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第62回世銀・IMF合同開発委員会 コミュニケ(ポイント)(平成12年9月25日)

2000年9月25日

(仮訳)
第62回開発委員会コミュニケ

 

1.第62回開発委員会は、2000年9月25日にチェコ共和国プラハにおいてヤシワント・シンハ・インド蔵相を新議長として開催された。委員会は、タリン・ニマナヘミン・タイ蔵相に対し、過去2年間の議長としての貴重なリーダーシップと委員会への指導に多大な謝意を表明した。

 

2.大臣達の議論は、グローバリゼーションのもたらす利益とリスクに関する継続的な公の議論を背景に行われた。大臣達は、グローバリゼーションによりもたらされた一層統合された世界経済と技術上の利益が経済的・社会的進歩並びに公平及び安定の重要な源泉となる一方、これらの結果はもたらされないこともあるものであることについて強調した。大臣達は、グローバリゼーションが少数者ではなく全てに対する利益であることを確保することを助ける重要な責務があることを認識した。また、こうした努力において、世界の貧困削減、特に著しい貧困状態にある者の割合を2015年までに半減すること、を究極の目的とする価値ある同胞として、世銀、IMF、その他の多国間機関を強化することに対するコミットメントを再確認した。

 

3.貧困削減と国際公共財:世銀が、その任務の範囲内で、国際公共財に果たす役割を考慮するにあたり、大臣達は世銀の関与のための4つの基準に留意した。その基準とは、世銀の開発目標への明確な付加価値、他の資源やパートナーシップを触発するために必要な世銀の活動、世銀の著しい比較優位、世界的な行動が必要であるという国際的なコンセンサスの形成、である。大臣達は、関連する国際機関と協力しつつ世銀の関与する4つの分野を支持した。その分野とは、財・サービス・生産要素の国際的移動を促進すること、グローバリゼーションからの幅広い裨益を促し、病気の伝染や紛争の後遺症などの主要な経済的・社会的な問題を削減すること、環境を保ち守ること、そして、開発に関連する知識を創造し共有すること、である。

 

4. 大臣達は、エイズ、マラリア、結核などの感染症と闘うために、世銀、国連、及びその他の国際的・国内的及び民間レベルでのパートナーによりなされた拡大された努力を強く支持した。大臣達は、4月の委員会の会合以降の進展に留意し、エイズや他の広く伝染している病気が深刻な開発上の問題を生じているとの国際的なコンセンサスがより強力な行動につながっていることに勇気づけられた。大臣達はまた、国際開発協会(IDA)の基本的な資金配分政策を損なうことなく、これらの活動のための譲許的資金を拡大するとともにこれらの資金をより柔軟に活用するというIDAドナーのコミットメントを歓迎した。大臣達は、世銀が世界的なエイズの流行を押し止めることを助けるというコミットメントをさらに進めることを促し、また、最近承認されたこの目的のためのアフリカ向けの5億ドルのIDAプログラムを歓迎した。

 

5.大臣達は、国際金融アーキテクチャーの強化に関し、IMFおよび他の国際機関と協力しながら世銀が重要な役割を果たしていることに留意した。これには、途上国の視点に配慮しながら、金融の回復力とグローバルな金融制度への統合において重要な分野における適切な基準とコードの発展を支援すること、各国がその関連する制度や政策を強化することを支援すること、などが含まれる。大臣達はまた、資金洗浄や他の形態での悪用・濫用など国境を越えた金融の悪用・濫用と闘う国内および国際的な努力の強化が全ての国にとり重要であることを指摘した。大臣達は、途上国がより開放的で公平な世界貿易システムにより積極的に参加することに大きく貢献するために、 世銀がその技術支援や、助言という形での支援のプログラムを拡大することを促した。大臣達は、公平な成長を促進するにあたっての通信技術のもたらす約束と課題を繰り返し強調し、他と協力しながら、貧しい国やコミュニティーにデジタル時代の知識と情報の機会へのよりよいアクセスを与えることを支援する世銀のイニシアチブを歓迎した。 

 

6.大臣達は、注意深く選ばれた、貧困削減に大きな効果を持つ優先度の高い世界的及び地域的なプログラムのための適切な資金確保の方途をさらに検討することの必要性を認識した。これは、世銀の融資や、場合によっては贈与を革新的に利用することを必要とするであろうが、国際、二国間、慈善あるいは民間のパートナーとの新たな形態の協調と共に、代替的な資金源や世銀への財務上の影響を考慮することも必要である。大臣達は、全ての国に利益をもたらす国際公共財への投資は新たな資源を必要とすることを強調した。

 

7.委員会は、次の会合において、開発パートナーの間での役割分担と適切な資金調達アレンジメントについてと共に、世銀にとっての優先的な国際公共財の投資分野を一層明確にするための進捗について、報告を受けることを期待した。

 

8.国の開発のための世銀の支援:個別国との作業が世銀の業務の中枢にとどまることに留意しつつ、大臣達は、IMFと他の機関の役割を考慮しながら、加盟国の開発を支援するための世銀グループの役割と手段についての広範なレビューを行う機会が初めてもたれたことを歓迎した。

 

9. 大臣達は、大きく異なった各国の状況を反映するために、世銀は、その支援を国毎に適合させなければならないことを強調した。国別のプログラムを確かに地に足のついたものとするために、大臣達は、世銀に、各国を対象とする診断作業及びその他の経済及びセクターに関する作業を継続的に強化することを求めた。大臣達は、関係する国にとっての適格性や、当該国や他の開発の上でのパートナーの作業との相乗効果を高めることに焦点を当てる必要性を強調した。大臣達は、借入国の社会的・構造的改革の支援のためにプログラマティックな調整貸付けを活用する観点から、また、世銀総裁とIMF専務理事の9月5日の共同ステートメントによる世銀とIMFの役割及びパートナーシップに係るビジョンを踏まえた観点から、分析作業が能力構築と相まって益々重要になることに留意した。

 

10.大臣達は、世銀グループは、早急に次の点について対応することが必要であると強調した。すなわち、機関としての選択性に向けた課題を明確にすること(部分的には、今後行われる部門戦略ペーパーの見直しに基づく)、世銀のスタッフ及び他の資源への全体の需要を慎重に管理すること、及び、その責務に係るよりよい調整に基づいて、他の国際開発金融機関や国際機関と緊密かつシステマティックに作業を行うこと、である。大臣達は、途上国の負担を軽減するための業務政策や手続きの調和に係る一層の進展を図ることにより、多国間及び二国間のドナーが、 各国の主体性、資源の一層の有効活用、及び合意された国際的な開発目標の達成において、多大の貢献をなすことができると強調した。大臣達は、世銀に、次回の開発委員会に向けて、パートナー達と緊密に協力し、調和に向けた動きの進展についての報告を準備することを求めた。

 

11. 大臣達は、低所得国のための総合的な世銀のアプローチを歓迎し、貧困削減戦略ペーパーに基づいた国別支援戦略を含む、各種のプログラム文書や手段の整合性を一層高めるための提案を歓迎した。大臣達は、政府の貧困削減戦略を支援し、IMFの貧困削減成長ファシリティー(PRGF)を補完する貧困削減支援融資(PRSC)についての議論を歓迎した。大臣達は、その手段の一層の明確化においては、それを支える分析作業、例えば、公的支出のレビューや貧困の評価及び受託義務の評価の性質について、世銀が取り組むべきであるとの考えを示した。また、大臣達は、世銀とIMFに対して、世銀の支援融資及びIMFの成長ファシリティーの両者の実施に係る協調のための様式を見直すことを求めた。大臣達は、低所得国の貧困削減を支援する上で世銀とIMFが果たす役割の大きさに鑑み、世銀とIMFの効果的な協調が重要であることを強調した。

 

12. 大臣達は、世界の貧困者の多くが居住する中所得国における貧困の削減を支援する上で、世銀グループに引き続き非常に重要な役割があることを再確認した。大臣達は、世銀グループの焦点は、民間部門が提供できない、若しくは提供しない支援を行うこと、及び民間部門主導の経済成長を促す必要があるということを強調した。大臣達は、世銀グループが、この様々な経済の存在する集団の、変化する開発ニーズに如何にすれば最もよく対応可能かを検討するための作業部会を創設することを歓迎した。大臣達は、作業部会は、とりわけ以下の点について考慮すべきであると合意した。すなわち、異なった開発・改革のステージにある国への世銀の支援の効果を最大化するためのコンディショナリティや手段の様式、市場の混乱の際に社会的構造的プログラム向けにより多くの金融上の支援を借り手に供するための余地と条件、経済・セクター関連作業の範囲、世銀の商品の価格付けに対するインプリケーションを含む世銀との業務遂行に係る費用といった点である。大臣達は、次回の会合で、そのプログレスレポートに期待することとした。

 

13.重債務貧困国イニシアチブ(HIPC): 大臣達は、イニシアチブの実施において達成された進展を歓迎し、このプロセスを更に強化するための全ての適切な方策が取られることを求めた。大臣達は、昨年の会合において支持された拡充により、貧困削減のために必要な経済・社会的な改革を実施する適格国への「より深く、より早く、より広範な」債務救済がもたらされていることに留意した。大臣達は、特に、今日までに10ヶ国が拡充されたフレームワークの下で、決定時点に到達したこと、及び今年末までに20ヶ国が決定時点に至るという目標を達成するための作業がそのフレームワークの中で加速されていることに留意した。これにより、合計の債務返済の軽減(当初のものと拡充後のHIPC支援を含む)は300億ドルをゆうに上回ることになると見込まれる。従来の債務救済メカニズムと合わせると、合計で約500億ドルがこれらの国に供与されることになる。

 

14.また、大臣達は、イニシアチブの実施に係る改善のための努力が強化されていることも歓迎した。大臣達は、1年前に支持された拡充イニシアチブを反映した形での当初のHIPCのフレームワークに対する修正 ― 決定時点で開始する暫定的な支援の供与、及び変動的完了時点の採用 ― により、条件を満たす国にとって喫緊に必要な支援が時機を得た形で供与されるよう、世銀とIMFが他の債権国や適格国と共に作業を継続することを求めた。大臣達は、イニシアチブの実施に係る二つの機関のパートナーシップの強化を支持し、可能な限り迅速に前進するという両機関のコミットメントを支持した。しかしながら、実施のペースは、個別国の要因によっても決定されるであろうことも認識された。大臣達は、トラックレコードに係る要件について、柔軟なアプローチを維持することを支持した。大臣達は、追加的な国 ― 殊に紛争から立ち直りつつある国 ― がイニシアチブに参加することを認めるために、「サンセット条項」を2002年の末まで延長することを支持した。また、大臣達は、既存のHIPCのフレームワークにおいて、例外的に不利なショックを受けた国の債務救済額を完了時点において再考するオプションが存在していることを強調した。

 

15. 大臣達は、IDA等の譲許的なファシリティを損なうことなく、拡充HIPCが十分に資金手当てされることの重要性を強調した。大臣達は、全てのドナーに、金融支援へのコミットメントを満たすことを求め、また、この目的を達成するためのアレンジメントが存在することを歓迎した。特定の開発途上国や低所得の体制移行国である債権者の特別なニーズがあることを認識しつつ、大臣達は、全ての債権者が債務救済のフレームワークに参加するよう求めた。

 

16.貧困削減戦略ペーパー:大臣達は、貧困削減とHIPCによる債務救済と世銀・IMFの譲許的貸付けとのリンクを強化するための方策として、1999年9月の会合で支持された貧困削減戦略アプローチについての進展をレビューした。大臣達は、そのアプローチを採用するモメンタムが強まっていることや、各国と開発パートナーが前向きに対応していることに留意した。大臣達は、殊にデータ上の制約や制度上の能力に由来する課題に各国が直面していることを認識しつつも、暫定的な貧困削減戦略ペーパーから完全なペーパーに時機を得て移行することを求めた。国の主体性という中核的な原則を強く維持しつつ、大臣達は、世銀・IMF及び他の機関に対して、各国による戦略の準備に係る努力への適切な技術支援を供与するよう求めた。 

 

17.包括的開発フレームワーク:大臣達は、フレームワークに示された開発への包括的なアプローチへの支持を表明し、パイロット国においてそれを実践する中での進展と得られた教訓を歓迎した。大臣達は、このプロセスの実行がまだ初期の段階にあること、多くの各国特有の課題が残っていることを認識したが、フレームワークの原則、特に当該国による強固な主体性を達成するという原則に基づいた貧困削減戦略ペーパーの準備においては、フレームワークのより広範な適用がすでになされていることに留意した。大臣達は、包括的開発フレームワークの実行のさらなる進展に関する報告を期待した。

 

18.IBRD財務基盤:大臣達は、この問題に関する世銀からの改訂された報告をレビューし、世銀の財務が健全であることを確認した。大臣達は同時に、需要が大きく増大した場合に、世銀の財務基盤が対応能力を制約するかもしれないことを認識した。大臣達は、事務局と理事会が世銀の準備金の水準を含めてこの問題のレビューを継続することを要請した。

 

19.世銀/IMFスタッフ:大臣達は、各国政府を代表として、IMF及び世銀スタッフの一貫した精励とブレトンウッズ機関の目標に向けた高いレベルの献身的なサービスに対して謝意を表明した。

 

20.謝辞:大臣達は、チェコ政府及び国民による温かいもてなしと支援に対し、深甚なる謝意を表明した。

 

21.次回会合:委員会の次回会合は、2001年4月30日にワシントンDCで開催される予定。