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議長サマリー(2016年5月24日)

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G7財務大臣・中央銀行総裁会議の議長国として、美しい都市・仙台に我々の同僚を迎えられたことは光栄であった。我々は、仙台の人々の温かいもてなしに感謝する。

二日間にわたる会議において、我々は、広範な議題について建設的かつ深みのある議論を行った。我々は、マル1世界経済の再興、マル2強靭な国際金融アーキテクチャの構築、マル3持続的かつ包摂的な開発、マル4国際的な金融フローの健全性の促進、の4つのテーマに焦点を当てた。我々は、昨年の同様のイベントの成功をもとにシンポジウム「世界経済の将来」を開催し、著名なエコノミストの方々の参加を得て、我々の議論を刺激し、豊かにしていただいた。我々は、オリビエ・ブランシャール氏、マーティン・フェルドシュタイン氏、アンヘル・グリア氏、伊藤隆敏氏、クリスティーナ・ローマー氏、ディビッド・ローマー氏、ロバート・シラー氏、植田和男氏に感謝する。

我々は、東日本大震災とそれに続く津波によって大きな被害を受けた地域を訪問した。我々は、東北地方が2011年の3月以来経験してきた目覚ましい復興に勇気づけられるとともに、我々の結束を再確認した。議長国日本は、国際社会による援助に感謝を表明した。


○世界経済の再興

世界経済の回復は続いているが、成長は緩やかで、潜在成長を下回っている。我々が昨年ドレスデンで会合して以来、世界的な見通しへの不確実性は増しており、一方で地政学的な紛争やテロ、難民問題や潜在的なイギリスのEU離脱のショックによって、世界経済の環境は複雑になっている。こうした問題意識のもと、我々は、強固で持続可能かつ均衡のある成長経路への迅速な回帰に貢献すべく、各国の状況に配慮しつつ、より効果的で均衡のとれたポリシーミックスのあり方について議論を行った。我々は全ての政策手段―金融、財政及び構造政策―を、個別にまた総合的に、相互補完的に動員するという、我々のコミットメントを再確認した。

我々の中央銀行は、そのマンデートと整合的に、非伝統的な政策等を通じて、経済の回復とディスインフレを克服することへのコミットメントを再確認した。

我々は強靭性を高め、債務残高対GDP比を持続可能な道筋に乗せることを確保しつつ、経済成長、雇用創出及び信認を強化するため機動的に財政政策を実施することの重要性に合意した。我々はまた、支出項目の優先順位付け等を通じて、税制及び公共支出をできるだけ成長に配慮したものにする重要性に留意した。

我々は、成長を高める構造改革を進めることで、人口動態上の問題をはじめとする構造的な課題に対処するうえでG7が模範を示すべきであることに合意した。我々は、女性、若者、そして、高齢者の労働市場への参加を促進させ、雇用機会と雇用の質を改善することに合意した。

我々は、為替レートを目標とはしないことや、為替レートの過度の変動や無秩序な動きは経済及び金融の安定に対して悪影響を与え得ることを含む、G7の以前の為替相場の合意を再確認した。我々は、全ての国々が、通貨の競争的な切り下げを回避する重要性を強調した。


○強靭な国際金融アーキテクチャの構築

我々は2010年のIMFクォータ・ガバナンス改革の発効を歓迎した。我々は、現時点でIMFが必要なリソースを欠いている状況とは考えていないが、中期的にIMFが十分な資金基盤を維持することの重要性を確認した。

我々は地域金融アレンジメントの多様性を尊重しつつ、特に地域金融アレンジメントとIMFの連携を通じ、グローバル金融セーフティネットの規模の十分性及び一体性を確保することの重要性に合意した。この観点から、CMIM(チェンマイ・イニシアティブ)とIMFとの対話を促進する具体的な取組についても意見交換を行った。

我々は昨年来の国際的な資本フローの変動の高まりを踏まえ、特に新興国における資本フローの変動に対処する政策手段と枠組みの見直しについて、G20により精力的に行われている作業の進捗を歓迎した。


○持続可能かつ包摂的な開発に向けて

・質の高いインフラ
持続的な成長と包摂的な開発を実現するため、我々は質の高いインフラ投資を推進していくことを確認するとともに、質の高いインフラについて国際的な共通理解を増進すべく首脳間でもさらなる議論を行っていくことで一致した。我々は質の高いインフラ投資促進のため、国際開発金融機関による価格に見合った価値(Value for Money)や質の観点を考慮した調達制度の導入・実施が重要であることで一致した。

・国際保健
エボラ出血熱の教訓に鑑み、我々は、大規模な公衆衛生危機に備えるためには、緊急時の危機対応の強化と、危機予防・備えにも資する平時からのユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)の推進とを組み合わせた包括的な保健システムの構築が重要であるという点を確認した。また我々は、世界銀行によるパンデミック緊急ファシリティ(PEF)の進展を歓迎した。日本はPEFに対して3年間で5000万ドルの貢献を表明した。

・難民問題への対応
我々は、難民問題に関して、足元の人道支援から復興・開発まで切れ目のない支援を、国際社会が一体となって取り組むべき課題であるとの認識を共有した。我々は、本年4月、世界銀行、国連、イスラム開発銀行が主導し、中東・北アフリカ(MENA)諸国、ドナー国、国際機関が協働して、MENA資金イニシアティブが設立されたことを歓迎した。我々は、国際開発金融機関やドナーが、(ローマ数字小1)難民の脆弱性を緩和し、(ローマ数字小2)難民受入コミュニティによる対応を支援し、(ローマ数字小3)難民の根本的原因に対処するため取り組むことを期待する。我々は、世界銀行グループ内で、難民受入国支援のツールキットを拡大する新たなプラットフォームを開発するための議論が行われることを奨励する。

・税と開発
我々は、途上国の投資環境を整備し、公平な競争条件をグローバルに整えるために、途上国の税制や税務行政に関する能力強化が必要であることについて合意した。この目的を達成するため、我々は、関係国・関係国際機関との協調を一層深めることにより、この分野の支援の量と質をともに高めていく。
この観点から、我々は、「アジス税イニシアティブ」の原則にコミットし、IMF、OECD、国連及び世界銀行グループが共同で立ち上げる「税に関する協働のためのプラットフォーム」を積極的に活用していくことに合意した。このプラットフォームには、途上国、先進国及び関係機関が定期的に情報や知見を共有できる機会を提供することが期待される。


○国境を越えた金融フローの健全性の促進

・税と透明性
我々は、過度なタックスプランニング、脱税及びマネーロンダリングを含む、「パナマ文書」の流出により浮き彫りとなった問題について議論を行った。

我々は、人々の税システムへの信頼を回復し、公平な競争条件をグローバルに達成するために範を示し、G20/OECD BEPSパッケージの着実で一貫した足並みを揃えた方法での実施を主導するというコミットメントを再確認した。BEPSパッケージの広範な実施を確保する観点から、我々は、BEPS合意の実施にコミットする全ての関係・関心のある国・地域に対し、6月に京都で開催される包摂的枠組みの第1回会合への参加を奨励することに合意した。我々は、税の透明性に関する国際基準を、「税の透明性に関する非協力的地域を特定するための客観基準」や非協力的地域に対して検討され得る防御的措置を含むその実効性を確保する措置とともに実施することの重要性を再確認した。この点について我々は、最近バーレーン、レバノン、ナウル、パナマ及びバヌアツが「共通報告基準」の実施にコミットしたことを歓迎した。

我々は、法人や法的取極めの悪用を防止するため、これらの実質的所有者の透明性を改善することの重要性に合意した。我々は、各国が、過去のG7やG20首脳会議で示されたコミットメントに従って実質的所有者に関する個別の行動計画を着実に実施することが重要であることに合意した。我々は、10月のG20におけるFATF及び税の透明性と情報交換に関するグローバル・フォーラムによる初期提案が、実質的所有者の透明性の向上に貢献するよう、議論を継続する。

・テロ資金対策
テロ資金供与との闘いは、引き続き、G7が協力して取り組むべき最優先課題の一つである。こうした考えに基づき、我々は、テロ資金供与による国際金融システムの濫用を防止する観点から、テロ資金対策に関するG7行動計画(別紙参照)を公表した。この行動計画は、(ローマ数字小1)情報交換の促進、(ローマ数字小2)決済手段への規制を含む予防的措置の検証、(ローマ数字小3)対象を特定した金融制裁措置における協調、及び(ローマ数字小4)FATFネットワークの強化への支持を含む、具体的な行動を定めている。

・金融規制
我々は、G20金融規制改革の課題を、持続的な成長の達成という我々の目標との整合性を確保しつつ、完全、整合的かつ適時に実施するというコミットメントを再確認した。我々は、継続中の作業の主要な要素を最終化する必要があることを再確認した。我々は、銀行セクターにおける資本賦課の全体水準を更に大きく引き上げることなく、バーゼルローマ数字3枠組みの一貫性を確保し、有効性を最大化するため、その枠組みの要素を改良するバーゼル委員会の作業に対する支持を再確認した。我々は、関連する改革の複合的な影響及びセクターを越えた相互作用を含む、G20金融規制改革の影響分析を向上させるためのFSB(金融安定理事会)及び基準設定主体による作業を歓迎し、規制改革の実施及び影響に関するFSBの第2回G20向け年次報告を期待する。我々は、技術的に可能となった金融イノベーションの金融の安定性及び市場の健全性に対する潜在的な影響に留意しつつ、それらイノベーションの便益を享受することが重要であることを強調した。我々は、金融分野におけるG7サイバー専門家グループの作業を歓迎した。我々は、G20/OECDのコーポレート・ガバナンス原則の効果的な実施に対する支持を確認し、その原則の評価メソドロジーの策定を期待する。