第14回ASEAN+3(日中韓)財務大臣会議 共同ステートメント(ポイント)(2011年5月4日 於:ベトナム・ハノイ)
I.序
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第14回ASEAN+3財務大臣会議を、アグス財務大臣(インドネシア)及び野田財務大臣(日本)の共同議長の下、ベンファ・ウェイASEAN+3マクロ経済リサーチ・オフィス(AMRO)事務局長の参加を得て、ベトナム・ハノイにて開催。本会議には、アジア開発銀行総裁も参加した。
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我々は、最近の世界・地域経済の情勢及び我々の政策運営につき意見交換。チェンマイ・イニシアティブのマルチ化(CMIM)、アジア債券市場育成イニシアティブ(ABMI)及びASEAN+3リサーチ・グループを含む、前回会議以降の地域金融協力の進捗につきレビュー。また、今後の地域金融協力の更なる強化策についても議論。
II.最近の域内経済・金融情勢
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域内の経済は、世界金融危機を切り抜けた後、堅調な内需と輸出の回復により力強い成長を遂げている。しかしながら、我々は、一次産品及び食料価格の高騰に起因するインフレの上昇やいくつかの国への大規模な資本フロー等のリスク要因に留意。これらは、マクロ経済政策運営を複雑にし、地域の持続的な経済成長への課題。さらに、中東・北アフリカ地域における出来事や日本の震災の域内経済への影響等の新たな不確実性も浮上。
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こうした中、我々は、経済発展に対するリスクや脆弱性といった負の影響を引続き注視し、適切なマクロ経済政策を採ることを決意。持続的な経済成長のための財政の健全性促進の重要性を確認。また、経済構造改革を加速・深化させ、国内需要と雇用を促進し、保護主義と闘い、貿易・投資を一層促進することへのコミットメントを改めて強調。大規模な資本フローに対処する上で、マクロ経済やその他の政策を包括的に採ることが重要との見解を共有。同政策には、必要な場合マクロ健全性政策を含む。我々は、潜在的なリスクに共に対処するため、域内のマクロ経済政策に係る対話と協力を強化することを約束。
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この関連で、我々は、改善された「経済情勢に関する政策対話」(ERPD)において、財務大臣代理が、域内の大規模な資金フロー及びインフレ圧力についてサーベイランスの議論を深めたことを歓迎。我々は、財務大臣代理に対し、新たに設立されたAMROからのインプットを活用することを慫慂。
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我々は、2010年3月24日に発効したCMIM契約が、域内の金融安定のために積極的な役割を担っていることに留意。この関連で、我々は、今後とも、地域金融協力を更に深めるとのコミットメントを改めて強調。
III.アジア金融協力の強化
【チェンマイ・イニシアティブ・マルチ化(CMIM)】
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我々は、「CMIM有効性向上のための実務ガイドライン」を承認。これは、IMFプログラムがある場合のCMIMの発動手続を含め、CMIM契約に基づき実施される通貨スワップの実務マニュアル。同ガイドラインが、CMIM契約の迅速かつ円滑な発動に貢献すると期待。
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我々は、CMIMのサーベイランス・ユニットとして、AMROの設立を歓迎。AMROは、地域経済の監視・分析を行い、リスクを早期に発見し、改善措置の実施を速やかにし、CMIMの意思決定を効果的にすることに貢献。我々は、AMROが早期にフル活動体制に入れることを期待し、AMROの円滑で効率的な活動の促進にコミット。我々は、財務大臣代理に対し、AMROがその目的を全うできるよう、次回代理会議においてAMROのキャパシティのレビューを指示。我々は、財務大臣代理に対し、AMROの法的地位を国際機関へ強化するための研究開始を指示。
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我々は、現在のグローバルな金融環境の下、危機は世界規模で起こり、短期間に拡大するとの認識を共有。その伝播を阻止するには危機予防策が重要。地域金融枠組みをこの新たな環境に適応させる必要性に鑑み、我々は、財務大臣代理に対し、規模、IMFとの更なる連携及びAMROの役割を含め、CMIMにおける危機予防機能の考えられるデザインについて、研究開始を指示。
【アジア債券市場育成イニシアティブ(ABMI)】
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我々は、信用保証・投資ファシリティ(CGIF)が、昨年11月に当初7億ドルの資本規模で設立されたことを歓迎。CGIFが域内の社債の発行と債券市場の発展を支援できるよう、速やかに保証業務を開始することを期待。
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我々は、ASEAN+3債券市場フォーラム(ABMF)の進捗を歓迎。これは、市場慣行の標準化と域内のクロスボーダーの債券取引に関する規制の調和化を促進する共通の場。その設置以降、ABMFが域内の官民セクター双方の債券市場の専門家にとって重要なフォーラムとなっていることを認識。ASEAN+3各国の債券市場についての報告書が2011年末までに作成されることを期待。作業部会での域内決済機関(RSI)に係る法的及び規制面からの実現可能性の再評価についての作業の進捗を認識。作業部会がRSIの商業可能性の調査の再評価に進むことを期待。
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我々は、ABMIの活動が、域内の貯蓄が域内の投資に活用されるようにするため、その2003年の開始以来、効率的で流動性のある域内債券市場の育成に貢献していることを認識。我々は、財務大臣代理に対し、域内の著しい経済的発展に鑑み、その目的、資本市場を含む対象及び枠組みに焦点を置いて、ABMIの活動の更なる改善策について議論を行うよう指示。
【ASEAN+3リサーチ・グループ】
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我々は、ASEAN+3 リサーチ・グループによる「地域通貨単位」、「急激な資本移動」及び「気候変動が財政金融に与える影響」に関する取組みを評価。2011/2012年の3つの研究トピックとして、(1)東アジアにおける一次産品価格変動への対応、(2)ASEAN+3地域の金融システムにおける銀行セクターの役割と機能、(3) グローバル・アーキテクチャにおける地域金融セーフティネットの役割、を承認。
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我々は、リサーチ・グループが民間の研究者及び研究機関の知見を動員し、中長期的観点から地域金融協力の課題を特定・模索する上で重要な役割を担っていることを認識。我々は、財務大臣代理に対し、その更なる活動促進策及びASEAN+3当局者と研究者との間の交流の強化策について検討を指示。
【将来の地域金融協力の分野】
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我々は、ASEAN+3金融協力がCMIM、ABMI、ERPD及びリサーチ・グループ等のイニシアティブの下、意義のある成果を示したことを認識。地域金融協力をより高く戦略的なレベルへと引き上げるため、ASEAN+3金融協力の将来の優先課題に関するタスクフォースが、過去の成果を評価し、新たな優先分野を提案する作業を行ったことに留意。我々は、財務大臣代理に対し、将来の協力の可能性がある分野として、@)インフラ金融、A)災害リスク保険、B)域内貿易決済における現地通貨の使用、の3つの分野について、ADBからの支援を適宜得つつ、研究開始を指示。
IV.結語
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我々は、域内の経済監視及び地域金融協力を強化するため、域内の中央銀行総裁の知見と経験が不可欠と認識。そのため、中央銀行総裁の参加を歓迎。この会議は、来年以降「ASEAN+3財務大臣・中央銀行総裁会議」となる。
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2011年のASEAN+3財務大臣プロセスの共同議長であるインドネシア及び日本に謝意を表明。また、ベトナム政府の歓待に感謝。
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2012年にフィリピンにおいて会合を開催することに合意。カンボジア及び韓国が2012年の共同議長国となる。
