| 第64回世銀・IMF合同開発委員会における日本国ステートメント 尾辻財務副大臣 (2001年11月18日、於オタワ) | |
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| 9月11日の事件は、開発の問題に取り組むことの重要さを我々に改めて認識させるものでした。これは、貧困削減という世銀のミッションが極めて重いものであることを明らかにしたと言えます。 今回の事件は、先進国経済だけでなく、国際的な資本移動の萎縮や観光収入の減少などを通じ、途上国経済にも悪影響を及ぼし始めています。このような問題に対処するため、世銀やIMFを中心とする国際金融機関が積極的にリーダーシップを取っていくことが重要であり、本議題を開発委員会で議論することは極めて当を得たものであると考えます。 世銀には、紛争に伴う社会的不安等、事件の影響によって、途上国が取り組んできている貧困削減に向けた様々な努力が挫折することがないよう支援していくことが求められています。特に、南アジア・中央アジアさらには東南アジア諸国に対して十分に支援を行っていく必要があります。 また、不安定な資本市場動向の影響を受けている、途上国の民間部門については、IFC、MIGAによる支援の重要性が増していると認識しています。 ただし、世銀グループの資源と能力にも制約があることから、国際機関や各国援助機関の専門を勘案しつつ、一層連携を深めることが必要です。特に、国際金融機関については、世銀による中長期の開発課題への取組み、IMFによる短期の金融ショックへの対応、ADB等の地域開発銀行の特定地域へのフォーカスなど、専門性を十分考慮すべきです。 我が国は、喫緊の課題となっているアフガニスタン復興に関して、来る11月20日にワシントンにおいて、米国とともに「アフガニスタン復興支援高級事務レベル会合」を開催することとしております。我が国としては、こうした場を通じて関係各国、国際機関が協調体制を構築することが重要と考えております。その際、アジアの地域開発銀行としてのADBの果たす役割は重要であり、世銀がADBと緊密に連携を図る必要があると考えます。 なお、IMFについては、今回の事件の影響によって打撃を受けている国に対する「貧困削減成長ファシリティー」(PRGF)資金の供与が求められている中で、来年以降の原資が不十分であるという懸念が高まっていました。この状況を受け、日本として事態の緊急性に鑑み、貸付原資として更に10億ドルの貢献を行うこととし、これにより迅速かつ十分なPRGFの供与が実現することを期待します。 |
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| 来年3月に開催予定の開発資金会議は、開発目標の達成に向けて途上国の開発問題を幅広く議論するための絶好の機会です。その機会を実りあるものとするためには、先進国の努力の必要性を認識するとともに、途上国の主体性に基づく政策努力が不可欠である点を十分に留意し、バランスのとれた議論が行われるようにすべきです。持続的な貧困削減を実現するためには、途上国の主体性に基づく健全な政策とガバナンスが不可欠であることは、世銀・IMFの長年の活動によって明らかにされており、開発資金会議に対する我々からの最も重要なメッセージでもあります。この点では、途上国の主体性に基づき、市民社会の参加を経て作成される貧困削減戦略ペーパー(PRSP)が、途上国において定着しつつあることを歓迎します。開発資金会議は、PRSPの重要性を国連機関と共有する良い機会であると考えています。 世銀・IMFが、運営のアカウンタビリティを高めるために様々な取組みを行い、また国連機関との真剣な対話を行ってきていることは評価できます。従って、グローバルな「開発に係るガバナンス」についても、新しい仕組みではなく、既存の枠組みを最大限活用することが最も有益と考えます。 |
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| 拡充HIPCイニシアティブの下、これまでに24カ国が決定時点に、3カ国が完了時点に到達する等、貧困削減にむけた取組みに着実な進展が見られることを歓迎します。 しかしながら、債務救済は貧困削減や経済発展の「万能薬」ではなく、貧困国の中長期的な発展の観点からは、貧困国自身の主体的責任と自助努力に基づいて、民間投資促進や輸出品の多角化などを含めた、開発に対する包括的な取組みを進めることが不可欠であると考えます。 |
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| 国際開発金融機関の援助実施に係る手続き調和化を進めることは、開発効果の促進、援助の効率性向上、および途上国の負担軽減等の観点から重要な課題と認識しています。調和化については、途上国の主体性および二国間援助機関の取組みを尊重することが肝要です。 前回の開発委員会のコミュニケを受けて進められてきた作業に関しては、第一段階である現状調査等がほぼ終了しつつあるとの報告を歓迎します。なかでも、なぜ援助手続きが機関によって異なるのかという分析の結果が、有益なものとなることを期待しています。実際の調和化の実施など、第二段階以降については、調和化の問題の複雑さなどを踏まえつつ議論を進めていくことが重要です。なお、世銀自らの取組みとして、援助パートナーと協力しつつ、財務管理と調達手続きを見直すとしている点は、評価に値すると考えています。 |
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| 教育などの人的投資は、特に中長期的な貧困削減および持続可能な成長のために、鍵を握るものと認識しています。この観点からは、初等教育課程での就学率だけに焦点をあてることなく、過程修了率や学習成果など教育の質にも注意していく必要があります。また、初等教育のみならず、成人識字率の向上を含む中等以上の教育制度も、各国の事情を踏まえつつ併せて整備していくことが必要であることにも留意すべきです。さらに、良質な基礎教育への女子の完全かつ良質なアクセスを確保することは、開発における教育の最重要課題の一つであり、継続的な取組みが必要です。 教育分野の開発には、途上国側の強いコミットメントと、各ドナーの支援が重要であり、「万人のための教育」を効果的・効率的に実現するためには、関与している多くの機関の役割分担にも十分留意しつつ、連携・協力を進めていくことが必要です。特に基礎教育普及に向けて、UNESCOを中心としたグローバルな取組みが進められています。こうした中、世銀については、UNESCO、UNICEFおよびUNDPといった他の機関に比して教育インフラの整備に優位性があると考えられ、この比較優位を生かしつつ、包括的な視点に基づいた取組みを期待します。 最後に、次なるステップとして、主要パートナーとの議論を経て、実効的な行動計画が次回の開発委員会に提出されることを期待しています。 |
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| 我が国は、これまで世界銀行において、途上国の中長期的な課題に取組むための開発政策・人材育成基金や貧困問題に対応するための日本社会開発基金などを通じて様々な支援を行ってきました。今般、最近グローバルな課題として重要である環境と情報通信技術の分野において、「クリティカルエコシステムパートナーシップ」と「ディベロップメントゲートウエイ構想」への支援を決定したところであります。 |
| (以上) |