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第61回世銀・IMF合同開発委員会 日本国ステートメント(平成12年4月17日)

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第61回開発委員会 黒田財務官ステートメント

 

エイズに対する取組みの強化

 エイズ(HIV/AIDS)が知られるようになってから20年しか経過していないが、エイズ感染の広がりは全世界に及び、エイズ感染者の数はこれまでに全世界で5,000万人、死者も1,600万人に上っている。エイズ感染者は途上国に集中(95%以上)しており、この背景には途上国における貧困と所得の不平等がエイズ感染の危険を高め、逆にエイズの感染により貧困がより深刻化するという悪循環がある。また、経済成長に伴う急激な社会の変化や女性の地位の低さもエイズ感染を拡大させる要因となっている。
 エイズ問題は、平均寿命の短縮による家計やマクロ経済への影響、人口構成の変化による社会構造への影響、財政への影響など、広く社会・経済的側面にわたって深刻な打撃を与える。エイズは国境を越えた地球的規模の問題であり、急速な感染の拡大への対応は国際社会にとって喫緊の課題である。日本は、エイズ問題をODA中期政策の重点課題の一つと位置付けており、1994年には「人口・エイズに関する地球規模問題イニシアティブ(GII: Global Issues Initiative on Population and AIDS)」を発表し、UNAIDSに対する1996年以来2,300万ドルを超える拠出も含め、これまでに総額8,800万ドル規模のODAをエイズ対策として実施してきた。
 エイズ問題への取組みに当たっては、途上国自身の努力だけでなく、市民社会・多国間及び二国間ドナー・民間セクターの間で、比較優位にしたがって、緊密な連携を行うことが必要である。その際、エイズはアジア等においても急激な感染者の増加が見られることを認識する必要があり、急速な拡大が食い止められている国や流行初期段階の国に対しても、それぞれの状況に応じた戦略を構築し十分に配慮を行う必要がある。また、エイズに限らず、結核、マラリアなど途上国を中心に深刻な問題となっている感染症は多くあり、これらの問題も開発における重要な課題であることを忘れてはならない。

貿易と開発と貧困削減

 国境を越えた経済取引が益々盛んになる中で、グローバル化の流れに乗って効率性・生産性の向上を達成している国とそれに乗り遅れている国−多くの途上国とりわけ後発途上国−との格差は拡大しつつあり、効果的な開発、貧困削減と持続的な経済成長を実現する上で貿易の重要性は益々高まっている。こうした観点から、我が国は、途上国が多角的貿易体制の下で経済成長や貧困削減を効果的に実現できるよう、新世紀に向け貿易に関する市場アクセスの改善及びルールの強化を目的とする包括的なWTO新ラウンドへの積極的な参加者となることを期待している。
 しかし、途上国が多角的貿易体制に、より積極的に参加し、これが途上国における経済成長と貧困削減に結び付くためには、能力及び制度の構築を行うことが重要な課題である。まず、途上国における貿易を巡る制度の改革やセーフティネットの構築を行うため、個別国の実情に配慮しながら、貿易の問題を包括的な貧困削減戦略の中に明確に位置付ける必要がある。また、世界銀行は、これまでの業務における経験を踏まえ、この分野における世界銀行の果たすべき役割を明確に規定しながら他の国際機関の作業との重複を避けつつ協力して支援を行うことが重要である。

拡充HIPC(重債務貧困国)イニシアティブと貧困削減戦略ペーパー(PRSP)の進展

 拡充HIPCイニシアティブの下で、これまでにウガンダ、モーリタニア、ボリビア、タンザニア、モザンビークの5カ国が決定時点を迎え、債務救済が実施に移されつつあることを歓迎する。
 しかし、2000年末までにできるだけ多くの国が決定時点を迎えることが強く期待されており、今後、拡充HIPCイニシアティブをより一層迅速に実施していくためには、国際社会―二国間及び多国間の債権者及び重債務貧困国―のさらなる努力が必要である。我が国は、拡充イニシアティブの下で、債権国中最大規模の2国間ODA債権の削減を行うこととなっていることに加え、国際機関に対しても、HIPCトラストファンド及びIMFのPRGF-HIPCトラストファンドへの拠出を通じて拡充HIPCイニシアティブの実施に対する貢献を行ってきた。こうした措置に加え、今般我が国は、次のような新たな貢献策を発表した。

  •  第一に、HIPCトラストファンドに対し、既拠出分10百万ドルを含め200百万ドルまでの貢献を行うこととした。
  •  第二に、パリクラブの枠組みに基づいて、非ODA債権の削減を100%に拡充することとした。
  •  第三に、重債務貧困国に対して、無償資金協力の拡充を含む様々な方策により引き続き支援を行っていくこととした。

   今後、拡充イニシアティブを迅速に実施していく上で、

  •  拡充イニシアティブによる債務救済の実施に必要なタイミングで各国際開発金融機関(MDBs)の資金手当てが行われるために、各国の貢献及びMDBsの自己資金の最大限の活用が行われること
  •  債務救済と貧困削減とのリンクを確保するため、重債務貧困国が、世銀・IMFの協力の下、市民社会・ドナー等の開発パートナーの参加を得ながらPRSPの作成プロセスを早急に進めること

等が重要であると考える。

世界銀行のあり方

 世界経済の様々な構造変化に伴い開発援助を巡る国際環境も変化をとげつつある中で、世銀のあり方についても絶えず検討を行うことが重要である。貧困国については、引き続き、制度・人材開発、経済・社会インフラの整備等の広範な支援を行う必要がある。民間資本へのアクセスのある国や外貨準備高が十分あるような国に対する支援については、融資戦略をより選択的に行い、環境・社会セクター向け融資や経済・社会改革支援に焦点を当てるべきであると考える。
 1997年以来、世銀は意思決定権限や職員配置の分権化を相当進展させている。この過程において、借入国との関係は改善してきている一方で、分権化に伴う費用負担や、過度の分権化により世銀がグローバルな機関としての性格を損なうおそれについて懸念も生じている。世銀の将来戦略に向けて、現時点で一度そのコストとベネフィットを見直してみるべきであると考える。
 世銀グループの中で民間部門を担当するIFCについては、民間資金との競合を避け、開発効果の重視を徹底すべきと考える。将来の民間部門戦略のために現在の資本・機構・スタッフィングが適切なものであるかどうかの検討が求められる。