| 第65回世銀・IMF合同開発委員会における日本国ステートメント (2002年4月21日、於ワシントンD.C.) | |
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| 先のモンテレーにおける国連開発資金国際会議で「モンテレーコンセンサス」が合意され、ミレニアム開発目標の達成に向けて国際社会が協力して取り組む機運が高まっています。こうしたなかで、今回の合同開発委員会において、過去50年間の開発の取り組みを回顧し、今後の開発のあり方を探ることは時機を得たものと考えます。 過去50年間を振り返ると、わが国の復興と成長を含め、開発において大きな進展がありました。アジアの他の国々においても、各国が主体的に努力するなかで、世界銀行、アジア開発銀行やわが国を含むバイのドナーの協力の下、開発に大きな前進がみられました。しかしながら、依然としてアジアが貧困人口の大きな部分を抱えたままでいることも事実です。今後は、これまでの達成をさらに推し進めるとともに、サブサハラアフリカなど、進展が限られた国々を開発の軌道に乗せていくことが重要です。 開発に関する過去の経験によって明らかにされた最も重要な教訓は、持続的な開発のためには、途上国自身の良好な政策と制度が不可欠であるという点です。また、途上国自身が主体性をもって開発に取り組むことが不可欠であることも長年の経験で明らかになっています。我々は、前回の合同開発委員会において、国連開発資金国際会議に向けて、健全な政策と統治に基づいてパートナーシップを構築することの重要性を強調しました。同会議において、このメッセージが参加者の間で広く共有されたことを歓迎しています。 その上で、途上国の自助努力を国際社会が強力に支援していくことが重要です。わが国は冷戦終了後の世界のODAが低迷してきたなかで、世界一のODA供与国として開発の問題に真剣に取り組んで参りました。今後は、政策実施能力という点で必ずしも万全ではない国々に対して、国際社会が人材育成支援や政府の能力を強化するための技術支援を行っていくことが重要です。援助をパフォーマンスに応じて配分していく一方で、政策実施能力の劣る国にも粘り強く支援を続けることが必要です。 また、持続可能な開発という視点から考えた場合、民間部門主導の成長を実現する必要があることに注意を喚起したいと思います。そのためには、貿易や直接投資の促進が鍵になります。貿易、特に市場アクセスの問題については、途上国のニーズと関心を作業計画の中心に据えるとしているドーハ宣言で示された考えに基づいて、WTOの場で適切な結論がもたらされることを期待しています。また、貿易政策の改善や輸出ベースの拡充等により、途上国が貿易から利益を得る能力をつけることが重要です。更に、途上国に対する投資の拡大のためには、国際的な投資ルールの策定、法の支配等の良好なガバナンスを含む安定的で予見可能な投資環境の整備が重要な役割を担っています。 実際に途上国が主体性を持って開発に取り組んでいく上では、貧困削減戦略ペーパー(PRSP)が中心的な手段(vehicle)となります。国際社会としても、途上国のオーナーシップを踏まえつつ、PRSPの作成のための支援を強化するとともに、その実施について国際金融機関、国連機関、バイのドナーが、各途上国の発展段階に応じ、それぞれの比較優位を生かした多様な支援をしていく必要があります。殊に、PRSPが真に実効性と持続性のある戦略となるためには、その作成に当たり、市民社会を含めた幅広い参加を得るプロセスを経るこ とが重要です。我が国は、こうした考え方から、世界銀行に設置された貧困削減戦略信託基金(Poverty Reduction Strategies Trust Fund)に対して、先に10百万ドルの貢献を行い、適切な参加プロセスの確保を含めたPRSPの作成・実施のための支援を実施していくこととしています。今後は、PRSPを作成しない国においても、主体性・参加というPRSPの原則をどう生かすのか検討していくことも重要な課題です。 |
| ダイナミックな経済のための教育:アクション・プラン | |
| 中長期的な貧困削減及び持続可能な成長のためには、教育が鍵を握っています。ダカール会議以降、万人のための教育(「Education for All」)に向けて、取り組みが活発化しており、つい先日もアムステルダムで重要な議論が行われました。このたび、開発委員会でEFAに向けてのアクション・プランを議論する機会を得たことを歓迎します。 まず、EFAを達成するためには、国内資源の動員に裏付けられた途上国の強いコミットメントや、国際社会の支援を仰ぎつつも受益国が主体的に良好な政策・制度を構築していくことが不可欠であることを強調したいと思います。そのためには、教育分野での取り組みをPRSP等の国の開発戦略の全体の中で明確に位置付けることが重要です。その上で、国際社会としても必要な支援を積極的に行っていく必要があります。資金動員の観点からは、受益国側の消化能力等の制約を踏まえ、効果的・効率的にファイナンシングする方法を検討していく必要があります。プールファンドや予算支援型のアプローチについては、その前提となる受益国側の支出管理や予算執行上の能力の問題について取組むことが先決であり、それらの点がクリアーになった上で、複数の援助モダリティの1つとして活用していくべきであると思います。また、行政経費(Recurrent cost)へのドナーからの支援については、極めて慎重な検討が必要でしょう。 また、アクション・プランを効果的・効率的に実施するためには、国連機関、ドナーとの役割分担にも十分留意しつつ、連携・協力を進めていくことが必要でしょう。この教育分野については、特にUNESCOが主要な役割を担っており、UNESCOを中心とした努力と世界銀行の努力が、重複せずコーディネートされることが肝要でしょう。 更に、ダイナミックな経済のための教育という観点からは、初等教育のみならず、中等以上の教育制度や成人識字率の向上も重要であることを付け加えたいと思います。EFAへ向けた努力と中等以上教育分野での努力を整合的に行うことが重要であると考えます。この点に関連して、我が国としては、国際的な情報格差の解消を図るべく、2000年の九州・沖縄サミットで表明した施策を実施してきていることを付言します。 |
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| 拡充HIPCイニシアティブの下、これまでに26カ国が決定時点に、さらにそのうち5カ国が完了時点に到達する等、同イニシアティブの実施について概ね順調な進展が見られることを歓迎します。ただし、未だ決定時点に到達していない国々や、決定時点には到達していても未だ完了時点に到達していない国々の中には、様々な困難に直面している国もあります。これらの国々が円滑に次のステージへと移行できるよう、パフォーマンスの良い国々に報いるというHIPCイニシアティブの原則を踏まえつつ、世界銀行・IMFが必要な支援を行っていくことが重要です。 さらに、真の貧困削減に向けては、拡充HIPCイニシアティブによる完了時点に到達した国においても、今後とも継続的な努力が必要であることを強調したいと思います。これらの国々においては、各国のPRSPに基づき引き続き適切なマクロ経済政策を遂行していくとともに、債務管理能力の向上、脆弱な経済構造を是正するための輸出ベースの多角化といった中長期的な課題に主体的に取り組んでいくことが求められます。 |
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| 2001年4月の合同開発委員会以降、援助実施政策・手続きの調和化に関する作業について、包括的開発フレームワーク(CDF)やPRSPを基本として、DACやドナー各国の援助機関との協調の下、国、地域レベルにおいて具体的な取り組みがなされていることを評価したいと思います。また、世界銀行と各地域開発金融機関との間で業務分担や知見の共有、業務手続の協調に関しての覚書(Memorandum of Understanding)の締結が完了したことを歓迎します。 今後は、世界銀行と各地域開発金融機関間で締結された覚書に定められた個別の協力事項を着実に実施に移し、さらに一定の期間をおいた後に実施状況のレビューを行うことが必要です。さらに、オペレーショナルポリシー等にとどまらず、国別援助戦略のレベルでの協調も重要な課題です。また、国連機関は、世界銀行と密接に関連する業務を実施しており、幅広い分野で更なる協調関係を築く必要があります。 |
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| 世界銀行とIMFが資金洗浄やテロリストへの資金供給などの不適切な資金使用に対する対策に積極的に取り組んでいることを歓迎しています。これら取り組みは、経済の健全な発展にとって不可欠であり、開発上の重要な課題の一つでもあります。 この問題については、FATF40+8に基づいたROSCの策定に向けて検討が進んでいることを歓迎したいと思います。また、途上国側の要望に応じて技術支援が供与できる体制を国際社会が整える必要がありますが、対応すべき機関間の協調が強化されてきていることを評価したいと思います。世界銀行、IMFにおいても必要な技術支援のニーズに的確に応えていくことが必要です。 |
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| 最後に、アフガニスタンの復興に向けた国際社会の支援について述べたいと思います。 我が国は、国際社会の責任ある一員として、アフガニスタンが早期に民生の安定及び復興を成し遂げることができるよう、国際社会の取り組みに積極的、主体的に参加していく考えです。こうした考え方の下、我が国は去る1月に「アフガニスタン復興支援国際会議」を東京において開催しました。同会議では、世界の61カ国と21の国際機関から、同国の和平と安定を支える国際社会の政治的メッセージが表明されるとともに、復興に対する具体的な貢献として、我が国からの2年半で5億ドルまでの貢献を含め、総額45億ドル超がプレッジされま した。主催国として参加して頂いた国々・国際機関に対して改めて感謝の意を表します。 世界銀行からは、同会議においてアフガニスタンに対し今後2年半で総額5億ドルを超える譲許的支援とグラント支援が表明されましたが、先般、その第一歩として世界銀行の理事会において同国の移行支援戦略(Transitional Support Strategy; TSS)が承認されたところです。我が国は、これを歓迎するとともに、世界銀行がこれまでの紛争後(post-conflict)復興支援の経験を生かしつつ、各ドナー国やアジア開発銀行をはじめとする関係諸機関とも協調して、復興に向けた同国の主体的な取り組みを積極的に支援していくことを期待します。 |