第20回APEC財務大臣会合 大臣共同声明(仮訳)(2013年9月20日 於:インドネシア・ヌサ ドゥア バリ)
- 我々、APECエコノミーの財務大臣は、2013年9月19日-20日に、インドネシア共和国のムハマド・ハティブ・バスリ財務大臣の議長の下、インドネシアのヌサ・ドゥア・バリにおいて、第20回年次会合を開催した。会合には、アジア開発銀行(ADB)総裁、世界銀行専務理事、国際通貨基金副専務理事、経済協力開発機構(OECD)事務局次長、APEC事務局長、APECビジネス諮問委員会(ABAC)議長も出席した。
- インドネシアによる2013年APECの"強じんなアジア太平洋、成長のエンジン"というテーマの一環として、我々は、我々の地域の将来の繁栄を形成する主要な経済及び金融の問題について議論した。我々は、我々のエコノミーを、より強固で、より持続可能かつ均衡ある成長の道筋に乗せることを決意している。
- 我々は多くの重要な政策措置をとり、それらは主要なテール・リスクを抑え込み、金融市場の状況を改善し、回復を持続させることに貢献した。それにもかかわらず、世界の成長は弱すぎ、リスクは依然として下方リスクの方が強く、経済見通しは、望むよりも成長がさらに鈍化し、均衡の取れていないものとなる可能性が高いことを示唆している。APECは、世界経済の中に占める割合はますます大きくなり、世界の成長を牽引する主要な役割を果たしている。米国では民間需要が強まり、日本では成長が強まっている。一方で、新興エコノミーにおいては、資本フローの変動、より引締められた金融環境、国内の構造的課題を反映し減速しているものの、成長は継続している。全体として、資本フローは変動し、多くのエコノミーで民間投資は引き続き抑制され、地域間の成長格差は開いたままで、世界のリバランスは不完全で、いくつかのエコノミーでは失業が許容できないほど高い水準にとどまっている。この会合における我々の行動、特にインフラ投資を促進する方策についての合意は、より強固で、より持続可能かつ均衡のある成長のための改革を達成するために協力する我々の意思を示している。
- 我々は、持続可能な財政にコミットし続けながら、経済成長と雇用を支えるため、機動的に我々の財政政策を実施する。我々は世界の需要のリバランスを行い、市場の信認を強化し、成長を支え、新興エコノミーにおける安定性を維持し、耐性を高めるための必要な行動を取ることについての、我々のコミットメントを再確認する。我々は、投資を促進し、基礎的な弱さに対処し、生産性及び競争性を向上させ、労働力参加と雇用を増大し、内外の不均衡に対処する構造改革を実行するため努力を強化することを決意する。
- 我々は、根底にあるファンダメンタルズを反映するため、より市場で決定される為替レートシステムと為替の柔軟性に一層迅速に移行し、為替レートの継続したファンダメンタルズからの乖離を避けるとの我々のコミットメントを再確認する。我々は、通貨の競争的な切り下げを回避し、競争力のために為替レートを目標とはしない。我々は、あらゆる形態の保護主義に対抗し、我々の開かれた市場を維持する。
- 我々は、強化された持続的な成長は、いずれは金融政策の正常化に向けた移行を伴うことを認識する。我々は、資金フローの過度の変動や為替レートの無秩序な動きは、 いくつかの新興国において最近見られたとおり、経済及び金融の安定に対して悪影響を与えうることを再確認する。健全なマクロ経済政策、構造改革及び強固なプルーデンスの枠組みは、金融市場の変動の増加への対処の助けとなる。我々は引き続き金融市場の状況を注意深く監視する。
- 我々は、生産性を向上するインフラプロジェクトが地域の潜在的成長を支える上での重要性を認識し、我々はAPECインフラ開発投資に関する複数年計画に留意する。我々は、地域のインフラ需要に応えるためにインフラプロジェクトへの民間部門の参加促進が必要であることを確認し、投資環境の改善のためにさらなる行動をとることによりこれを支えることにコミットする。我々は、インフラ金融と開発に関する我々の作業を他の関連する国際フォーラムや国際機関と調整し続ける。我々は、機関投資家による長期投資ファイナンスに関するG20/OECDハイレベル原則を歓迎する。
- 多くのAPECエコノミーが経済インフラのための民間金融へのアクセスを求めている中、我々は、インフラプロジェクトの計画、優先順位づけ、準備及び資金調達に関して明確なプロセスが存在することが重要であることを認識する。本年、我々は、官民パートナーシップ(PPP)を含む、インフラ整備の新たなアプローチの開発について議論を続けた。我々は今、地域のインフラ開発を促進するうえでのAPECエコノミーの多様性を反映するAPEC PPP専門家アドバイザリーパネル(パネル)の設立にコミットし、世界銀行、ADB、OECDに対し適切な支援を要請する(別添A)。我々はABACとアジア太平洋インフラ・パートナーシップ(APIP)のパネルへの積極的な参加を歓迎する。我々は、インドネシア財務省内のパイロットPPPセンターを任意で支援する機会を歓迎する。この支援は、インドネシア財務省が自らのPPPセンターの資源、スキル及び能力を開発するため行っている努力を助長する。我々は、パネルとインドネシアでのAPECパイロット・プロジェクトの経験の共有によって、APECメンバーエコノミーが効果的かつ融資可能なPPPプロジェクトを設計し、実現する能力を向上できることを期待する。より長期的には、パネルは、他のエコノミーによる同様の能力の開発を助けることによって、インフラ投資のためのAPEC規模の市場の出現を支援し、そして、良い慣行を共有し、基準を合わせることを助けるために、PPPセンターの地域的なネットワークを創設することができる。
- 我々は、地域の平等性を達成し潜在成長力を強化するために、金融包摂の重要性を認識する。APECエコノミーの多くの割合の人々は、いまだに金融システムへのアクセスを持たない。我々は、金融リテラシーの開発と消費者保護の強化のための努力とともに、貧困層と中小企業の関心を促進し、彼らが金融機関と相互に関わる上でのアクセス、適格性及び能力を強化することにコミットする。我々は、貧困層と中小企業の金融適格性を向上させる責任ある革新的なアプローチが、包摂的な金融システムの発展と政府から人(G2P)への移転を含む公共政策の効果の向上のために重要であることに留意する。また我々は、ワークショップにおける議論の中で、特に支店を持たない銀行などのAPECエコノミー内で実行されている革新的な伝達経路のいくつかの例があがったことに留意した(別添B)。
- 我々は、自由で開かれた貿易と投資を促進することに引き続きコミットする。我々は、貿易金融手段は、貿易を促進し、国際貿易を行う中小企業を支援することを認識した。我々は、世界金融危機がAPECエコノミーにおける貿易金融の利用可能性と費用に与える影響を議論した。我々は、世界金融危機の間及びその後における国際金融機関による貿易金融プログラムの恩恵を認識し、これらのイニシアティブのさらなる強化を探求することを支援する。我々は、APECポリシーサポートユニットによる地域の貿易金融の最近の傾向に関する調査に基づく研究を歓迎する。我々は、貿易金融を含む金融活動に対する適切なリスクウェイトを確保するためのバーゼル委員会の作業を認識する。また我々は、中小企業が、彼らの限られた資源と貸し手によって認識されたリスクに関連する金融アクセス上の多くの障害に直面していることに留意した。我々は、金融機関に対し、貿易金融を強化し、アジア太平洋地域の貿易を支援し続けることを奨励する。
- 歳出見直しを含む国庫システム及び予算の改革を通じた財政管理システムの改善は、我々の各省と予算の効率性を高める直接的なメカニズムである。従って、我々は、我々の財政と国庫担当者の間で行われたこれらの事項についての任意の情報共有を歓迎する(別添B)。
- 我々は、財政の緊急時対応計画並びに保険及び資本市場を通じて利用可能なリスク移転手段の開発を含む、災害リスクファイナンス(DRF)における良い慣行を導入するための、我々の個々の取組みを強化する必要性を認識する。我々はAPECメンバー間のDRF慣行に関するOECDの調査報告を歓迎する。この作業は、G20/OECDによる作業と世界銀行といくつかのAPECエコノミーによって開発されたDRFと保険の運用上の枠組みを完了させる。我々は、調査で特定された主要な優先事項の実行を促進しうる効果的なアプローチを探求するために、OECD、ADB、世界銀行及び関連する国際機関の支援により、さらなる経験の共有を期待する。
- 我々は、気候変動が、環境、社会及び経済の繁栄に対して重大な影響を与えることに留意する。この観点から、我々は、緑の気候基金(GCF)の運用を支持する。
- 我々は、オーストラリアが主催したアジア太平洋金融フォーラム(APFF)の創設を模索したABACシンポジウムを歓迎する。国際金融基準に関する地域的な協議とインプットの提供における公式な基準設定主体の役割を認識しながら、我々は、APFFが、APEC財務大臣プロセスに報告することで、地域における健全で、効率的な、包摂的で統合された金融システムの発展に向けた官民連携の深化における貴重な貢献ができると信じている。
- 我々はインフラ、金融包摂、及び均衡のとれた革新的な成長と強固な地域の金融統合を達成するための戦略に関する報告と提言を歓迎する(別添B)。我々は2014年のAPIP対話の継続とABACのAPEC金融包摂アジェンダに対する継続的な貢献を支持する。
- 我々は、任意の指針と基本的な構成を規定した枠組文書の策定及び継続的な発展を含めた、アジア地域ファンド・パスポートの開発の進捗に留意する。我々は、潜在的にパスポートを立ち上げるパイロットグループのメンバーとなり、意図表明文書(SOI)に示されたタイムラインに従ってその実施に関する細則について対外的に協議するいくつかのエコノミーが、2013年9月20日にインドネシアのヌサ・ドゥア・バリでSOIに署名したことを歓迎する。
- 我々は、本年のAPEC財務大臣プロセスのホストを成功裏に務めたインドネシアに感謝する。我々は、2014年9月に、中華人民共和国香港特別行政区で第21回APEC財務大臣会合を開催する。
