第60回世銀・IMF合同開発委員会 コミュニケ(ポイント)(平成11年9月27日)
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(仮訳) |
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第60回開発委員会は、1999年9月27日にワシントンDCにおいて、タリン・ニマナヘミン・タイ蔵相を議長として開催された。
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重債務貧困国イニシアティブ(HIPC)およびIDA、ESAFプログラムの貧困への焦点の強化:大臣達は、1999年のHIPC イニシアティブの見直しが、透明かつ参加型の方法で行われたことに対し、世銀、IMFへの評価を表明した。彼らは、HIPCイニシアティブの下での債務救済をより深く、より広く、より早いものとするように設計する諸提案を進展させる中で市民社会が果たした重要な役割を歓迎した。
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大臣達は、――資金確保を条件に――健全な政策を追究し改革にコミットしている国々のためにHIPCイニシアティブの枠組みを拡大することを支持した。この文脈において、彼らは(i)持続不可能な債務からの恒久的な脱却に向けたより大きな安全クッションと増大した見込みを提供するため、持続可能とされる債務の基準を引き下げること、(ii)暫定期間内の支援を通じてより早期の債務救済を供与すること、(iii)評価の焦点をトラック・レコードの長さから積極的な達成および結果に移す変動完了時点を導入すること、(iv)結果として生じる債務救済が見込まれる国数の増加、への支持を表明した。
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大臣達はまた、債務救済だけでは貧困削減という目標を達成するためには不十分であることを認識しつつ、債務救済と貧困削減のリンクを強化するために提案された枠組みを支持した。この文脈において、彼らは、世銀及びIMFスタッフとの緊密な協力の下で各国当局によって用意される、貧困削減戦略ペーパーの提案を歓迎した。彼らは、貧困ペーパーが決定時点までに用意されるべきこと、移行期において貧困ペーパーに関する合意がないまま決定時点に到達することが有り得ることを認識しつつ、しかし、全てのケースにおいて完了時点までには貧困削減戦略の実行における明白な進展が要求されることを強調した。
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大臣達はまた、貧困への焦点を強化する同じアプローチを全てのIDAおよびESAFが支援するプログラムに適用し、かつ両機関の協力を強化する、という世銀およびIMFの提案を歓迎し、支持した。委員会は、新たな貧困ペーパーで策定される戦略が、各国の主導であるべきこと、市民社会、主要支援国、地域開発銀行を含む関連する機関、全ての関係者の幅広い参加を得つつ透明な形で作成され、合意された国際的な開発目標――包括的開発フレームワーク(CDF)に埋め込まれている諸原則――と明確なリンクを持つべきであることを強調した。彼らは、特に、長期的な貧困削減に貢献するようなマクロ経済、構造・社会政策を展開する必要性、及び進展を監視するための計測可能な中間および結果の指標を開発する必要性を強調した。大臣達は、汚職を防ぎ、財政支出に対しより効果的な監視と質的管理を提供する枠組みを構築するに際し、HIPCの実施において良い統治が果たす重大な役割を強調した。大臣達は、世銀とIMFに対し、当該国の能力上の制約を認識しつつ、それぞれの使命と専門性に合った形で、貧困削減戦略の策定する中で必要とされる社会構造とマクロ経済政策を結び合わせるための、あらゆる可能な支援を各国に供与するよう要請した。貧困ペーパーは、低所得国向の全てのIDA・IMFの融資のための基礎を提供するものである。大臣達はまた、地域開発銀行および支援国もその支援の指針として貧困ペーパーを利用することを促した。
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大臣達は、国々の貧困削減努力を支援するという目標をより際出させることを目指したESAF改革の提案および同ファシリティーの貧困削減・成長ファシリティーへの名称変更の提案を歓迎した。新たなアプローチが世銀およびIMFの貧困と闘う業務において実際的な変化を含むこと、個々の国の状況に合わせて作られたアプローチを取りまた初期の事例の経験から素早く学ぶ必要があることを認識しつつ、委員会は、世銀総裁とIMF専務理事の効果的な実行へのコミットメントを強く歓迎した。大臣達は、達成された進展に関する報告を受けることを期待した。
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大臣達は、拡充されたHIPCイニシアティブの枠組みを、(i)債務救済の追加性、(ii)多国間金融機関の財務の健全性の維持、(iii)多国間機関の費用を含め、公正かつ公平なバーデンシェアリングの重要性、を含む、創設以来このイニシアティブを指導してきた諸原則に基づきつつ実施することの重要性を再確認した。彼らは、債務救済のための資金手当てが、IDAなどの譲許的手段を通じたファイナンシングを損なうべきでないことに合意した。大臣達は、これまでなされたHIPCイニシアティブへの多くの貢献、およびイニシアティブのファイナンシングのため自らの財源から資金を供与するため国際開発機関によってなされた努力に評価の意を表明した。大臣達は、これらの機関の殆どが、提案された拡充の枠組みから生ずる追加費用を賄いイニシアティブの迅速な実施を可能とするために、緊急に二国間支援を必要としていることを認識した。委員会は、IMFのHIPCイニシアティブへの参加および低所得加盟国の成長と貧困削減のための継続されるIMFの譲許的融資に関する合意を歓迎する。
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大臣達はまた、上記原則を尊重した国際開発金融機関への資金手当て計画の諸要素に関する合意を歓迎した。これは、拡充されたHIPCの枠組みを始めさせ、遡及国および近い時期にかけて決定時点に到達することが予想される国に対し債務救済を届けることを可能とする。彼らは、世銀に対し、長期にかけてのHIPC債務救済へ適正な資金動員がなされることを確保すべく、支援国や他の国際開発金融機関と緊密に作業を続けることを求めた。
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大臣達は、また、商業債権に関し純現在価値で90%まで、必要があればそれ以上という追加的債務削減、ODA債権に関し全額放棄を含めた二国間での追加的救済を供与することにより、拡充された枠組みの下での債務救済を増加させる、パリクラブの合意を歓迎した。
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大臣達は、今日まで14ヶ国が本イニシアティブの下で検討されたことを、うち4ヶ国が完了時点に到達したことも含め、留意しつつ、本イニシアティブ実施において続いている進展を歓迎した。委員会は、2000年末までに可能な限り多くの国が本イニシアティブ下で支援を受けられるよう、拡充されたイニシアティブの迅速な実施を強く要請した。
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IBRD資本充実:大臣達は、世銀理事会と世銀当局が現在行っているIBRDの財務能力を維持し支持するための選択肢に関する議論についての世銀の報告書をレビューした。委員会は、世銀の財務は依然健全であるという報告書の結論に同意した。大臣達は、特に世界の金融環境が悪化した場合に、世銀の財務基盤が将来の世銀の対応能力を制約するかもしれないことも認識した。大臣達は、世銀当局および理事会に対し、世銀がその使命の範囲で借入国の開発ニーズに応えることを可能としつつ、その財務の健全性を維持するのに必要な財務基盤の水準を引き続き検討するよう要求した。大臣達は、これらの問題について世銀が定期的に委員会に報告することを要請した。
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開発途上国、体制移行国と国際貿易の課題:委員会は、効果的な開発と貿易政策がますます相互に連関してきていることに留意した。彼らは、貿易が、開発、貧困緩和及び持続的な世界経済の回復にとり重要であることを強調した。大臣達はまた、貿易交渉の次期ラウンドが、途上国および移行国、特に後発途上国に、早期かつ十分な利益をもたらす必要があることを強調した。このためには、改善された市場アクセスと貿易障壁のさらなる削減が求められる。彼らは、途上国および移行国が成長や貧困削減のために国際貿易制度を効果的に利用するためには、彼らが貿易交渉の次期ラウンドへの積極的に参加する必要があることを強調した。大臣達は、世界貿易機関(WTO)のマイク・ムーア新事務局長のこの目標達成へのコミットメントを歓迎し、世銀、IMF、WTO、UNCTADおよびその他の機関に、途上国および移行国が交渉の新ラウンドに参加する能力を構築することを支援するよう要請した。委員会は、「後発途上国への貿易関連技術支援のための統合枠組み」を含め、貿易に関する能力構築の効果的なプログラムを開発するために、世銀、IMF、WTOが相互に協力することを求めた。世銀は、特に、貿易政策や交渉に関与する国内機構の能力構築を支援し、途上国の輸出への貿易障壁に関する調査を行い、貿易関連のインフラおよび組織の改善に対する資金的および技術的な支援を行うことができる。
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国際金融システム強化への世銀の支援:大臣達は、金融危機のリスクと厳しさを減らし、危機が発生した場合の途上国の脆弱性を小さくするよう国際金融システムの強化を助けるために世銀グループが果たしている役割を歓迎した。委員会は、国レベルでの世銀の主な焦点が、危機の防止という目的からみて、途上国がその国内金融市場を強化しグローバルな金融システムと統合することを支援することにあるべきことを強調した。これは、途上国が脆弱性の構造的、社会的要因を克服し、必要な政策と組織能力を構築することを支援することを通じて行われる。大臣達は、課題の広さ複雑さを考慮し、世銀とIMFが他の国際機関とパートナーシップを構築しつつ、比較優位のある分野に焦点を絞ることを促した。大臣達は、金融セクター評価に関する世銀/IMF共同プログラムおよび世銀の社会・構造レビュー・プログラムの進展を歓迎した。彼らはまた、関心を持つ国が一連の国際規範および良き実践の実施の進展を国の状況の違いに適切に配慮しつつ評価することを支援することに関し、IMFとより拡充された協力を行うという提案を歓迎した。委員会は、世銀が引き続き途上国の経験と視点を国際的議論の場に提供することを促した。この文脈において、彼らは、OECDとの協力により打ち出された企業統治に関するグローバル・フォーラムの設立、および破産、会計、監査に関する作業において世銀の果たす役割に留意した。
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大臣達は、世銀が途上国の社会的な問題につき支援していること、また、危機の社会的側面の管理および社会政策の良き実践に関する世銀の報告を歓迎した。彼らは、世銀がこの作業を継続し、各国の貧困削減努力の支援にそれを利用することを促した。世銀は、経済ショックの社会的コストを予防・緩和し最も脆弱な人々を守るよう、組織を構築し政策を実施することに努めている国々を支援するため、良き実践の知識を蓄積し普及させるべきである。
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大臣達は、世銀とIMFの間の強化された協力のレベルをより良く反映し、また両委員会の議題の重複を減らすため、開発委員会および暫定委員会の作業を強化するために取られた措置を歓迎した。彼らは、世銀とIMFがこの分野における経験のレビューを継続することを促した。
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次回会合:委員会の次回会合は、2000年4月17日にワシントンDCで開催される予定。
