表明していますが、今般、LDCに対する無税・無枠措置としてさらに198品目追加することとし、この4月から実施しました。この措置により、我が国のLDCからの輸入額に占める無税・無枠の割合は、従前の83%から93%にまで拡大することとなります。

 

II.途上国・体制移行国の声と参加の強化
 
 世銀・IMFによる支援が成功裏に実施され、途上国の経済開発と貧困削減が効果的に促進されるためには、途上国の主体性が不可欠です。したがって、世銀・IMFが途上国の声に耳を傾けることは重要なことです。一方、世銀・IMFの実効性のある運営を確保するために、世界経済における相対的地位に応じた投票権メカニズムが重要な役割を果たしてきたことを銘記する必要があります。この点に関して、これまでの世銀・IMF理事会が培ってきたよき伝統、すなわち、世銀・IMFの理事会が出資に応じた投票権メカニズムに基づきつつも、多くの場合においてコンセンサスを重視して運営されてきたことの意義を強調したいと思います。
 
 途上国の声と参加を強化するため、基礎票の増加、特別多数決事項の追加といった協定改正を伴う選択肢も提示されていますが、それほど魅力的とは思えません。開発委員会のメンバーや理事の数を増やす選択肢についても、効率的・効果的な意思決定という利益を犠牲にすることを考えると、好ましいものだとは考えていません。
 
 現在の理事数を前提に考えた場合、各理事選出母体(コンスティテュエンシー)が一層効果的に業務を遂行するための方策が検討されるべきと考えます。この観点から、多数の国で構成されているアフリカ諸国のコンスティテュエンシーの理事室スタッフを一定程度増員することを支持します。また、各理事室と本国政府とのコミュニケーションの改善のための方策についても、費用対効果の観点を踏まえつつ、支持できると考えます。
 
 さらに、こうした選択肢のほか、国別業務レベルにおいても、途上国の声を強化するような方法があることを指摘したいと思います。PRSPの策定における参加型プロセスを通じて途上国の主体性を強化することや、CASの策定に途上国が深く関わっていくことは、世銀・IMFの支援プログラムへの途上国の声を高めることに直接的に資するものです。また、分権化(decentralization)が進んだ世銀の各国事務所が、現場の声を的確に反映させることも、この点で有益な役割を果たしうると考えます。