第61回世銀・IMF合同開発委員会 コミュニケ(ポイント)(平成12年4月17日)
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(仮訳) |
| 1.第61回開発委員会は、2000年4月17日にワシントンDCにおいて、タリン・ニマナヘミン・タイ蔵相を議長として開催された。世界中の政府と人々がグローバル化のもたらす機会と急速な変化に直面している中で、国際機関の適切な役割に関する世間での議論が盛んになってきていることを背景に、委員会の議論は行われた。いかに貧困削減への努力を強化し、エイズとの闘いを強化し、貿易の便益を全ての国に広げるかについて議論する中で、大臣達は、世界の進歩・公平・安定のための強い推進力として多国間機関ファミリーを維持し更に強化することに彼らが重要性を置いていることを強調した。 |
| 2.エイズ(HIV/AIDS)に対する行動の強化:大臣達は、すでにおよそ5000万人に感染したエイズの流行が、単に大変深刻な保健上の問題や人々の大きな苦痛の原因であるにとどまらず、開発の進展自体への深刻な脅威であることを強調した。大臣達は、エイズが経済成長、統治、人的資本、労働生産性及び投資環境を弱め、これにより開発および貧困削減の基盤を害することを認識した。大臣達は、エイズの流行がサブサハラ・アフリカの開発に重大な脅威となっているだけではなく、アジアやカリブ諸国においても急速に脅威を増しており、また多くの東欧諸国やその他の地域においても脅威となることが予想されることに留意した。エイズが急速に広がる中で、現在感染率が低い国においてさえエイズ対策プログラムの強化を遅らせれば大変なことになる。 |
| 3.この驚くべき状況に鑑みて、委員会は世界のエイズ危機に対する国際的行動を迅速に強化することを求めた。予防の緊急性と看護と治療に対する膨大な需要を考えると、委員会は、国際的システムの中での各行動主体がその比較優位に焦点を当てることを促す効果的なパートナーシップの重要性を強調した。大臣達は、政府、国際機関、市民社会、メディア、そして製薬産業を含む民間セクターが、既に実施している活動から得られた経験を土台に、その努力を高めることを強く要請した。大臣達は、エイズの流行に対し多部門での取組みを行い、プログラムを国全体に―― 場合によっては地域全体に ――拡大し、サービスの効果的な提供に必要な基礎的保健制度を強化し、より多くの資源を直接地域コミュニティーに供与するために、開発途上国及び体制移行国がエイズと闘うことに対する政治的、経済的コミットメントを増すことを強く要請した。委員会は、先進国及び国際機関がエイズをそれらの開発プログラムの主要事項に位置付け、危機の広がりに対応する規模でより大きな資金的、組織的資源を充当することを促した。大臣達は、この長期的な開発問題への取組みには能力構築への支援が特に重要であることを認識した。 |
| 4.大臣達は、エイズに対する世銀の努力の拡大、特にUNAIDSパートナーシップへの積極的な参加、アフリカのための新たなエイズ戦略、Global Alliance for Vaccines and Immunizations (GAVI)との活動を歓迎した。大臣達は、世銀が、その専門的知見を有する分野に集中しつつ、エイズへの取組みを地球規模で強化することを強く要請し、また、世銀とIMFが、貧困削減戦略及びHIPCイニシアティブの支援に際しエイズを十分に考慮することを求めた。 |
| 5.貿易、開発および貧困削減:大臣達は、開発と貧困削減のために貿易が非常に重要であることを強調した。大臣達は、加速化し、かつ持続的な成長が貧困を減らすための必要条件であること、より開放的な経済が閉鎖的な経済よりも早く成長する傾向があることに留意した。実証は、先進国および(移行国を含む)開発途上国の双方において貿易制度の更なる自由化から大きな利益が得られることを示唆している。大臣達は、開発途上国の輸出(例えば農業、繊維)の市場アクセスを改善するために、先進国ができる多くのことがあることを認識した。開発途上国は、貿易の拡大が開発と貧困削減を促進するように、適切に順序立てられた対外的に開放を指向した改革を実行する必要がある。大臣達は、最も貧しい国々の過半が世界の貿易システムへの統合に取り残されていることに留意した。これらの国々への市場アクセスの拡大に対する特別な考慮(例えば、包括的で予測可能な無税・無制限の市場アクセスの拡大によって)を含め、追加的な、国内的及び国際的改革が必要である。大臣達はまた、開発途上国が国際市場でのシェアを増やすことを助けるために地域統合が持つ潜在力に留意した。大臣達は、特に開発途上国にとって大きな関心のある問題に取り組む、WTOの多角的貿易交渉の時機を得た開始を強く支持した。 |
| 6.大臣達は、貿易の拡大に向けた国々の努力が、制度、インフラ、社会プログラムにおける必要かつ相互補完的な改革や投資を含む開発の包括的な枠組みに統合されることを国々が確保すべきであることを強調した。大臣達は、各国の貧困削減戦略にますます反映されている、こうした努力を支援するため、世銀とIMFがそのプログラムを活用するとのコミットメントを支持した。大臣達は、改善された「後発途上国への貿易関連支援のための統合枠組み」を通じたものを含む、貿易のための能力構築の効果的プログラムの開発に、世銀、IMFおよびWTOが他の関係者と協力することを繰返し求めた。委員会は、貿易政策と交渉のための国内的能力の構築を含め、貿易に関連した基盤や制度を改善するためのより大きな資金的、技術的支援を供与することにより、また、とりわけ開発途上国の輸出に対する貿易障壁、ウルグアイ・ラウンドの実施において開発途上国が直面する問題、及び貿易と貧困の複雑なつながりに関する強化された研究プログラムを実施することにより、世銀が貿易をその国別支援プログラムの主要部分とすることを強く要請した。 |
| 7.重債務貧困国イニシアチブ(HIPC):大臣達は、前回の会合で委員会が支持した拡充されたHIPC枠組みの実施上の進展について留意した。5つの国――ボリビア、モーリタニア、モザンビーク、タンザニア、ウガンダ――が、これまでにこの新たな枠組みの下で決定時点に到達し、HIPCイニシアティブの下でコミットされた債務救済の合計は140億ドル以上となった。さらに、今年、世銀とIMFの理事会によって、15カ国までが追加的に検討される。大臣達は、出来る限り速やかにHIPC債務救済の供与と関連する貧困削減戦略が前進するように、HIPC適格国の政府が、健全な政策の追求と効果的な改革プログラムの実施につき、世銀、IMFおよび他のパートナーと緊密に作業を継続することを促した。委員会は、拡充されたHIPCイニシアティブと新たな貧困削減戦略アプローチの効果的な実施を促進するために、世銀とIMFが合同実施委員会(joint implementation committee:JIC)を設立したことを歓迎した。 |
| 8.大臣達は、現在、過半の多国間機関の意思決定機関により、拡充された枠組みへの参加が承認されたことを評価した。しかし、大臣達は、イニシアティブ実施の成功はそれら機関の全ての債務救済コストに見合う適切な資金手当てが時機を得て確保されていることに依存することを認識した。これらの機関は、この目的のため可能な限り大きく自己資金を活用することが促されたが、大臣達は、多くの多国間機関が緊急に追加的な二国間支援を必要としていることを認識した。大臣達は、9月以降に表明されたものを含め、ドナーによる資金支援の意思表明・コミットメントを歓迎し、これらの意思表明ができる限り早く実際のコミットメントとなるよう強く要請した。大臣達はまた、これらの意思表明をもっても、イニシアティブがなお資金不足にあることを認識した。いまだ貢献を行っていないドナーは、HIPC信託基金に寛大な貢献を行うよう要請された。大臣達は、債務救済によりIDAなど譲許的制度からの資金を犠牲にしないことを確保する必要性を繰り返した。大臣達はまた、例外的な場合には柔軟性が必要であることを認識しつつ、全ての二国間債権者が拡充イニシアティブでの救済の供与に完全に参加するという原則の重要性を繰り返した。 |
| 9.貧困削減戦略:大臣達は、貧困削減戦略アプローチの実施の進展を歓迎した。前回の会合において、委員会は、このアプローチは、債務救済、及びより一般的には外部からの支援、及び貧困削減とのリンクを強化し、世銀とIMFの全ての譲許的融資の貧困への焦点を拡充するための手段として支持した。大臣達は、低所得国の多くの政府が、透明で参加型のプロセスを通じて、公平な成長、統治と腐敗、そして制度と能力の構築のような貧困に取組む上での主要な問題に応える、国が主体となった包括的な戦略の作成を開始したことに留意した。大臣達は、政府がより包括的な貧困削減戦略を準備する間に、HIPC債務救済と譲許的融資の供与を可能にする暫定戦略の作成と実施のために政府が講じてきた行為を歓迎した。 |
| 10.このアプローチが低所得国を支援する新たな方法を内包することを認識し、大臣達は、IMFと世銀がPRSP(貧困削減戦略ペーパー)プロセスを支援するため適切な資源を割り当てることを強く要請した。両機関は、マクロ経済政策および財政政策と統合された、完全な貧困削減戦略を作成するため、加盟国や他の開発パートナーと協調しながら作業を継続することを強く要請された。これらの戦略は、国際開発目標に関連したものを含む、限られた数の明確で、現実的で計測可能な成果目標へ集中することを含め、実施が進む中で得られた教訓を盛込むべきである。貧困削減戦略は主要なものと位置づけられる必要があるため、大臣達は、それが充分に国の予算周期に統合されるべきことを強調した。大臣達はまた、技術支援と資金の双方を含め、このアプローチを成功させるために必要な、国レベルでの統計と他のデータ、及び分析技能を改善するための更なる努力の重要性を強調した。さらに、大臣達は、二国間及び多国間の機関が、政府が戦略の準備を行うのを支援するよう促した。これらの機関はまた、これらの戦略が実施に移されるに伴い、それぞれの支援プログラムを戦略により連携させることを目的に、これらの戦略の設計の議論に参加することが促された。これによりドナー間の協調が強化され、開発途上国政府への過度な負担が軽減されることとなる。 |
| 11.小国に関する英連邦事務局/世銀合同タスクフォースのレポート:大臣達は、多くのより大きな国々も小国と同じ性質をいくつか、あるいは全て共有することに留意しつつ、小国を特に脆弱ならしめる小国の特別な性質に関する開発委員会へのレポートとその分析を歓迎した。大臣達は、小国の開発の課題への取組みは、正しい国内政策と継続的な外部からの支援、そして可能であれば、外部環境の改善の組み合わせとなるというレポートの結論に留意した。大臣達はまた、多国間の貿易・金融・開発の機関における政策やプログラムにおいて、小国の環境が考慮されるべきというレポートの勧告に留意した。委員会は、レポートに述べられている、世銀およびIMFの将来の小国に関する業務プログラムに対する提案を支持し、これらの行動が、小国が開発課題へ対応するのを助けるのに貴重な貢献をし得ることに合意した。 |
| 12.国際金融アーキテクチャー―世銀の役割:大臣達は、危機への脆弱性を軽減する行動や政策が開発の成功をも支援することに留意しつつ、将来の金融危機のリスクを軽減し、影響を緩和するための国際的な努力に世銀が継続的に貢献していることを歓迎した。委員会は、金融セクター評価プログラム、基準と規則の遵守に関するレポート、債務管理に関する作業に関し、世銀とIMFとの間で培われた緊密な協調を歓迎した。大臣達は、世銀がこの評価を、能力構築のための支援の設計、実施、動員に体系的に利用することを促した。 |
| 13.IBRDの財務基盤:大臣達は、この問題に関する世銀の最新のレポートをレビューし、世銀の財務が依然健全であることを確認した。大臣達は同時に、世銀の財務基盤が将来の需要に対応する能力をどこかの段階で制約するかも知れないことを認識した。大臣達は、事務局と理事会がこの問題のレビューを継続し、定期的に委員会に報告し続けることを要請した。 |
| 14.次回会合:委員会の次回会合は、2000年9月25日にチェコ共和国のプラハで開催される予定。 |
