「アジア通貨危機支援に関する新構想(新宮澤構想)」に関するQ&A |
Q1. | 新宮澤構想の内容を簡単に説明して下さい。 |
A1. | 通貨危機に見舞われたアジア諸国の実体経済は困難な状況におちいりました。一方で、経済のグローバル化が進む中、アジア諸国と我が国との結び付きはますます強くなってきていました。このような状況の中で、通貨危機に見舞われたアジア諸国の経済困難の克服を支援し、国際金融資本市場の安定化を図るため、我が国として早急に支援策を講じていく必要がありました。そのため、アジア諸国の実体経済回復のための中長期の資金支援として150億ドル、これらの諸国が経済改革を推進していく過程で短期の資金需要が生じた場合の備えとして150億ドル、合わせて全体で300億ドル規模の資金支援スキームを用意したものです。 |
Q2. | アジア通貨危機はどうして起こったのですか。 |
A2. | 97年夏以降にアジア諸国の通貨・経済の変動が生じた原因については、各国の状況によって必ずしも一概には言えませんが、近年の為替の過大評価と、これに伴う経常収支赤字の拡大、海外から流入した資金が不動産セクター等に急激に流入する国があったことなどから、市場の信認が低下し、短期の資本が急速に流出したことが挙げられます。 |
Q3. | 日本経済がこれだけ厳しい時に、なぜアジアの国々を支援しなければならなかったのですか。 |
A3. | アジアの国々は歴史的・地理的に我が国と深いつながりがあります。また、経済的にもグローバル化が進む中で、アジア地域の経済が上向けば日本経済にとってもプラスに働いたり、逆に、アジア地域で社会不安が起これば、それが市場を通じて瞬時に他のアジア諸国の経済に波及するなど、我が国にも甚大な影響を及ぼすようになってきています。このような国際環境の中で、もちろん国内の人々の生活向上を図ることは非常に重要ですが、同時に諸外国の支援もバランスよく行っていくことが重要です。経済大国である日本に対しては、国際的にも国力にふさわしい貢献が強く求められており、特に我が国と結び付きの深いアジアの国々に対する支援は大変重要です。 |
Q4. | 新宮澤構想は1997年に議論されたアジア通貨基金構想とどう違うのですか。 |
A4. | 1997年に議論されたアジア通貨基金構想は、通貨の安定に焦点を当てたマルチ(多国間)の支援スキームが想定されていました。1998年発表された新宮澤構想は、通貨危機に見舞われたアジア諸国の経済困難の克服を支援し、国際金融資本市場の安定化を図るといった実体経済面に着目した、日本によるバイ(二国間)の支援を中心としたスキームです。 |
Q5. | 新宮澤構想による支援は具体的にはどう使われているのでしょうか。 |
A5. | 新宮澤構想による支援は、通貨危機に見舞われたアジア諸国が、実体経済回復へ向けて、 民間企業債務等のリストラ策及び金融システム安定化・健全化対策、 社会的弱者対策(ソーシャル・セーフティー・ネットの拡充、強化)、 景気対策(雇用促進的な公共事業の推進等)、 貸し渋り対策(貿易金融の円滑化支援、中小企業支援)、 といった施策を講ずるために必要な資金調達を支援するために使われます。 このような支援は、個別国の事情に合わせ、各国の経済改革への取組みを踏まえて行う性質のものです。 |
Q6. | 300億ドルは我々の税金から支払われるのですか。 |
A6. | 300億ドルの支援の中で他の国への贈与の形をとるものはなく、その大部分は貸付けであって、いずれは我が国に返して頂くお金です。 |
Q7. | アジア諸国は新宮澤構想をどう評価していますか。 |
A7. | 新宮澤構想は、1998年10月3日に行われたアジア蔵相・中央銀行総裁会議において表明されましたが、同会議の席上で日本のイニシアティブを歓迎する旨の声明が出されました。また、米国や国際金融機関も新宮澤構想を評価しています。 |
Q8. | もっと詳しく知りたいのですが…。 |
A8. | 新宮澤構想の詳細については本ホームページに掲載されています。「アジア通貨危機支援に関する新構想(新宮沢構想)(1998年10月3日)」ファイルをご参照下さい。その他新宮澤構想に関するご質問はか財務省国際局開発政策課(tel:3581-4111(内線2869))までお問い合わせ下さい。 |
Q9. | (旧)宮澤構想というものもあるのでしょうか。 |
A9. | 1988年に、当時の宮澤蔵相がトロント・サミット蔵相会合で提案した、中所得債務国向けの債務救済スキームのことを(旧)宮沢構想といいます。 従来、IMFは1~2年の短期プログラムを行っていたのに対し、この構想は債務国の成長を視野に入れた中期的な構造調整プログラムの実行を前提に、IMFが中心となって債務国の資金フローを強化するというもので、本構想につき様々な場で議論が行われましたが、合意には至りませんでした。 |