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第2回ASEM蔵相会合議長声明(仮訳)(1999年1月15-16日 ドイツ・フランクフルト)

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第2回ASEM蔵相会合議長声明(仮訳)

 

 

 

 

1.第2回ASEM蔵相会議は1999年1月15、16日にフランクフルトで開催された。会議は、EU議長国であるドイツの蔵相の議長の下、アジア10か国及びヨーロッパ15か国の蔵相と欧州委員会が出席した。欧州中央銀行総裁、国際通貨基金専務理事及び国際決済銀行総支配人がゲストとして出席した。参加者リストは別添。

 

 

世界経済

 

2.蔵相達は、世界経済の最近の状況及び将来の見通しを議論した。蔵相達は、アジア、ロシアそしてラテンアメリカの金融市場の混乱によって世界の経済状況が一層厳しくなり、全世界的に成長の見通しを低下させる必要があることに留意した。

 

3.しかしながら、多くのアジア諸国で回復のための基盤の確立に向けた進展や、ヨーロッパ諸国やいくつかのアジア諸国において短期金利の低下がみられるなど、最近、ASEM参加国の経済に勇気づけられる動きがあった。

 

4.こうした好ましい進展は歓迎される一方、課題は依然として残っている。蔵相達は、国際社会によって、経済成長を維持・達成し、また、モノ、サービス及び資本にとって開かれた市場を維持するための努力が払われなければならないと強調した。この関連で、先進国は力強い内需主導の成長のための環境を維持し、創出する必要がある。危機によって影響を受けた諸国は、国内の改革とリストラを継続しなければならない。蔵相達は、WTO加盟国が現存のWTOにおけるコミットメントを完全に履行し、更なる貿易の自由化を追求するよう改めて表明した。また、蔵相達は、国際通貨制度の機能、特にIMFの役割を強化し、危機の防止及び解決のための手続きを改善し、さらに、金融危機の解決において民間セクターを関与させる必要性を強調した。暫定委員会を強化かつ(または)再編する可能性を含め、国際通貨制度における様々な機構の役割を全体的にレビューする必要性がある。

 

 

アジアの経済及び金融情勢:最近の動向

 

5.危機の影響を受けたアジア諸国は、自国の経済を安定させるために相当な努力をし、多くの改革のための方策に着手している。その間に、国際社会の支援を受けて、危機の影響を受けた諸国は安定化しつつある。これらの努力の成果は、特に為替レートの安定及び金利の低下として現れている。蔵相達は、今年中にいくつかの回復の兆候がみられ、中期的にはアジア諸国で払われた努力が確固たる成長を取り戻すための基礎を築くとみている。

 

6.この文脈で、蔵相達は、新興市場国への資本フローの急激な減少が、適度な成長軌道への回帰を妨げていることに懸念を表明した。国際金融市場の信認を回復し、再び成長するために、改革が引き続き断固として実施される必要があることに合意した。この関連では、銀行セクターのリストラと対外債務に関する持続可能な解決と民間資本フローを促進する仕組みの開発が特に重要である。

 

7.アジア及び他の地域の金融危機は、特に新興市場において、短期資本移動が潜在的に急激かつ不安定になりうる可能性を浮き彫りにした。さらに、蔵相達は、為替相場制度の選択に関する経済的諸条件について広範な議論を行なった。蔵相達は、ASEM参加国間で国際金融のアーキテクチャーに関し意見交換を深めることにつき同意した。蔵相達は、投資銀行、ヘッジファンド及びその他機関投資家といった国際的な資本フローに関与する民間部門の金融機関の適切な透明性やディスクロージャーの基準の問題について検討し、また、レバレッジが高い、あるいは、オフショアにある金融機関のオペレーションの影響を検討する必要性につき留意した。また、蔵相達は、資本移動規制の利用の経験及びこうした規制が適切でありうる状況について、IMFで現在検討が行われることに留意した。

 

8.蔵相達は、金融危機の社会的な影響とくに、その社会の貧しく弱い人々が最も深刻に影響を受けていることに懸念を表明した。蔵相達は、世界銀行、アジア開発銀行、及び2国間供与によるこうした問題への支援、また、IMFと合意されたプログラムにおいてより大きなウェイトが社会的支出に置かれている事実を歓迎した。蔵相達は、国際支援及びプログラムの社会的側面に十分な配慮が払われなければならないことに合意した。この文脈で、世界銀行は、他の関連機関と協議の上、社会政策に関する適切な措置の一般原則を作るべきである。

 

9.全てのASEM参加国間の密接かつ発展的な経済的結びつきは、回復と持続的成長のための重要な要素である。蔵相達は、危機が与える経済・社会的な影響を限定するために、保護主義の圧力に抵抗し、現在の市場アクセス・レベルを維持し、更なる多角的自由化を追求するという、ロンドンのASEM首脳会合で全参加国によって表明された共通の決意の、決定的な重要性を改めて表明した。蔵相達は、輸出信用機関がアジア諸国の貿易金融に支援を続けていることに留意した。

 

10.蔵相達は、金融システムを強化し内需主導の成長を補強するために日本政府がとった実質的措置について議論し、歓迎した。蔵相達は、これらの措置の実行により日本経済が持続的成長を回復するとの期待を表明した。蔵相達は、日本の提案した金融支援、特に、アジアの経済回復努力を支援する300億ドルの金融パッケージを含む「アジア通貨危機支援に関する新構想」、また、日本及び米国が発表した、ADB及び世銀と共に民間部門の成長を再活性化させるための多角的イニシアティブを歓迎した。蔵相達は、これらのイニシアティブがアジア地域の回復及び成長を促進するための共同の努力に大きく資するものと確信し、早期の実施を歓迎する。

 

11.蔵相達は、金利の引下げ及び拡張的財政パッケージの導入を通じて経済成長を一層刺激する中国の努力に留意した。蔵相達は、地域における金融安定の促進を助けた、人民元の為替レートの安定を図る中国の政策を歓迎した。

 

 

欧州経済・通貨統合:最近の動向

 

12.蔵相達は、1999年1月1日の11のEUメンバー国におけるスムーズなユーロの導入を歓迎した。蔵相達は、最近数年間の欧州各国経済間の顕著な収斂が、通貨統合の成功に確固たる基盤を提供したことを強調した。蔵相達は、新通貨が、国際貿易の取引や、ファイナンスの面で重要な役割を担い、また、主要な投資・準備通貨となろうとの見解であった。この関連で、ユーロの導入は、国際通貨制度において、一層の為替相場の安定を達成するための努力を強化する機会と認識された。

 

13.蔵相達は、欧州経済通貨統合の第3段階の開始に関連した経済政策上の問題について議論した。高水準の失業の削減が、欧州の直面する最大の課題と認識された。蔵相達は、持続的成長とより多くの雇用のための基礎を提供する、物価の安定、財政再建及び経済改革の重要性を強調した。蔵相達は、賃金情勢を考慮しつつ、構造政策を含む、経済政策の調整を強化することが必要であること、及び、そうした調整はポリシーミックスの適切なバランスを目的とし、もって持続的な成長と雇用の達成に貢献すべきことに合意した。

 

14.蔵相達は、世界経済の成長見通しが悪化したとの事実を考慮し、欧州における経済のモメンタムを維持する重要性を強調した。そうすることによって、欧州は、貿易の機会を改善することにより、新興市場国の経済の回復を支援し続けることが可能となる。

 

 

金融セクターのリストラと監督

 

15.アジア、ロシア、ラテン・アメリカにおける出来事は、グローバリゼーションの広がりとともに、金融市場がいかに相互連関を深めてきたかを示している。現代の、オープンな金融市場は、新しい課題に考慮した環境を必要としている。金融市場がかつてないほど緊密化した世界においては、リスクを、素早く発見し、囲い込み、効果的に監視しなければならない。

 

16.蔵相達は、金融システムの安定性を高めるに当たり、効果的な金融市場の監督が中心的な役割果たすことを確認した。蔵相達は、次のASEM蔵相会合までに、バーゼル銀行監督委員会の「効果的な銀行監督のためのコアとなる諸原則」の履行に向けて必要な措置を採ることに同意した。蔵相達は、国内及び国際レベルで金融監督当局間の情報交換に障害がない場合にのみ、金融機関に対する適切な監督が行われ得ることに同意した。蔵相達は、監督当局間の「情報交換に関する10の主要な原則」を歓迎した。

 

17.蔵相達は、健全な資本フローを促進し、持続可能な為替制度を維持するために、特に透明性、責任体制、破産手続の分野に関して、金融システムを強化する更なる措置を、民間及び公的部門の双方が採用する必要性を認識した。蔵相達は、金融セクターの活動の全域をカバーしつつ、協力を強化し適切な監督及び規制基準の、策定、普及及びサーベイランスのための活動を調整するために、各国及び国際金融機関が、特に新興市場国も含めて、適当な国際フォーラムにおいて、一緒に緊密に作業を行い、対話を深めていくべきことに同意した。

 

18.欧州委員会及びバーゼル委員会によって行なわれた調査は、法的制度を国際的に合意された監督基準に則したものとし、また、監督を行うためには、技術支援が広範に必要であることを示している。蔵相達は、金融システムの強化のために支援を必要とするASEMの各国の優先施策リストを作成し、リストに従って支援を計画する必要性を認識した。蔵相達は、次の会議では、優先施策リストに従ってとられた施策に関する報告を受けることを期待する。

 

 

ASEMトラストファンド及び欧州金融技術ネットワーク(EFEX)を含む技術支援

 

19.金融市場の危機により、アジアへの技術支援の供与が必要とされている。この関連で、蔵相達は、金融セクターを再編し、また、貧困を緩和するための効果的な方法を見つけるための、技術支援及び助言を提供するための重要な手段として、ASEMトラストファンドの迅速な設立を歓迎した。蔵相達は、ASEMトラストファンドの活動が、日本のPHRD基金(開発政策・人材育成基金:世銀に設置された日本特別基金)からの支援のような他の基金及び活動と十分に調整されていることに留意した。蔵相達は、プロジェクト及びその内容の選択における受益国の参加を強調した。

 

20.蔵相達は、ASEM参加国の金融システムの強化のために、全ての利用可能な資源を活用する必要性を再確認した。これらの資源には、バーゼル委員会、IMF、世界銀行、アジア開発銀行、BIS金融安定機構、欧州金融技術ネットワーク(EFEX)によって提供される支援だけでなく、2国間の支援プログラムを含む。

 

21.蔵相達は、欧州委員会におけるEFEXの設立を歓迎した。EFEXの利点は、金融の安定を回復するため、技術支援プロジェクトに東アジアの金融の専門家も含みうることである。

 

22.蔵相達は、技術支援の活動を調整し、希少な資源を効率的に利用する必要性を強調した。世界銀行、IMF、BISなどの国際機関は、この点に特別な役割を果たすことができる。EFEXがその活動の中でこの点にも配慮するのであれば歓迎すべきことである。国際的に調整されたコンサルタントのミッションの例としては、タイ当局を支援するための様々なミッションの専門家を特定化することを世界銀行が助けたものがある。

 

 

ASEM・マネーロンダリング防止に関するイニシアティブ

 

23.蔵相達は、マネーロンダリングとの戦いにおけるASEM参加国による共同行動の重要性を強調した。蔵相は、これまで具体的なプロジェクトの開始を妨げてきた障害を取り除くことにより取組みを加速させることを決意した。

 

 

ASEM税関協力

 

24.蔵相達は、税関協力に関する中間報告書に留意した。蔵相達は、EC及び25のASEM参加国の税関当局の取締権限に関する調査、並びに、民間部門及び税関当局の代表が参加する税関手続の簡素化・調和化に関するセミナー計画を歓迎した。蔵相達は、貿易円滑化行動計画(TFAP)の税関分野における取組みの進展を期待することを強調した。

 

25.蔵相達は、貿易円滑化及び税関当局による取締りは十分調和される必要があることを再確認しつつ、両分野における、アジア及び欧州の税関当局間の協力の更なる進展を慫慂する。従って、蔵相は第3回関税局長・長官会議の成果を切望する。

 

 

ASEM大蔵省間のコンピューター化したコミュニケーション・ネットワーク

 

26.蔵相達は、ASEM蔵相間のコンピューター化したコミュニケーション・ネットワークの枠組みの進展及びASEM蔵相会合ホームページの開設を歓迎した。

 

 

次回ASEM蔵相会合の日程及び場所

 

27.蔵相達は第3回ASEM蔵相会合を2001年にアジアで開催することに同意した。