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(日越共同プレス・リリース)

 

日本政府のベトナム経済改革支援について

1999年5月16日

 

1.

 5月16日、宮澤大蔵大臣は、日本政府のベトナム支援について政策協議を行うためハノイを訪問し、ファン・バン・カイ首相と会談を行った。この会談は、5月13日にカイ首相からの小渕総理宛書簡において、ベトナムの経済改革を実施するために必要な支援を要請したことを受けて行われたものである。
この会談において、ファン・バン・カイ首相は宮澤大蔵大臣に対して、ベトナム経済の改革を更に進めていくこと、特に様々な分野における経済発展を図るための民間セクター育成プログラムの策定・実施、大規模国営企業の監査及び非関税障壁の関税化という3つの政策を実施することを明らかにするとともに、これらの経済改革を実行するための日本政府の支援を要請した。(今回、日越両国間の政策協議においてベトナム政府から日本政府に対して示された政策コミットメントの概要は別添の通り。)

2.

 宮澤大蔵大臣はファン・バン・カイ首相に対して、今回の日本政府との政策協議において示されたベトナム政府の真摯で前向きな姿勢を高く評価するとともに、日本政府として、「新宮澤構想」と同様の考え方の下、その延長として、ベトナム政府の改革努力を積極的に支援するために、200億円の円借款(「経済改革支援借款」)を供与する用意がある旨表明した。また、宮澤大蔵大臣は、日本政府としては、ベトナム政府との政策協議を今後とも継続し、引き続き更なる支援を検討する用意がある旨伝えた。
3.
 ファン・バン・カイ首相は、ベトナムの経済状況等に対する日本政府の理解、及びベトナム政府の経済改革に対する今回の日本政府の支援について深く感謝する旨述べた。宮澤大蔵大臣からは、民間セクター育成プログラム及びその具体的なアクション・プランが早期に策定され、積極的な民間セクター育成策が実施されることを強く期待している旨述べた。
4.
 最後に、ファン・バン・カイ首相及び宮澤大蔵大臣は、今回の日越両国間の政策協議に基づいたベトナム政府の経済改革に対する日本政府の支援は、日越両国関係の今後の更なる発展に大きく貢献するものであるとの考えで一致した。  

 


 

(別添)

1.

 ベトナム政府は、1999年7月までに、下記の内容を含む民間セクター育成プログラムを策定・公表する。

(1)

 民間セクター育成のための一般原則

(2)

 金融環境の改善
  • 民間企業に対して資金を提供する新しい信用ファシリティの創設
  • 民間中小企業に対する部分信用保証スキームの創設
  • 担保制度の改善等

(3)

 ビジネス環境の改善
  • 民間企業に対する参入障壁の除去
  • 関税制度の改善
  • 外国企業のビジネス環境の改善
  • ルールの透明性の向上と手続きの簡素化等

(4)

 民間セクター育成のための組織の強化

2.

 ベトナム政府は、大規模国営企業100社について、国際会計基準に基づく、国際的な水準に達した独立監査法人による分析的な監査を早急に開始する。

3.

  ベトナム政府は、非関税障壁の関税化を行うとともに、関税化スケジュールの前倒しを図り、また国内産業の保護のためWTOルールと整合的な新しい手段を導入する。ベトナム政府は、具体的な関税化スケジュールについて、日本政府、国際金融機関、及び他のドナーと引き続き協議を行う。