現在位置 : トップページ > 国際政策 > 国際通貨制度等〜国際通貨基金(IMF)等〜 > 世銀・IMF合同開発委員会 > 第66回世銀・IMF合同開発委員会 日本国ステートメント(平成14年9月28日)

第66回世銀・IMF合同開発委員会 日本国ステートメント(平成14年9月28日)

English

第66回世銀・IMF合同開発委員会における日本国ステートメント

(2002年9月28日、於ワシントンD.C.)

  

モンテレイ合意の実施


 本年3月の開発資金国際会議でいわゆる「モンテレイ・コンセンサス」が合意され、また、先の「持続可能な開発に関する世界首脳会議」(WSSD)においても、ミレニアム開発目標(MDGs)の達成に向けて国際社会が協力して取り組むことが確認されました。途上国が政策努力を強化する一方で、先進国や国際機関が途上国の自助努力を効果的に支援する途を探る必要が高まっており、今回の合同開発委員会において、開発効果を高めるための方策について議論する機会を得たことは意義深いことと考えています。

 まず申し上げたいのは、我々はいまや「合意」という心躍る段階を通り越し、合意の「実行」という、地道で弛みない努力が必要とされる段階に入りつつあるということです。この実行のためには、途上国においては、貧困削減戦略ペーパー(PRSP)を活用して、MDGsの達成に向けて、それぞれの国の実情に合わせた国内目標を設定することが大切です。また援助機関は、その国に対する自分の援助戦略――世界銀行の場合は国別援助戦略(CAS)ですが――の中で、途上国がそのようにして設定した国内目標を達成することを、いかにして助けるかを示す必要があります。今必要なことは、借入国のPRSPやCASを初めとする援助機関の国別援助戦略を、モンテレイ合意実行に向けての主たる道具と位置づけ、成果の評価の点から使い勝手のよい手法を充実させることです。そこに努力を傾注すべきであり、新たなフレームワークや年限の設定などは不必要と考えます。

 今回開発委員会事務局より提示されたケース・スタディーからは、「健全な政策」「十分な執行能力」「資金」「成果の重視」という4つの要素が組み合わされることによって、より開発効果を高めることができることが確認されています。

 我々は、過去の経験から、援助を受ける国々において健全な政策・制度や良い統治が確保されているときに、援助が効率的かつ効果的に利用され、経済成長や貧困削減に役立つということを学んでいます。したがって、こうした条件が整っていない国々では、公正な予算執行・徴税制度、公平・中立な公務員制度など、実効性の高い公的部門を確立することが優先課題となります。我が国としても、世界銀行に設置している2つの信託基金を通じてこれらの分野において、積極的な支援をしていく所存です。すなわち、我々は開発政策・人材育成基金(PHRD)と日本社会開発基金(JSDF)の機能を拡充し、例えば公的支出管理や会計監査といった中核的な分野における制度の強化や政策担当者の能力強化を支援していく方針です。とりわけ、このような分野における実務家を養成する必要があり、我が国としては、世界銀行やアジア開発銀行と連携し、現地における研修プログラムの支援などを通じて、途上国の公的部門における能力構築に対する支援を強化する方針です。

 また、中長期的には、国の全ての礎となる教育分野の支援が重要です。我が国は、人づくりのための基礎教育分野に、低所得国に対して今後5年間で約20億ドルの支援を実施していきます。

 加えて、援助を更に有効なものとするためには、援助の成果を的確に評価し、その結果を将来の開発計画に生かしていくことが重要です。世界銀行は、これまでも、融資計画の基礎となる国別援助戦略を活用して、成功した部分のみならずうまくいかなかった部分についても的確に分析し、これらを業務に生かしてきました。今後は、これまでの積み重ねの上にさらに、成果の計測についてより分かりやすく、使いやすい仕組みを構築していくことが求められます。また、そうした作業の成果が世界銀行のみならず二国間の援助においても利用されうるよう、世界銀行をはじめとした国際機関が努力することを期待します。

 以上のほか、開発効果との関連で、援助の実施にあたって留意すべき点を述べます。

 地域社会主導の開発(CDD)アプローチは、国全体の適切なセクター改革や制度改革を伴ってこそ、効果を発揮するものであることを認識する必要があります。この点からは、CDDアプローチの制度改革に対する効果をきちんと評価することが必要です。

 援助資金の途上国のリカレントコストへの充当については、援助への依存を固定化する懸念があり、どういう場合に限定的にこれを行うことが必要なのかということを検討する必要があると考えます。また、「万人のための教育」(EFA)といったセクター別の取り組みを他のセクターで試みるにあたっては、PRSPという全体の枠組みを尊重することが鍵になります。
  

重債務貧困国(HIPC)


 現行のHIPCイニシアティブが、重債務貧困国の債務負担を軽減するための健全な基礎を提供するということは支持したいと思います。しかしながら、HIPCイニシアティブによる債務救済は債務問題の解決を図るための万能薬ではなく、長期的な債務の持続可能性を確保するためには、HIPCがPRSPに基づき健全な政策に取り組むことが必要不可欠であることは再度強調したいと思います。

 HIPCイニシアティブの今後の取り組みに際しては、以下のような点を考慮すべきと考えます。

 第一に、マルチ機関の債務救済のためのHIPCトラストファンドに追加的な資金が必要となっていますが、このファイナンシング・ギャップを埋めるにあたっては、バイでの貢献を考慮して、バランスのとれた議論をする必要があります。我が国は同イニシアティブの下、既に決定時点に到達した26か国に対して48億ドルに上る債務救済を行うこととしており、これはG8諸国中最大かつ約4分の1に相当する貢献です。

 第二に、完了時点時の追加的な債務救済についても様々な議論があります。このトッピングアップに関しては、例外的なものであり、外生的な要因によって基礎的な変化があった場合に必要な限度で認めるべきであると考えます。この点はモラルハザードを防止する上で重要です。

 第三に、非パリクラブ・民間債権者の参加率の低い状況は、公平な応分負担を基本とするHIPCイニシアティブの趣旨に反するものです。今後とも世界銀行・IMFが粘り強く債権者の参加に向けて努力をすると共に、参加の促進のための具体的方途を検討することを引き続き促したいと思います。
 

貧困削減戦略ペーパー


 この半年間も9カ国がPRSPを完成させ、その他の国々においても作業が大きく進展するなど、PRSPアプローチが広範な支持を得ていることを歓迎したいと思います。

 しかしながら、PRSPアプローチに様々な課題が依然として残っているのは事実であります。具体的には、PRSPに盛り込まれたセクター戦略に基づいたプログラムやプロジェクトが中期的な財政制約と整合的でないという懸念もあります。このような点について、IMF及び世界銀行として効果的に関与を行う必要があると思います。

 更に、ミレニアム開発目標(MDGs)を達成していくためには、国レベルではPRSPを通じて開発を追求していくことになります。PRSPにおいてはその国の実情に即して主体的に策定された現実的な目標を設定することが、その国にとって長期的な利益に資するものと考えます。
 

援助実施政策・手続きの調和化


 援助実施政策・手続きの調和化を通じて、受益国の負担軽減及びオーナーシップの向上を図ることは重要な課題です。

 我が国は既に、世界銀行、ADBと協力して、調達、財務管理、レポーティングの分野で、パイロット国において可能なところから調和化の動きを進めており、こうした動きを踏まえて実施可能な国及び事項から始めることが現実的なアプローチであると考えます。一方、環境や強制移住といったセーフガード政策については、各国毎の事情が異なるため、調和化を進めるにあたっては、バイのドナーを含む関係者と意見調整を十分に行う必要があることを指摘したいと思います。
 

資金洗浄、テロ資金調達との闘い


 昨年9月11日に米国で痛ましい同時多発テロ事件が発生して1年が経過しました。このテロ事件以降、国際社会において、国際テロと闘うために様々な取り組みが行われてきました。FATF40+8勧告をカバーした、マネロン・テロ資金対策の評価のための包括的な手法を用いた、IMF及び世界銀行による評価開始に向けた作業の進展を歓迎します。この評価開始に際しては、FATF等への非加盟国は、積極的にこの評価を受けることが重要であると考えます。

 テロリスト等に対する資産凍結に関しましては、我が国は、テロ資金対策の重要性を鑑み、G7による同時凍結も含めて累次の措置を実施してきており、また、本年6月までにテロ資金供与防止条約等の実施に必要な国内法を可決成立させ、この条約を受諾する等、積極的に取り組んできているところです。国際テロと闘うため、引き続き各国・関連機関等が協力して、テロ資金対策に取り組むことが重要です。