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第11回ASEM財務大臣会合 声明(2014年9月12日、イタリア・ミラノ) 

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  1. 第11回ASEM財務大臣会合は、2014年9月12日にイタリア・ミラノにて開催され、ASEM加盟49カ国の財務大臣とその代表者、欧州委員会(EC)が参加した。会合には、クロアチアの財務大臣、国際通貨基金(IMF)、世界銀行(WB)、世界貿易機構(WTO)、欧州中央銀行(ECB)、欧州開発銀行(EBRD)、欧州投資銀行(EIB)、欧州安定メカニズム(ESM)、経済協力開発機構(OECD)、アジア開発銀行(ADB)、ASEAN+3マクロ経済リサーチ・オフィス(AMRO)も招待客として出席。

  2. 伊・パドアン経済財政大臣は、ASEM財務大臣会合の出席者を歓迎。また、同大臣は、冒頭発言において、ASEM加盟国間で生まれる多くの相乗効果の経済的重要性を強調するとともに、成長を回復するために欧州とアジアの両地域が協働し、雇用を市民の期待する段階まで向上させるとともに、個別的・集合的なマクロ経済面・金融面の強じん性を支えることを通じて将来の危機の可能性を低下させることを要請した。また、更なるグローバル化に伴って域内の利益を最大化するために、金融面や貿易面におけるアジアと欧州の連携を強めていくことを希求した。

  3. ASEM財相は、持続可能かつ均衡のとれたより強固な世界経済の成長を確保し、雇用を迅速かつ持続的に構造的レベルまで回復させるという究極的な目標に則り、貿易・投資の流れを促進する連携の強化を通してアジア・欧州地域の成長と生産性を向上させる必要性を強調し、「持続可能かつ利益をもたらす成長を遂げるための新戦略的連携」のテーマに基づいた様々な共通の関心事項について、包括的かつ実り多い議論を行った。

  4. 経済・金融面の進展と欧州とアジアの経済の見通し

  5. ASEM財相は、欧州とアジアにおける最近の経済・金融面の進展について意見を交換した。世界経済の成長は依然として脆弱で下方リスクも残存しており、ASEM財相は、欧州経済の回復は2014年後半も依然として弱くなる可能性が高いことに留意した。中期的により強固な成長を遂げる状況を創出するために、健全な経済政策を着実に実施していくことは引き続き不可欠である。ASEM財相は、こうした状況を背景に、EUの財政枠組みが提供する財政規律と成長を支える必要性とを両立させる可能性を用いた、加盟国が行っている成長に配慮した財政健全化の実施にむけた最近の努力と同様に、欧州各国で採られている成長を支える成長促進政策と構造改革を歓迎した。

  6. ASEM財相は、銀行同盟及び単一監督メカニズムや単一破綻処理メカニズムの最近の設立を含む、前回のASEM財務大臣会合以降に行われた、地域の一体性と安定性を守り、域内不均衡に対処し、金融市場の機能と強じん性を改善する、欧州による新しい一連の行動を歓迎した。

  7. 一部のアジア経済では、歓迎すべき内需のリバランスを受けた成長の鈍化がみられるものの、ASEM財相は、アジア経済は着実に回復し、良好なパフォーマンスを遂げていることを歓迎した。特に、先進国において金融政策が正常化の見通しであるにも関わらずアジアが強じんであることを称賛し、アジア地域が世界経済の強固な成長の推進力であり続ける潜在力を有していることに留意した。また、ASEM財相は、現行の成長モメンタムを支えるため、マクロ経済フレームワークを更に改善し、構造改革を強化するイニシアティブが取られていることを支持した。また、ASEM財相は、アジアのほとんどの国にとって、財政余地を回復し、信認を支えるためには段階的な財政健全化が引き続き適当であることを強調した。

  8. ASEM財相は、両地域が相互依存していることを認識しつつ、アジアと欧州双方に影響を与えうる、金融市場の変動の高まりの可能性によって引き起こされるリスクに対する準備の必要性を強調した。ASEM財相は、投資家の高利回りへの強い需要を受けて、シャドーバンキングシステムを含む金融におけるレバレッジの拡大や、一部の国々における政策金利の正常化や外貨建て借入に伴う負債から生じる脆弱性について、監視を続ける必要性に合意した。

  9. 欧州とアジアの経済協力が世界経済・地域経済の成長の主要な推進力であり続けることを認識し、ASEM財相は、民間セクターの役割を強化することを含む、貿易・投資面における両地域の関係を強化することの重要性に留意した。また、ASEM財相は、持続可能な成長と雇用創出のためには、潜在的な貿易や対外投資を引き出すことが重要であり、そのためには、開かれた、透明性の高い、ルールに則った貿易システムが必要であることを強調した。ASEM財相はまた、地政学リスクの高まりに留意した。

  10. ASEM財相は、2008年から2009年にかけて起こった世界金融危機への対応としてグローバルに合意された、金融改革と監督上の措置に関する包括的なアジェンダを支持した。ASEM財相は、健全な金融仲介業者と市場の透明性・健全性の向上は、効率的な金融市場と長期的に持続可能な成長を果たす上での必要条件であることを認識した。ASEM財相は、規制回避行為や金融市場の歪み・分断を避けるため、金融セクターの規制・監督に関する国際的に合意された基準を、タイムリーにかつ整合的に実施することにコミットした。ASEM財相は、安定かつ統合された金融システムを促進するべく、それぞれの国・地域における法律や規制が同等の効果をもたらす場合に、相互の規制に委ねるよう勧め、金融規制における相互承認の重要性を強調する。

  11. 金融安定を確保する上での、アジア・欧州の地域金融アレンジメントの役割

  12. ASEM財相は、欧州安定メカニズム(ESM)やその前身である欧州金融安定ファシリティ(EFSF)、マルチ化したチェンマイ・イニシアチブ(CMIM)といった、アジア・欧州地域における主要な地域金融アレンジメント(RFAs)の進展について議論した。アジアと欧州の地域金融アレンジメントはそれぞれ異なる特徴を有しているが、ASEM財相は、上記のような恒久的な取極は、潜在的に生じる、突然の金融不安定化に効果的かつ早急に対処する有効な手段を提供するという共通見解に立つ。ASEM財相は、それぞれの機関の独立性を保障しつつ、地域金融アレンジメント間の対話やIMFと地域金融アレンジメント間の協力の強化を奨励した。ASEM財相は、グローバルなセーフティー・ネットの強化に貢献し、既存の国際通貨金融アレンジメントを補完する可能性のあるBRICSの緊急準備アレンジメントが2014年7月にフォルタレザで創設されたことに留意した。

  13. ASEM財相は、チェンマイ・イニシアチブ(CMIM)の改訂契約が2014年7月17日に発効し、CMIMが強化された。また、ASEM財相は、ASEAN+3マクロ経済リサーチ・オフィス(AMRO)運営能力を向上させるために、2013年に合意されたAMROの国際機関化を加速する新たなコミットを歓迎した。

  14. ASEM財相は、欧州とアジアの規制面における金融協力を更に強化させることの必要性を認識した。このような協力を促進する主要な手段とみなされるものとして、金融セクターの監督、金融監督当局間のデータ・情報の交換、地域金融アレンジメントの経験の交換のほか、各国当局が、国によって差別されることなく相互の規制及び執行枠組みにより正当化されるときは、相互に規制に委ねることを可能にすることが挙げられる。ASEM財相は、関連する国際機関に対し、両地域における経済統合から得た教訓を更に探求することを要請した。

  15. ASEM財相は、2010年に合意されたIMFのクオータ及びガバナンス改革並びに第15回クオータ一般見直し(GRQ)の進展が依然として遅れていることに失望し、IMFがクオータに基づいた機関であることの重要性を再確認した。ASEM財相は、2010年に合意された改革の実行は依然として最優先課題であることを強調し、こうした改革について、すべてのIMF加盟国による可能な限り早い機会の批准を求め、IMFを強固で十分なリソースのある機関にすることにコミットした。ASEM財相は、2010年に合意された改革が本年中に批准されなかった場合、IMFCにおいてIMFによる次なるステップの選択肢について議論する準備があると述べた。

  16. ASEM財相は、金融市場における規制の残された差異に対処しつつ、財政の持続可能性と雇用の促進の文脈で、強固で持続可能かつ均衡ある成長を実現するため、ブリスベン・サミットに向けて、野心的で包括的な成長戦略を策定するというG20の決定を支持した。ASEM財相は、G20において、投資が十分でない国におけるインフラ投資を含む投資の増大、雇用の増進、女性の経済への強い参加の確保、貿易の拡大、競争の促進に焦点が当てられたことを歓迎した。ASEM財相は、サンクトペテルブルクで合意されたように、債務残高対GDP 比を持続可能な道筋に乗せつつ、経済成長と雇用創出を支えるため、G20加盟国が財政戦略を実施する必要性を強調した。また、ASEM財相は、全てのG20加盟国が、G20で合意された金融規制改革を整合的に実施することを求めた。

  17. ASEM財相は、脱税や租税回避と闘い、法人及び信託を含むその他の法的取極の会社の真の所有者の透明性を改善するために、更なる進展が必要とされることを再確認した。この目的のため、ASEN財相は、税源浸食と利益移転や租税目的の自動的情報交換についての新しい単一の国際基準の実施や、不正目的による法人及び信託のようなその他の法的取極の悪用の防止に関する、G20やOECDなどの関連フォーラム参加者によるコミットメントの実施を支持する。

  18. 地域間の投資と貿易を促進するための欧州・アジアのパートナーシップ

  19. ASEM財相は、市場経済、開放的な多角的貿易体制、無差別的な自由化と地域開放主義を通して、地域間の投資と貿易のフローを増大させることを再確認した。また、ASEM財相は、新たな輸出規制やWTO非整合的な措置などを含めたあらゆる形態の保護主義に対抗することにコミットした。WTOドーハラウンドの成功裡の妥結を確保するために、ASEM財相は、全てのバリ合意を軌道に戻すための更なる努力を要請した。

  20. まだ引き出されていない両地域間の投資・貿易の潜在能力を認識しつつ、ASEM財相は、中小企業も含めた欧州・アジアの民間セクターに対し、既存のパートナーシップを強化し、経済協力の新たな道筋を示しつつ、経済成長に引き続き貢献することを奨励した。こうした道筋の主なものとして、アジアと欧州の間の統合を促進するような貿易と投資のイニシアティブ、食材、水、エネルギーといった天然資源の効率的な活用に向けた協力や技術協力・技術支援に向けた連携や、アジア・欧州のインフラ、連結性ネットワークにおける協力のアジェンダの進展等がある。

  21. G20と歩調を合わせて、ASEM財相は、インフラ投資が、長期的な成長・雇用創出のエンジンとなり、貧困を削減し、開発ギャップを狭め、世界の貿易と成長見通しを向上させることを認識した。この目的を達成するため、ASEM財相は、インフラプロジェクトにおける官民パートナーシップ(PPP)の実施に対する強力かつ継続的な支持を再確認するとともに、PPPに関する資金調達の環境の改善が、両地域における発展のペースを押し上げること、及び、プロジェクト準備の強化によって実行可能なプロジェクトが特定され、進展し、ファイナンスを受ける段階まで到達することになることに留意した。また、ASEM財相は、中小企業のフレームワーク・コンディションを向上させることの重要性と中小企業政策への相互理解・相互協力を促進することの有用性に関する見解を共有しつつ、中小企業が事業投資につながる経済環境において活躍する必要性を強調した。

  22. その他の議論及び今後の会合予定

  23. 第12回ASEM財務大臣会合は2016年にモンゴルを議長国として開催される。ASEM財相は代理に次回会合のアジェンダを作成するよう要請した。今次会合の成果は、イタリア・ミラノで2014年10月16日〜17日に開催される予定の第10回ASEM首脳会合への、財務大臣からのインプットを構成する。